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アワノトモキの「読書の時間」

4 週前
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(基於 PinQueue 指標)
アワノトモキの「読書の時間」
「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに 独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。 扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。 20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から 今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。 【profile】 リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者 累計約600本以上の記事を監修 https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/ 筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと 20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。 ◎注目している分野 ・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤 ・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性 ・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育 ・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用 ・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線 ※上記分野のお話が多くなると思います。 ★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、 こちらまでDMをお寄せください。 https://twitter.com/Tomoki_Awano
ep35-3 「共感という病」(永井陽右さん)-学びの時差・山伏修行と直感・more than language-

読書の時間35冊目 「共感という病」(永井陽右さん)の3週目は、

本から得た着想を元にフリートークを展開するこぼれ話の回。


永井陽右さんと内田樹さんの対談を勝手な推測にしながら、

学びには、教える側と教わる側の間にある様々な格差があるのではないか。

それは時差だったり、視座の違いだったり。


粟野個人的には、10代・20代のときによく理解できなかった先人のアドバイスの、言わんとすることが40代になってなんとなくわかる、ことがあります。


また、読書の時間34冊目「自由が上演される(渡辺健一朗さん)に続き、

西洋風の研修などではない、日本独自の手法という話の流れから、

粟野が2023年夏に参加した山伏修行に関する話題へ。


言語、時間、ネット、世俗とのつながり、スケジュールなどを絶った環境下で、

論理や感情のみの生き方ではなく、感じること・直感を取り戻す場でもありました。

more than language


最後は、星野さんから「社会貢献を当たり前に実行する企業」を紹介してもらいながら、

「満員電車で目の前に小学生がいたら、どうする?席を譲る?」という問いをいただきました。

不肖・粟野は(論理・感情で判断して)「席を譲らないかもしれない」と回答してしまいましたが、

ここはもちろん、惻隠の情を発揮し、自然な直感の発露の結果として、気づいたら勝手に小学生に席を譲るなどの対応ができるようになりたいものです。


それでは、また読書の時間36冊目でお会いできることを楽しみにしております。

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Tue, 26 Mar 2024 09:30:00 GMT
ep35-2 「共感という病」(永井陽右さん)-第三者・同情するなら金をくれ・宇宙兄弟-

読書の時間35冊目 「共感という病」(永井陽右さん)の2週目は、

3つのキーワードについて対話を重ねていきます。

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1.共感が生む対立・争い

テロや紛争の場面、ビジネス、日常生活など、多くのシーンで共感は利用されています。


BML運動然り、共感は大きな力を持つ一方で、同時に敵との埋めがたい壁を作り出す場合もあり、

共感が大きな対立を生む弊害もあるのではないか。


永井陽右さん曰く、「共感しすぎない、無関係な第三者」がいることで、

問題が解決することが多いという言葉。

まさにそうだと思います。我々は過度な共感を求めすぎているのかもしれません。


2.共感(empathy)と同情(sympathy)

「公園で転んで泣いている子どもがいたら、どう声をかけるか。」

共感か、同情か。そんな話題からスタートしました。

よく、コーチングやキャリアカウンセリングの研修場面では、

共感は良いが、同情はだめ(同情は個人のマスターベーションだから)、とされます。


しかし、粟野個人としては、

「その相手を大事に思う心があれば、リアクションは、同情でも共感でも、無言でもよい」

のではないかと考えています。

また、星野さん曰くの「表出した言動や形式に焦点をあててしまい、

”あいだ”が抜けてしまうことに、我々は抵抗を感じるのでは」

という話には、同意する方も多いのではないでしょうか。


3.知性と集団

最後は、この本の巻末にある、内田樹さん(思想家)と永井陽右さんとの師匠と弟子のような対談から。


「個人が専門性を高めて強くなることは、知性ではない」

「むしろ、その人がいることで、周囲の沢山の人が力を発揮できるようになることが知性である」


という内田樹さんの言葉があり、粟野個人としては自分の考える知性の定義を改めざるを得ない、気づき・学びとなりました。


ちょうどアニメの「宇宙兄弟」にハマっていたタイミングだったので、

この意味での知性は、キレキレな人物ではないけれど、

周りを活かしつつ、物事を成し遂げていく六太(お兄ちゃん側)のような存在を知性がある人というのかもしれません。


さて、3週目は、共感や感じること、学びなどについてざっくばらんに話を展開するこぼれ話の会です。


次回の読書の時間でもお会いできることを楽しみにしています。

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Tue, 19 Mar 2024 09:30:00 GMT
ep35-1 「共感という病」(永井陽右さん)-共感の胡散臭さ・侵される感覚・ストーリー-

読書の時間の35冊目は、「共感という病 いきすぎた同調圧力とどう向き合うべきか?」永井陽右さん。

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永井陽右さんは、国際紛争などの解決を図るNPO法人アクセプトインターナショナルの代表理事。

2021年にはニューズウィーク日本版「世界に貢献する日本人30人」に選出されるなど、注目されている方です。

(なお、同法人の活動は非常に特殊で、例えばテロ組織・構成員の再社会化を支援するという、難度が高い活動をされていらっしゃいます。)


1週目は、「共感に対する胡散臭さ」という部分から

我々が感じること・発想することを、筋書きなしに対話。


星野さん曰く


「日常生活で普通に感じている・知っている言葉や概念を、

”お上”から押し付けられてしまうと、全く同じものなのに、違和感を持つ。ピュアな心を侵されるような感覚になるよね」


という部分は、まさに(自然な意味での)「共感」。


発信者側の意図・「泣かせよう」ストーリーが見える作品のようなものかもしれません。(「宇宙兄弟」や「実写版ドラゴンボール」への横みちに展開)


さて、2週目に取り上げるキーワードは以下の3つです。


1.共感が生む対立・争い

2.共感(empathy)と同情(sympathy)

3.知性と集団


それでは、読書の時間 35冊目の2週目でもお会いできることを楽しみにしています。

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Tue, 05 Mar 2024 09:30:00 GMT
ep34-3 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-分人・可視化・”日本風”-

「自由が上演される」渡辺健一朗さんの3週目、こぼれ話の回。


その環境や場面、時期に応じた「分人」の話や、

ある種の「思い込み」が歴史に残る偉業を成し遂げることにつながるのかも、などの話からスタート。

(なお、歴史に残る偉業といっても、それは勝者側が描いた限定的な歴史でしかなく、敗者や異なる側面から眺めたときの、別の歴史もあるのだと思いつつ)


そこから、可視化・数値化の(良くも悪くも持つ)威力や、

ネガティブ・ケイパビリティ的に考え続ける大変さがある故に、楽チンに生きたい・わかりやすいものに乗っかりたい、となる気持ちも分かるよね、という話題に展開していきました。


さらに、2週目にも話になった、日本風のワークショップは開発できないものか?という論点。

例えば、私(粟野)が2023年に体験した山伏修行的なものが、

1つの方向性・ヒントかもしれません。


最後は、公開のタイミングとはずれますが、

収録が2024年の年始だったこともあり、

お互いの抱負(ご縁、敵を少なくする)で締めさせていただきました。


収録・公開のペースが、若干、不規則になってしまっておりますが、マイペースに・着実に継続していきますので、また35冊目の読書の時間をお聴きいただけることを楽しみにしております。

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Tue, 27 Feb 2024 09:30:00 GMT
ep34-2 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-情熱・ワークショップ化する社会・”たかが野球”-

読書の時間34冊目「自由が上演される」渡辺健一朗さんの2週目は、キーワード3つを扱いながら、互いが興味ある教育・ワークショップなどについて議論を重ねていきます。


1.知性を放棄した、意志による教育

ジャック・ランシエール(仏)の「無知な教師」をベースに、「知性ではなく、意志(情熱)による、教師と生徒の格差」が必要であるというお話。


「多くのことを知っている・頭脳明晰」などではなく、

あくまで「何かを学び続けたい・新しい発見は面白い」といった情熱を持った教師が、

生徒にその姿を見せる/魅せる、という意味と解釈しました。


2.ワークショップ化する社会

教育界が受けたとされる2大インパクト(フーコー・インパクトとドゥルーズ・インパクト)を経て、

「(見せかけの)自由を演出するため(自由促進型教育)」や

「(教師と児童・生徒の)パワー・ハラスメントを回避する」といった目的のため、

ワークショップやアクティブ・ラーニングが人気を博した、という側面への指摘がされます。


星野さんからの「ワークショップなどは、欧米起源のもの。

例えば”三日三晩飲み明かす””闇鍋をつつく”といった、

本音と建前を使い分ける日本人のあり方に適した手法が合っても良いのでは」というコメントにはハッとさせられました。


3.上演としての教育

書籍名にもつながりますが、

教育も、演劇も、スポーツも、演奏会も、「あくまでその場限りの”上演”」として、強い限定性を意識すべきではないか、というお話。


ビジネス中心に人生全てが、盛和塾(京セラ・稲盛氏の教え)万歳や、

「ドラッカーがこう言ったから◯◯すべき」だと、お付き合いし続けづらい。


野球のダルビッシュ選手がWBCの際に言った、「たかが野球」。

野球に真摯に向き合いつつ、けれども

「ちょっと待ちなよ、他の選択肢や大事にしたいこともあるはずだよね」

という意味合いだと思います。


社会の過渡期かもしれませんが、多くのことが「ハラスメント」とされるリスクを恐れ、

「優しさという残酷」が静かに広く深く浸透している、2024年現在。


難度は高いですが、教師も、上司も、経営者も、親も、何らか場面のリーダーは、

「情熱による格差(ハラスメント)」を恐れず、

一方で、児童・生徒、部下、従業員、子ども、場の参加者たちは、

ある意味で、舞台上の”演者”の姿・発言を、離れた客席で見る観客が持つ非対称性を維持し、

「ここで演じられていることは、この場限りのもの。終わればまた別の世界線がある」

と冷めた認識をすることがポイントなのだろうなと感じています。


日本社会の中での生きづらさを助長していると感じる、

過度なハラスメントリスク、自由促進型教育(ダブル・バインド)、自粛警察的なあり方、

そういったものに対して一石(以上)を投じてくれる、気づき多い書籍だと感じています。


それでは、34冊目の3週目でもお会いできればと思います。

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Tue, 20 Feb 2024 09:30:00 GMT
ep34-1 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-演劇教育・自由促進型権力・Ping-Pong Project-

読書の時間34冊目は、演劇・演劇教育を専門とされる渡辺健一郎さんが書かれた「自由が共演される」です。

群像新人評論賞(2021年、第65回)を受賞の書籍。


「自由」や「教育」という抽象度・難度高いテーマを、哲学・理論と現場知見(演劇ワークショップなど)の両面から見つめ、凝縮した小気味よい論考が展開される、読み応えのある本だと感じました。


なお今回の収録は、公開収録という形で2名ものリスナーに囲まれた”緊張感溢れる”時間でした。

ゆくゆくは、様々な人がPodcast収録や作成に関われるものにできたら、などとふと思った次第です。


さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。

1.知性を放棄した、意志による教育

2.ワークショップ化する社会

3.上演としての教育


教育や教師はどうあるべきなのか、自由や教育はどのように「上演」されるべきなのか。

普段、何も考えずに用いている身近な言葉や行為である、教育や自由。

それらの意味を問い直すきっかけとなる内容を展開していきま

す。

それでは34冊目の2週目でお会いしましょう。

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Tue, 06 Feb 2024 09:30:00 GMT
ep33-3 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-役割・声・アフォーダンス・横みち-

「原っぱと遊園地」、建築家・青木淳さんの書籍を肴にした、こぼれ話の回。


主題は「”原っぱ”的な在り方」を、我々の日常生活における具体的な場面で考えるとどうなのだろうか、という内容。


星野さんと私(粟野)、互いの”原っぱ”的な家族・他者との関係性、生活スタイルから、(内輪の話で恐縮ですが)20~40代、北海道や関西からも参加いただいた神田・横みちオフィス「開設6ヶ月記念」忘年会の話など。


”原っぱ”的な在り方の難しさと対応法を、飲み会・パーティ・BBQに参加した場面や、星野さんの3回の転校経験や転職をしたときの「所在のなさ」を手がかりに展開しました。


ビジネスの場では”原っぱ”と真逆の在り方(用意周到な準備やわかりやすさ等)を求められ、

この(気ままにやっていそうな)「読書の時間」の収録であっても、何も下準備・補助線がなく、「はい、どうぞ。二人で何か面白く対話してください」では成立しない。


遊園地の遊具、教科書、ビジネスのルール・・・

そういった規定のものを絶対視せず、一種の材料・土壌にして、別の見方をしていく・扱い方をしていく。

そのあたりの「読み替え・ある意味の誤読・解釈の余地」、といったものが大事なのだろうなと思います。


さて建築家・青木淳さんの「原っぱと遊園地」という概念、いかがだったでしょうか。


引き続き取り扱う書籍に関するコメントやご要望なども絶賛、お待ちしております。

それでは、次回34冊目の読書の時間でもお会いしましょう。

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Tue, 30 Jan 2024 09:30:00 GMT
ep31-2「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-裏口から・他人の欲望・誤配/観光/憐れみ-

「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)から抽出した3つのキーワードをもとに対話を深める&偶然の話題の展開を試みる2回目の放送。


キーワード3つと概要はこちらです。


1.裏口から引きずり込む戦略

「Podcastにも、仕事にも必要な概念ではないか?」という、私(粟野)の個人的な課題感から取り上げた言葉になります。

本書の中では、リベラル知識人が発する「他人を大事にしよう」という正論が、世の中的に食傷気味で受け入れられない現在、正面突破ではない現実的な戦略を取るべきではないかと(リベラルの)東浩紀さんが考えたという文脈。

具体例として、「チェルノブイリ」などへのダーク・ツーリズム(戦争・災害などの悲劇の地を“敢えて”観光の対象とし、本質的な理解を深めたり、つながりをつくる取り組む)があり、「幼稚な好奇心=裏口」からでもまずは興味を持ってもらい接点をつくる、という取り組みが紹介されています。

「裏口」。堅苦しくなりがちな私(粟野)にとって、自らを顧みて反省させられる・気づきがあるキーワードでした。

リスナーの皆さんはいかがでしょうか。


2.他人の欲望を欲望する時代

星野さん曰く「欲望を知りにくくなっている現代=自分との対話をエスケープし、他人に欲望をお任せする」とのコメントと課題意識。

例えば、各種SNSやwebに接することで、暮らしに不満はないのに「年収低くない?」とSNSや広告に煽られて「転職・キャリアアップしなくちゃ」と欲望を植え付けられる我々。

本書の中では、東浩紀さんは「本や絵画、詩などが、それそのものの価値では評価されない。他人がそれをどう評価したか、で評価するようになる時代が今。それは避けがたい」という厳しい現実を指摘されています。納得。

1つ目のキーワード「裏口から引きずり込む戦略」にもつながりますが、「良いものを生み出せば何とかなる」ではナイーブすぎるという当たり前といえば当然すぎる指摘ですが、(Podcastなりブログなりであっても)何かを自分名義で創る、メーカー体験をしてくると、よりリアリティがあり胸に響く言葉。

※私淑するTakram・渡邉康太郎さんの言葉をお借りすると、「トロイの木馬」作戦(外見・見てくれと中身は違うぞ)ということだと理解しました。

話題は、スラムダンク・湘南にある高校にファンが大殺到して大変という話や、星野さんが体験した奄美大島での観光リゾート開発の顛末の具体論まで展開しました。


3.誤配・観光・憐れみ

東浩紀さんの(恐らく)人生のテーマである「郵便的(予期しないコミュニケーションの可能性)」。

「郵便的なあり方=誤配こそが人と人との連帯を生む」という、最初はピンとこない・腹落ちしづらい論ですが、以下の具体例で理解しました。

最初から連帯を意図する行動、例えばデモ活動をイメージすると、強いメッセージ・同じ価値観を持つ同志グループの中では強い連帯はあっても、逆にそのグループ外では強い反対や断絶、冷めた空気感を生むかもしれない。

一方で、郵便的・誤配・観光客的なふわふわ・曖昧なあり方で人と人が触れ合うと、何も起こらないかもしれないけれど、予定調和ではないからこそ、自然な人と人とのつながりや憐れみ・連帯を生むかもしれない。

※収録時の対話では、あまりシャープな喩えではなかったですが、、「運動会の紅組・白組。教師から連帯しろ!と強制されても冷めませんか?」と例示させていただきました。

※デモ活動を否定しているわけではなく、ある側面に焦点を当てた例示としてご理解ください。

「いっちょやってみるか(その先に何があるかわからないけれど、まずは開かれていよう)」ですね。


最後の「ハニートラップ」のお話は、星野さんの潜在的な願望からの連想かもしれません。


なお、余談ですが、今回の32冊目「観光客の哲学 増強版」収録は試行的取り組みを行いました。

大人気Podcast番組「超相対性理論」に倣い、収録前に話す内容などを準備しすぎない・解像度を上げすぎない事による、観光客的(誤配・偶然・郵便的)な収録を目指してみました。

星野さん的に表現すると、「人生の横槍」的なあり方。

どのくらい実現されていたかはさておき、まずは読書からの学びを自分たちで小さく実践してみました。


次回は、これからの我々の寄るべき足場として重要と東浩紀さんが考える「家族」に関する概念を題材に、こぼれ話を展開します。

「観光客の哲学 増強版」の続編である、「訂正可能性の哲学」にもつながる話です。お楽しみに、

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Tue, 30 Jan 2024 04:58:33 GMT
ep31-3「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-国家と個人の間の”家族”・中間集団・利他・三ちゃんビジネス-

「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)の3回目は、本の内容を酒の肴にさせていただき、話題を拡散していく「こぼれ話」の回。


東浩紀さんの考える「家族」という新しい概念(家族概念の読み直し)から出発。


1.国家と個人のあいだが必要

大きくて遥か遠くにあり概念的な国家(ナショナリズムにつながる)と、個人の努力や責任を強く求める個人主義(資本主義・グローバリズムや新自由主義につながる)という、2つの両極端なものしか依るべき足場がない現代。

マルクスの階級論(階級=奴隷・土地・お金というモノを所有する権利を持つ人達が特権階級となる世の中を変えよう)が力を失った今、人々が依るべき場所をなにか見つけなければならない。


2.「偶然の家族」という開かれた中間集団

その依るべき場所として東浩紀さんが仰る「家族」(一定の強制性、偶然性、拡張性の3つの特徴を持つ)概念は、他の論者の方も仰る「中間集団」の必要性に通じるものだと思います。

血縁主義や家父長制的な、閉鎖的で固定的な家族概念ではなく、偶然性にオープンで少し流動的な存在。そして、その「家族」は、複数あって良い。


3.「利他」から生まれるつながり

また、「三ちゃんビジネス(経営)」(じいちゃん・ばあちゃん・かあちゃんの三ちゃん)を喩えに、「拡大・上昇」を志向するあり方とは違うビジネスや生き方をしていきたいし、我々も実践してきているという話題や、本書の「憐れみ」というキーワードから「思わず助けたいと思ってできるつながり」→「利他」→「伊藤亜紗さん(読書の時間6冊目「利他とは何か」)の視覚障害者の方への自然なサポートから目が見えない人々の世界を教わりつながりができることの意味」など、へ展開していきました。


「中間集団」といえば、我々も東京の神田で小さな中間集団的なもの(足場)を育み出しています。


今後はPodcastの作成だけではなく、本の出版や地域活動などもぼちぼちやっていく予定です。

「スケールする」や「マーケットのニーズが〇〇」といった陳腐なビジネスワードとは無縁に、なんとなく感覚が合いそうな善き人たちと、緩やかに一定距離も保って縛りすぎない関係性での足場づくりを進め、このPodcastでも進捗を共有していきたいと思います。


書籍に関するコメントやご要望も絶賛、お待ちしております。

それではまた、32冊めの読書の時間でお会いしましょう。

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Tue, 30 Jan 2024 04:57:16 GMT
ep32-1「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-二項対立・白黒つけない・生きづらさ-

近年、耳にすることが増えた「ネガティブ・ケイパビリティ」。


17世紀のイギリスの詩人、ジョン・キーツの「事実や理由に決して拙速に手を伸ばさず、不確実さ、謎、疑いの中にいることができるときに見いだせる能力」という、兄弟に宛てた手紙の一文がポジティブ・ケイパビリティの起源として引用されます。


現代社会は、学校・ビジネス・生活など全般においてポジティブ・ケイパビリティ(問題解決を早急に行える力)偏重の時代。

だからこそ、「簡単に二項対立の構図に持ち込み、白黒の結論をつけたがるような思考停止をせず、揺れながら考え続ける」ネガティブ・ケイパビリティの必要性を感じる人が増えているのだと思います。


今回取り扱う本は、谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さんという30代・気鋭の論者の鼎談(ていだん)3回分をまとめた書籍になります。


粟野がフリーランスとして(ビジネスの場で)感じる個人的な実感としても、またこの書籍に出てくる話題(陰謀論、アテンション・エコノミー、各種エビデンス・ベースド・〇〇など)を考えても、様々な社会課題や「生きづらさ」といった課題に直面している現代、課題への緩やかな対応策のカギとしてネガティブ・ケイパビリティがあるように思います。


さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。


  • ネガティブ・ケイパビリティと「来るべきバカ」:哲学者・千葉雅也さんの書籍とリンク
  • イベントとエピソード:イベント≒非日常的なイベント・アテンションに踊らされるあり方/エピソード≒日常の取るに足らない事柄
  • 「ジブンゴト化」は良いことか?

  • それでは、2週目もお会いできることを楽しみにしています!

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    Tue, 30 Jan 2024 04:55:09 GMT
    ep32-2「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-「来るべきバカ」 ・イベントとエピソード・「ジブンゴト化」-

    「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)を読み、3つのキーワードをベースに話題を展開していく、2回目の放送。


    1.ネガティブ・ケイパビリティと「来るべきバカ」

    哲学者・千葉雅也さんの書籍「勉強の哲学 来るべきバカのために 増強版」と繋げながら、対話をスタート。


    「既存のノリ」にノレなくなったとき。

    それは学生が就職したときに体感する企業の論理に対する感覚かもしれませんし、フリーランスの粟野が感じている「求められるうちが花」などの紋切り型の”世間の常識”に対する違和感を持つ場面かもしれません。


    そういった場面に際し、周りの大きな声に流されて自分のざわざわする声を無視するのか、それともネガティブ・ケイパビリティを意識して、1つだけに偏らない考え方をするか。


    バージョン1のバカのままでいるか、バージョン2のバカになるか。どちらでもいいのかもしれませんし、もしかしたらバーション1のバカのままで思考停止している方が幸せかもしれません。


    けれども、同じバカならば、複数のものの見方ができたり、バカな自分を少し距離を置いて観察できたりするバージョン2のバカでいたいな、とは思います。


    2.イベントとエピソード

    イベントとは、非日常的な出来事や、SNSで発信するような、内容自体は日常の出来事でも「いいね」を集める欲求を強く内包した発信。つまりアテンション・わかりやすさに重心がある状態。


    一方で、エピソードは日常の取るに足らない事柄。社会学者・岸政彦さんの書籍「東京の生活史」がその象徴だと思いますが、市井の人々の取るに足らない日々の出来事や声。


    これも「ハレとケ」のように、どちらも人生において大事ではあるものの、どうしても昨今は「イベント=内容を吟味しなくてよい、わかりやすい脊髄反射的なもの」がメインストリームになりすぎているように感じます。


    安易に事象を判断せず、揺れながら考えるネガティブ・ケイパビリティの必要性が、だからこそ際立つように思います。


    3.「ジブンゴト化」は良いことか?

    学校、ビジネス、政治、そして家庭でも、自明の良きこととして捉えられている「ジブンゴト化」。


    もちろんジブンゴト化に良い面もありますが、あまりにも知らないことや考えられていないことに関して拙速に距離を近づけようとし、「なにかそれっぽい意見を持とう」「積極的な行動をとにかくしなくちゃ」とジブンゴト化しようとしすぎると、「陰謀論」や「新興宗教」的なわかりやすいものに簡単に取り込まれてしまう可能性が出てきます。


    ビジネス場面で言うと、会社側の指示に盲目的に従うこと、がその1つだと思います。会社と自分を一体化・癒着して捉えることは、会社/経営側からは理想的な「ジブンゴト化」ですが、そういった方向でのジブンゴト化だけで良いのでしょうか。


    何かに癒着しない(ジブンゴト化しすぎない)ための対抗策として、本書では「コーポラティブ・ベンチャー」といった中間集団を持つことが提案されています。それは、宮台真司さんのいう「共同体自治」、斎藤幸平さんの「コモン」、東浩紀さんの「家族」と同じ概念だと捉えられます。


    我田引水ですが、我々が神田・横みちで現在進行系で取り組んでいることは、小さな中間集団づくり。取り組みの方向性としては、とても時代の流れに合致しているのだなと、こういった論者の方々のご意見に勇気づけられます。


    その他、興味深い話題として、星野さんからNetflix番組「ライトハウス」(星野源さんとオードリー・若林さんの対話)から、幸せ感にも2種類あり、「ドーパミン(ドキドキの期待感)」とセロトニン(安心・リラックス)」がある、なんていうお話もいただきました。


    次回、3回目のこぼれ話の放送は、「ファシリテーションの功罪」など、星野さんのファシリテーターとしての専門的な見解も伺いながらネガティブ・ケイパビリティをまた別の側面から語っていきたいと思います。


    3回目もどうぞお付き合いください。

    --- Send in a voice message: https://podcasters.spotify.com/pod/show/tomoki-readingtimes/message
    Tue, 30 Jan 2024 04:53:27 GMT
    ep32-3「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」(谷川嘉浩さん、朱喜哲さん、杉谷和哉さん)-ファシリテーション/ワークショップ/コーチングが抱える危うさ-

    「ネガティブ・ケイパビリティ」から派生させた、こぼれ話の回。


    今回は、粟野の2つの疑問・憤りに関して、星野さんに教わりながら話は展開しました。


    1.ファシリテーションやワークショップが安易に使用される問題

    「ネガティブ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力」の中でも取り上げられている、各界のファシリテーションの専門家が書いた「ファシリテーションとはなにか」という本にあるファシリテーションへの懸念表明と、学生時代の粟野の苦い経験(ワークショップで仲間はずれになる)をかけあわせ、問いを星野さんに投げかけました。


    ファシリテーションの型とは?型が本来持つ力を発揮する場や環境とは?効力を出すための導入とは?

    特にビジネスの中ではそもそも、ファシリテーションやワークショップが適切な場で実施されているのか、などの疑問にも展開しました。


    2.コーチングでよくされる問い「あなたが5年後に死ぬとしたら、何をしたいですか?」はありなのか?

    コーチングやソースなど類似のやりとりを経験した方であれば、一度は触れた経験があるのではと思われる”パワフル”な質問。

    「あなたが5年後に死ぬとしたら、何をしたいですか?」


    深くて良い問いである一方で、粟野が感じるのはある種の「ずるさ」。


    問いを投げる人と受ける人の関係性、質問者の意図は何か。

    理想や夢のビジョンを持つ力強さと、それ1つだけに盲目的にならないネガティブ・ケイパビリティ的な在り方。


    改めて、「ネガティブ・ケイパビリティ」の思考・スタンスを持つことは、「面倒くさい人」になるかもしれませんが(多分、なる)、時には日々の暮らしの中で立ち止まり、いつもはスルーしている物事を違う高さや方角から再考して遊んでみる、なんていうのも面白いかもしれません。


    取り扱う書籍に関するコメントやご要望なども絶賛、お待ちしております。

    それではまた、33冊めの読書の時間でお会いしましょう。

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    Tue, 30 Jan 2024 04:51:40 GMT
    ep33-2 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-オーバードライブ・未目的・自分にする-

    「原っぱと遊園地」、建築家・青木淳さんの書籍から3つのキーワードで話を展開していく2話目。


    1.解脱して初めて出会える原っぱ

    青木淳さんは書籍の中で、原っぱとは「宅地として完成する一歩手前で、その意図が見えなくなってしまった空間である。」

    と語られています。ドラえもんに出てくる、土管がある原っぱ。


    「遊園地」的に予め決められた遊び方や楽しみ、目的が設定されているのではなく、ともかくそこへ行って、何をするか、どんな楽しみ方をするかを決められる特別な場所。


    そんな原っぱになるためには、既存のルールが背後に消えてしまう=オーバードライブが必要だと仰ります。(学校が廃校となり、学校というルール・形が消えて、美術館として利用されるように)


    対話の中では、「オーバードライブ」のキーワードを起点に、アニメ「スラムダンク」の安西先生が、ホワイトヘアード・デビル(白髪鬼)からホワイトヘアード・ブッダ(白髪仏)となったことは、ある種の「オーバードライブ」かも、などの話へ展開しました。


    2.目的を手放すことで踏み入れる別の世界 -目的地を「未目的」な状態に差し戻す

    「住宅・住まいはかつては目的空間の集合体ではなかった」という青木淳さんの指摘。

    設計者側が住宅の各部屋・機能の目的を「お節介に」設計するのではなく、住む人たちが使いながら、自分たちの住まいを創っていく。


    そこから、フロー状態や、私(粟野)の10数年前の勘違いをしていた恥ずかしい思い出へ飛び火。


    3.建築にする。自分にする。

    「マルタン・マルジェラとイッセイ・ミヤケの服作りの違い」から。

    ・とにかく形式の外に出ようとするのか

    ・形式の中にしかいれないと理解しつつ外を目指すか。


    建築や服作りを、「自分」に置き換えて考えたり、仏師(ぶっし)の「その木の中にいる仏を掘り出すだけ」という言葉へ繋がったりしました。


    次回、3回目のこぼれ話の放送は、「原っぱ」的な人と人の関係性や過ごし方などを筋書き無しで話し合っていく予定です。

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    Tue, 23 Jan 2024 09:30:00 GMT
    ep33-1 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-建築・師匠と弟子・2つの顔・昭和ならではの味わい-

    2024年1月1日に発生した能登半島地震。

    被害に遭われた方々、生命を落とされた方々に心からお悔やみ申し上げます。


    私(粟野)の長男も石川県の高校に在籍している関係から、直接ではないものの被害状況や地震の影響を感じております。

    現時点(2024年1月時点)では、できることは寄付だけかもしれませんが、1日も早く以前の日常が戻ることを強く願っています。

    ※収録:2023年12月末


    ====================


    読書の時間33冊目は、「建築」というこれまでと趣が異なる領域の本を扱います。

    2004年に出版された「原っぱと遊園地」。

    ルイ・ヴィトン表参道店の設計などで著名な建築家、青木淳さんの著作です。


    原っぱ、自由、解放・開放、目的化しない・・・


    青木淳さんと、お師匠さんである磯崎新さんとの「師匠と弟子」のエピソードも令和の時代だからこそ、昭和のスタイルに気づきがあるのでは。

    https://bunganet.tokyo/mitoaoki/

    青木淳氏が語った師・磯崎新の2つの顔、「水戸芸術館を創る」展で初めて明かしたあの頃

    など、ネット上で複数あるのでご興味あればご覧ください)


    さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。

    1.解脱して初めて出会える原っぱ

    2.目的を手放すことで踏み入れる別の世界 -目的地を「未目的」な状態に差し戻す

    3.建築にする。自分にする


    2024年も地道に継続して放送をして参りますので、動画や読書に飽きた時にでも耳を傾けていただければと思っております。

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    Thu, 18 Jan 2024 06:51:53 GMT
    ep31-1「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-訂正可能性・偶然性/無責任性/曖昧性・人間っぽさ-

    「アワノトモキの読書の時間」 31冊目は、批評家・作家・哲学者・経営者という多様な側面を持つ、東浩紀さんの著作「観光客の哲学 増強版」。

    東浩紀さんについては、出版社・人文系のトークイベントなどを多数主催されている「ゲンロン」の創業者としてご存じの方も多いかもしれません。

    1回目の序盤は、今回扱う本の続編として2023年9月に出版された東浩紀さんの最新作「訂正可能性の哲学」の「訂正」というワードから"横みち"を2つほど。

    ・星野さんの名著「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。つながる生き方――共創で夢を叶える」はKindle版のため、出版後も随時「訂正可能」であり、またオンデマンド出版。非常にweb・デジタル的。

    ・一方で、一部で話題沸騰のている社発行の雑誌「新百姓」は、Amazon等では購入不可で雑誌づくりの方向性に共感した書店中心の販売かつ、発行部数を限定。非常にアナログ・紙の良さを追求。

    どちらも良さがありつつ、有限性に惹起される渇望、常にアクセスできないことによる想いが募る状態、などに話題が展開しました。


    さて本編に戻ると、私(アワノ)が「観光客の哲学 増強版」をチョイスした理由は2つ。

    1つは、「観光客的な在り方=偶然性、無責任性、曖昧性を持つことが自分に必要ではないか」という必要性に駆られて。

    もう1つは、X(旧:Twitter)上で、社会学者の岸政彦さんに泥酔して絡みブロック・罵倒されている東浩紀さんの打ちひしがれた姿を見て、東浩紀さんに対して「憐れみ(人間っぽさ・親近感)」を感じて、思いがけず読みたいと思った。

    この2点ですが、恐らく2つ目の事象を目にしなければ、仮に本は読んだとしてもPodcast「アワノトモキの読書の時間」では取り扱わなかったかもしれません。まさに偶然。

    ※ちなみに、書籍に「観光客」という題名はついていますが、「有名観光地」や「観光業」に関する本ではなく、メタファー(比喩)としての「”観光客的な在り方”=偶然性、曖昧性、無責任性を帯びた存在の意味」を取り扱った本になります。

    最後に2週目に取り扱うキーワードは3つ。

  • 裏口から引きずり込む戦略
  • 他人の欲望を欲望する時代
  • 誤配・観光・憐れみ
  • ぜひ2週目も楽しみにお待ち下さい。


    感想・コメントや取り扱いたい書籍のリクエストはコチラまで↓




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    Mon, 13 Nov 2023 23:25:12 GMT
    ep30-3「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

    さて、武藤北斗さんの「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」のこぼれ話です。

    武藤北斗さんは書籍にくわえて、Youtubeでもパプアニューギニア海産の経営や働き方等について紹介しています。粟野さんはこのYoutubeの内容がとても赤裸裸だったことに驚かれたそうです。

    その内容をいくつか紹介します。

    ・仲良しを目指さない職場

    従業員同士が仲良くする必要がなく、かえって仲良くしすぎると派閥ができてしまう。従業員の誰かが孤独にならないように、職場では適度な距離感を大事にしたいとのこと。そして、この適度な距離感こそが家族だと武藤さんは述べられています。

    ・ルールが優先

    気を利かせて誰かの人の仕事を手伝うことや休憩中に話しかけることがNGであったり、トイレに行くときは必ず声かけをしたりなど、諸々のルールを明文化しています。


    自由な働き方を求める粟野さん。ですが、パプアニューギニア海産や武藤北斗さんを調べていく中で予想外にルールが多いことが分かり、少し葛藤があるようです。

    とはいえ、パプアニューギニア海産のルールは社内のトラブルや問題になりそうな点を抑えるためという明確な理由があり、多様なスタイルの会社が存在し、働く人にとって多様な働き方を選択できる状態とも言えます。


    いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!

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    Tue, 07 Nov 2023 04:35:00 GMT
    ep30-2「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

    引き続き、「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」を扱っていきます。

    前回は、著者の武藤北斗さんについて、また武藤さんが経営するパプアニューギニア海産について簡単に紹介しましたが、今回は本書籍をもとにパプアニューギニア海産の経営や働き方等について詳細にお話していきます。

    今回のキーワードは、こちらです。

    • パプアニューギニア海産の独自路線の経営
    • 仕事はたかが仕事
    • なぜパプアニューギニア?

    ・パプアニューギニア海産の独自路線の経営

    パプアニューギニア海産の働き方で特徴的なのが、こちらの2つです。

    ①フリースケジュール

    パートさんが好きな時間好きな日に働いてOK。急に会社に行きたくなくなっても連絡をしてはいけない。

    ②嫌いな仕事をしてはいけない

    約30の仕事の工程を個人の好き嫌いで分け、2-3カ月に1度更新し、好きな仕事のみを行う。無理に頑張る姿勢がよくないという方針。

    このような働き方で会社の経営が成立するのか気になるところですが、実際パートさんも仕事が回る程度で出社するそうです。ちなみにこの働き方はパートさんのみ対象で、社員さんの働き方はまた異なるとのこと。

    ・仕事はたかが仕事

    武藤さんは嫌いなことはやらないでいいというスタンスで、人生で向き合うことは仕事以外にたくさんあるので、全メンバーがエビの仕事だけに一生懸命向き合う必要はないと述べています。また、パプアニューギニア海産では、メンバー同士で仲良くする必要がない文化を進めていて、送別会・忘年会なども一切ありません。

    粟野さんも、子どもの将来の夢が仕事のことのみに限定されがちなことに疑問を持っていたりと、このパプアニューギニア海産・武藤さんのスタンスには、とても共感。

    会社内での誕生日のお祝いや業務後のスポーツ観戦などの懇親の場が苦手な人もいるため、パプアニューギニア海産のように仕事と個人の線引きが明確な会社がもっとあってもよさそうですね。

    ・なぜパプアニューギニア?

    パプアニューギニア海産では、パプアニューギニア産の高品質のエビを提供しています。また、添加物・薬品も入れず、エビフライは小麦粉やパン粉も厳選しています。

    パプアニューギニア海産は30年ほど前に武藤さんの父親が設立し、この社名はお父さんの経歴・活動から来ています。

    武藤さんの父親は長崎大学水産学部出身で、船乗りの仕事でお金を貯めた後、学生結婚した奥様とニューヨークへ。帰国後、第二次オイルショックの影響で、築地の水産系の会社に就職し冷凍エビを担当。発展途上国から安く商品を仕入れる従来の業界の仕組みを避け、会社を辞め青年海外協力隊としてホンジュラスへ。その後、国際協力事業団の仕事でパプアニューギニアに出会い、パプアニューギニア側の要望で販売会社を日本に設立。漁師など生産者の立場に立ったビジネスや今では当たり前になってきたフェアトレードを当時から実践してきました。

    自分が正しいと思う道を切り開いていく父親の姿が、今のパプアニューギニア海産の独特な働き方にも影響を与えているようにも感じました。

    いかがでしたでしょうか。 一つの新しい働き方として、パプアニューギニア海産の働き方に対しても注目していきたいですね。


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    Wed, 01 Nov 2023 04:38:37 GMT
    ep30-1 「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」(武藤北斗さん)

    いよいよアワノトモキの「読書の時間」も30冊目へと突入しました。

    今回扱うのは、「生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方」です。

    著者の武藤北斗さんが経営する株式会社パプアニューギニア海産の働き方について書かれた本です。

    粟野さんは、ラジオ番組でこの会社と武藤北斗さんについて知り、自身のX(旧Twitter)でも紹介したところ、「人生で苦しみをなくしたい」と武藤さんからも連絡がきたそうです。

    武藤さんは、Youtubeやnote等のメディアでは、いい人の印象を受けるものの、「実際は良い人ではない」「独裁者」「メディアで作られたイメージがある」などと自身で言われているよう。

    また、好きな時間で好きな日数働ける会社ということで注目され、応募も多数来るのですが、会社のミーティングの様子などYoutubeを見てくれとよく伝えられているそうです。

    パプアニューギニア海産では、好きな時間で好きな日数働ける一方で、返事の仕方、ロッカー移動の是非など決められたルールが結構あるとのこと。

    パプアニューギニア海産のようにルールや方針などわかりやすい会社が多様にあれば、多様な選択肢がでてきて、働く人にとってもいいのではないでしょうか。

    次回以降で、キーワードを出しながら本の内容を紹介していきますね。


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    Mon, 23 Oct 2023 14:01:19 GMT
    ep29-3「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

    さて、星野文紘さんの「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」のこぼれ話です。


    ・小学校以降の教育について

    保育園・幼稚園ではのびのびと育つことを重視されますが、小学校以降は、ルールや規則重視に切り替わる印象がありませんか?その結果、自分の心の声を聴くことを忘れてしまうのでは、と個人的に考えています。この点が変ってくると、心の声を聴ける状態のまま育っていけるのかもしれません。


    ・山伏修行の人気の高さ

    感染防止のための行動制限がある時代にもかかわらず、山伏修行はキャンセル待ちが出るほど人気で、リピーターの方も多いそうです。それは、文明が日に日に発展していくこの現代で、かつて人間が持っていた本能や感覚が失われてきた影響かもしれません。普段味わう機会が少なくなってきたからこそ、本能や感覚を大切に味わいたいという想いが、山伏修行の人気の高さにも繋がっているのかも?


    ・仕事のやりがい

    現代を生きる我々は仕事のやりがいを論理的に考え見出すことが多いですが、論理ではなく感情にしたがってみるのも大切なのかもしれません。星野は粟野さんの山伏修行体験を聞き、本能や感覚のみに頼って生きていく実践をしてみたくなりました。とはいえ普段の仕事の場面ではこのスタイル100%でいるのはなかなか難しい面も。私たちが乗り越えていくべき課題の一つですね。


    ちなみに、粟野さんが参加された山伏修行の次回コースに参加するには、2024年4月時点にFacebookページから申込しなければいけないそうです。公募開始後、すぐに埋まってしまう大人気コースとのことですが、興味がある方はぜひチャレンジしてみてください!


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    Mon, 25 Sep 2023 22:30:00 GMT
    ep29-2「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

    引き続き、星野文紘さんの「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」を扱っていきます。

    前回は、粟野さんの山伏修行の体験をメインにお伝えしてきました。

    山伏修行に関する書籍は数多くあるのですが、星野さんが知識を入れることが必ずしも良いとは限らないという言葉を受けて、粟野さんは今回扱っている作品以外は読まれずに、自身の山伏修行体験に臨まれたそう。


    さて、今回のキーワードは、こちらです。


    • 感じる知性
    • 祈り
    • それぞれの縁起を生きる

    ・感じる知性

    現代人は「感じる」のではなく、「考える」をしがちな傾向があります。準備や目標設定、計画などもその例ですよね。もちろんこれらのいい面はありますが、高い論理的思考力を持つエリートたちが考えに考えた結果、よくないことを起こしていることもあります。

    山伏修行では、参加者が「ただ感じてくださいね」という先達のスタンスに従い、言葉も封印し、歩きながら雑念にとらわれないようにします。つまり「感じること」が優先される環境がつくられるのです。そして、先達も「感じる直感をためていくと、直観やひらめきが起きてくる」と伝えられています。

    考えることばかりが知性と捉えられがちですが、感じることも動物・人間が持っている高度な知性ではないでしょうか。


    ・祈り

    山伏修行では、「祈り」という行為をしながら山を登ります。初心者向けの山伏修行では、紙に書いてある言葉をみんなで唱えて、「祈り」を行います。

    ここでの「祈り」は、感謝を伝える祈り・亡くなった人への祈りのようです。しんどい行為のようにも思われますが、粟野さん曰く自由に歌を歌っているような感覚だそう。世界の宗教の多くでは祈りの時間をとっていますし、元来自然が神であり、教義・経典がなかった日本においても、人々にとって「祈り」は当たり前の行為だったでしょう。

    現代日本の日常生活では祈りも失われてきているように感じますが、マインドフルネスの浸透や山伏修行体験の人気など、現代においても人々はそのかわりとなるものを求めている気がします。


    ・それぞれの縁起を生きる

    先達は、「色んな出会いや決断の場面があるが、感じるところに従って生きるのもいいのでは」と修行の後に仰りました。

    粟野さんは、感性・直感より論理にとらわれて、大学院卒業後に大学教員を目指さなかったことを後悔している一方で、直感100%で結婚したことはとても良かったらしく、時には感性に従って生きていくことの大事さも実感されているそう。

    感じるままに生きていく中で出会った人たちの縁を大切にしていくだけでも、私たちは幸せになれるのかもしれませんね。



    自身の感覚・感性で生きていくことについてお伝えしてきましたが、子どもたちの夏休みの日記って論理的に考えて書いたというよりは、自分が感じたことをただ書いてていいなあと思いますね。

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    Tue, 19 Sep 2023 09:00:00 GMT
    ep29-1「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀」 (星野 文紘 さん)

    29冊目に扱うのは、「感じるままに生きなさい ―山伏の流儀 星野 文紘 (著)」。

    現役山伏の星野 文紘さんが長年の実践を通して書かれた本です。

    粟野さんは、先日山形県の出羽三山に山伏修行に行かれるにあたって、この本を読まれました。

    この出羽三山は、生まれ変わりの山と言われています。


    小学生の頃から奈良・和歌山の山伏修行をテーマにした本を読んで以来興味を持っていた山伏修行。

    昨年自身のコーチングの先生にすすめられて、今回2泊3日の山伏修行を決断された粟野さん。

    フリーランスになられて5年が経ち、計画を立てて事業やっていくことや論理で考えることに限界を感じてきたのもあり、体を使って感じることを大事にしてみたいと考えて臨まれたそう。

    以下、今回の粟野さんの修行体験内容の概要です。

    • スマホ・PC使えない。
    • 時計を外すので、時間はわからない。
    • 修行中は会話厳禁。唯一、声に出せるのは「受け給う(うけたもう)」だけ。
    • 「法螺貝の音」が行動の基準。だが、スケジュールや法螺貝が鳴るタイミングはいつかわからない。
    • 歯磨き、洗顔もダメ。
    • ふんどし・白装束で3日間同じ服装。
    • ご飯も「頑張り」という修行。無言で早く食べないといけない。
    • 何も話せないので、参加者の目的・経歴・名前はわからない。ただし、修行が終わった後に一同で感想を話すので、そこで分かることもある。
    • 参加者の6-7割は女性。
    • 論理などではなく、「感じること/直感」や「魂」が大事にされる。


    一見厳しそうな内容に聞こえますが、一般的な体力があれば問題ないようです。

    次回以降で、粟野さんの体験と繋ぎ合わせてキーワードを出しながら本の内容を紹介していきますね。


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    Wed, 06 Sep 2023 09:00:00 GMT
    ep28-3「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

    28冊目は「小さな泊まれる出版社」を扱ってきましたが、今回はこぼれ話の3回目です。


    真鶴出版の影響もあってか、真鶴への移住者が増えているそうです。

    ただ、真鶴はまちをあげて移住施策を進めているわけでもなく、來住(きし)さんも「真鶴に移住したい人」を増やしたいのではなく、「真鶴を好きな人」を増やしたいとのこと。

    移住者を増やしたい自治体は多いですが、日本国内の人口が減っていく以上、移住者を増やそうとすると自治体間での移住者の取り合いに繋がります。

    その点「そのまちを好きな人を増やす」という視点は、今後の日本社会を考えるうえで面白いなと思います。

    真鶴出版が、「小さな泊まれる出版社」という本を作られたこと自体が、真鶴を好きになる人を増やすのに影響を与えているように思います。


    現在、真鶴出版の宿泊施設の1号店は閉じられていて、2号店のみを運営されています。

    そして、今後新たな3号店を作られる予定です。

    大資本に寄らず、日々の暮らしを大切にされている真鶴出版の今後に注目していきたいですね。

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    Mon, 21 Aug 2023 21:30:00 GMT
    ep28-2「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

    引き続き、「小さな泊まれる出版社」を扱っていきます。今回は、粟野さんが「小さな泊まれる出版社」を読み共感したことや、実際に真鶴出版に宿泊体験して感じたことを紹介します。

    ・粟野さん共感ポイント①:人と地域の編みなおし

    真鶴出版は、「人と地域の編みなおし」を大切にし、自分たちをReローカルメディアと位置付けています。粟野さんが掲げている「人と組織の編みなおし」というテーマとの関連性を感じ、を大切にされており、その点で真鶴出版の「人と地域の編みなおし」に親近感を感じられたそう。真鶴には観光名所は多くはないけれども、真鶴出版を通して会いたい・行きたいなあと思う人たちが出てきます。これは、真鶴出版が街の日常を大事にされているから、そういうスタンスが真鶴出版の周りに人の繋がりを作っていくのかなと思います。

    ・粟野さん共感ポイント②:生き方の選択肢を増やしたいという來住(きし)さんの言葉

    真鶴出版の宿のオーナーの來住さんは、新卒就職の道に疑問を感じ、大学卒業後は青年海外協力隊となりタイに行かれました。帰国後も模索する中、真鶴出版で宿泊業を始められました。そんな生き方を歩まれてきたからこそ、生き方の選択肢を増やしたいという言葉が來住さんから出てきたのではないかと思います。そして、同じく世の中に生き方の選択肢を増やしていきたいと願う粟野さんも、來住さんの言葉に共感されたそうです。來住さんは、青年海外協力隊になった際に弟さんに「(人生)終わったなあ」と言われたそう。それでもしっくりくるものを求めて、真鶴出版で宿泊業にたどりつき、真鶴出版のファンができて移住者も増えている状況はかっこいいですね。

    ・粟野さん宿泊体験の感想

    真鶴出版の宿に一歩足を踏み入れると空気感の変化が感じられて、この空間では誠実に・自然体で生きないといけない、と思われたそうです。神社の空気感と似てるかも?一般的な宿泊施設では自分が払ったお金の対価を受けるだけ、という体験で終わってしまいますが、そういうものとは異なる体験をできたことも、良かったみたいです。また、バラエティに富む本が様々な場所に置かれており、そこにも心地よさを感じられたそう。そのセレクトも粟野さんが普段読む本とは違い、新鮮で刺激にもなったよう。

    今回改めて感じたのですが、來住さんのように、自分がやってきたことのみから語る人の話は説得力ありますよね。自分の経験・体験から学ぶこと、自分の経験・体験を増やすこと。やっぱり大事です。



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    Tue, 15 Aug 2023 06:55:32 GMT
    ep28-1「小さな泊まれる出版社」(來住(きし)友美さん)

    28冊目に扱うのは、真鶴出版の「小さな泊まれる出版社」です。

    神奈川県真鶴町で出版と宿泊の「泊まれる出版社」を営む、真鶴出版の川口瞬さんと來住(きし)友美さんご夫婦のプロジェクト記録です。文章は來住さんが書かれています。

    苦労して成功を勝ち取った体験記とは一風異なる本書。読み終えてみると、成功を目指してというよりは自然体で進み続けた結果、真鶴出版がいまの状況にたどりついたのだ、という印象を持ちました。

    「小さな泊まれる出版社」は、amazonなどからは購入できず、真鶴出版など限られた書店でしか購入できません。

    真鶴町は、神奈川県南西部にある海がきれいな地域で、近くには、箱根や小田原があります。

    粟野さんは今年の6月にご家族で真鶴出版に宿泊されました。

    築50-60年の古民家をリノベーションされた真鶴出版の宿泊施設は、室内に本が散りばめられて置かれており、心地よい空間だったそう。また、真鶴出版のご夫婦含めて、真鶴の人々と交流ができたのがとてもよかったとのことで、また近いうちに真鶴に行かれるとのことです。


    次回以降で、粟野さんが「小さな泊まれる出版社」を読んで共感したことや真鶴出版に宿泊体験して感じたことを紹介していきますね。

    ちなみに、出版テーマに関連して、「船を編む」という辞書を作る映画を最近見た星野は、インターネットの検索機能に頼りすぎず、辞書をもっと使っていきたい気持ちになっています。


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    Tue, 08 Aug 2023 00:15:00 GMT
    ep27-3「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

    1時間OVERの第2回、聞かれた方々はありがとうございました。

    今回は、こぼれ話の第3回をお送りします。
    (すでにこぼれ話をしまくってはおりますが…)

    村上春樹さんの小説を読んでいると、自分の心と、無意識的な部分と向き合える時間が取れているように思うんです。これは一体何が言いたいんだろう、自分の場合はどうなるんだろう、と。そういう時間が積み重なることで、結果的に自分の物語も築き上げることになっているんじゃないかと思います。

    また、村上春樹さんの小説を読み、自分なりに解釈することを繰り返すことで、自分に何らかの力を蓄えているように感じます。その力は、将来的にお金でも物理的な力でも、医学でも救えない人を救える可能性を高めてくれるんじゃないか、と。


    小説家として、自分の信じる姿勢を貫いている村上春樹さん。「走り続けていることからも、胆力を感じる」というアワノさんの言葉には心の底から納得しました。

    ちなみに、最近流行のChatGPTにも「村上春樹さんの小説の魅力」を聞いてみました。

    曰く、「普遍的な人間経験を扱っているために、素晴らしい」そうです。

    他にも色々と魅力を挙げてくれてはいたのですが、この点については深く同意でした。古代から人間が自分や世界を理解して受け入れていく姿勢についてはおそらく大きな変化はなくて、でもそれを伝える昔話や神話などは放っておくと廃れてしまう。なので村上さんたち、物語を紡いで伝えていく人たちは大切な存在なのだろうと思います。


    ぜひ我々も、井戸を掘り、自分たちの物語を探し、見つけて、積み上げていきましょう。


    以上、3回にわたり、特別回「ホシノリョウタの読書の時間」での、村上春樹さんの「街とその不確かな壁」をご紹介してきました。

    いかがでしたでしょうか。星野は、村上春樹さんについてたくさん語らせてもらい大満足です。いつか、「1Q84」や「騎士団長殺し」といった作品を扱ってまた語りたいですね。興味が出てきた方はぜひ「街とその不確かな壁」を読まれてみてください!そしていっしょに語りましょう。

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    Wed, 19 Jul 2023 08:06:00 GMT
    ep27-2「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

    引き続き、特別回「ホシノリョウタの読書の時間」として、村上春樹さんの「街とその不確かな壁」を扱っていきます。

    星野が村上春樹作品を読み始めたのは高校生の頃から。最初に読んだ作品は「ねじまき鳥クロニクル」です。今回星野は「街とその不確かな壁」から引用をしながら、村上春樹作品のポイントや醍醐味を語ります。その中から、いくつかをご紹介しておきます。

    意識と無意識の存在

    • ユング心理学の影響や関連性
    • 地下二階論
    • 夢の持つ重要性

    主人公の一人称視点の中で進む物語

    • 明かされない謎や疑問がいっぱいある
    • 自分にとっての意味を探すことに重きを置く
    • 自分にしか果たせない役割を見つけていく

    単純に星野の好み

    • 変わり者の男性だが、社会と関わりを持てている
    • 妙な表現をつかうことを好む
    • それでも、聞き手として信頼されている


    村上春樹さん自身も常々言及されていますが、「物語」が果たす役割はとても大切なものです。自身の存在意義を知ることにも繋がります。過去、現在、そして未来に向けて一人ひとりがそれぞれの物語を紡いでいくことがもしできなければ、そこを他者の物語に委ねてしまうことになります。それはとても危険なことにも繋がり得る。

    善き物語・小説を読むことは、それぞれが自分の物語を持つために役立つのだろうと思います。

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    Mon, 10 Jul 2023 05:58:03 GMT
    ep27-1「街とその不確かな壁」(村上春樹さん)

    27冊目となる今回は、特別回になります。

    「ホシノリョウタの読書の時間」ということで、4月に発売された村上春樹さんの最新作「街とその不確かな壁」を星野が解説します。

    村上春樹さんと言えば、日本で最も著名な小説家。

    日本や世界で広くその作品が読まれている一方で、粟野さんのように、内容が理解できないという意見もたくさんあり、色々な方々によって意味論や評論が多くなされています。

    今回は、評論や批評をするのではなく、視聴者のみなさんが読んでみたいと思ってもらえるような解説(星野の個人的な語り)をできたらと思っています。

    そして、村上春樹さんの推し活を一緒にできる人を増やせたら嬉しいです。

    粟野さんのような入念な準備はできず、キーワードもなくダラダラとお話していきますが、ご了承ください!熱はこもっていると思います。

    詳しくは次回以降で解説しますね。

    ちなみに、先日「アワノトモキの読書の時間」の視聴回数がついに1万回に。

    皆さまありがとうございます!

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    Fri, 30 Jun 2023 08:31:10 GMT
    ep26-3「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

    さて、今回は「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場」のこぼれ話です。

    この作品に関連して、参考図書として粟野さんが読まれた「認知資本主義」という本から、コーチングの闇についてをご紹介します。ちなみに、粟野さん自身も6-7年前からコーチングに通い、星野もコーチングの本を書くなど、関わりの深い分野。

    コーチングは、19世紀のアメリカにて、クリスチャン・サイエンスの亜流であるニューソート運動が源流になるとのこと。クリスチャン・サイエンスは、キリスト教系の新宗教で神秘体験と結びついたものです。神の救済にあずかる者と滅びに至る者が予め決められているとするカルヴァン主義への反発が重なり、ニューソート運動という霊的な運動が起こりました。ただ、一般のキリスト教信者には受け入れられ難いものだったため、一般に受け入れやすい形で現れたのが自己啓発とのこと。カーネギーやナポレオン・ヒルなどですね。そして、自己啓発が現代風にアレンジされたものがコーチングの起源だそうです。

    コーチング業界では、源流のニューソート運動やクリスチャン・サイエンスがやや怪しいものかつ、その出自が隠されがちであることが問題なのではないかと考える粟野さん。星野としては、コーチングが怪しいと思われていること自体が問題かと考えています。それは、コーチングの型から抜け出せず、コーチングは絶対に正しいと言う人たちがいるからかもしれません。

    この辺りは様々なご意見のある所かとは思いますが、今回のコーチングの出自のように、ものごとの歴史・由来を知ることは面白く、かつ大切なことでもありますね。

    いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!


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    Fri, 23 Jun 2023 00:50:25 GMT
    ep26-2「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

    引き続き、「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場」を扱っていきます。

    イノベーション関連の書籍は色々ありますが、1つのイノベーション事例に対して、3人の著者の視点から語られているのが本書の魅力です。


    さて、今回のキーワードはこちらです。

    • イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?
    • ようこそおとぎ話の時代へ
    • デザイン思考という落とし穴


    ・イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?

    この作品では、従来のコミュニケーションスタイルを「やりとりロジック」、イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルを「対話型ロジック」と定義しています。 やりとりロジックのコミュニケーションは、オフィスで電話やチャットなどでクライアントから依頼があり、それに対する成果物をオフィス内でのチーム同士で相談・分担して作り上げていくようなものです。このスタイルでは、上下関係があり、効率的な進め方になります。一方で、対話型ロジックのコミュニケーションのイメージは、働いている人が自分の好きな場所で働き、必要に応じて連携をとるようなものです、関係性も、上下関係はなく水平関係。クライアントや決裁者が求める答えを出すなど、答えが決まっている時代では、やりとりロジックのコミュニケーションで問題ありませんでした。ですが現代ではクライアントと対話を続け、そもそもの答えを見つけること自体が必要になっています。対話型ロジックの重要性が増してきているわけです。


    ・ようこそおとぎ話の時代へ

    対話型ロジックは、若者を中心に受け入れられ始めています。ただし、よくないストーリー(悪いおとぎ話)をつくることがあるため、扱う時には注意が必要かもしれません。著者の一人である経済学者の北川亘太さん曰く、制度経済上、私たちは「認知資本主義」の時代に生きているとのこと。認知資本主義では、金融化がポイントで価値の判断基準がお金になります。年収で仕事の上下を決めてしまうような判断軸もその一つですよね。そのため、対話やストーリー性をお金に換算して判断しようとする場合が起こりがち。気をつけないといけません。ゴールがお金だけに縛られていないおとぎ話を目指したいものです。


    ・デザイン思考という落とし穴

    イノベーションとセットで語られがちなテーマとして、デザイン思考があります。その点、UCIラボはデザイン思考とは距離を置いてるそう。デザイン思考の概念が取り入れられ始めたのが1990-2000年代。その後はイノベーションが必要だからという理由でやたらとデザイン思考研修が行われる状態になりました。それでも日本から画期的なイノベーションが生まれていない現状を考えると、デザイン思考研修だけでは越えられない壁の存在を感じます。単なる概念だけに頼らないようにするためにも、対話が大事になるのかもしれません。


    今回の作品のテーマはイノベーションですが、資本主義をどのようにして乗り越えるかについても考える回にもなりました。

    認知資本主義を乗り越えていくために、新しい世界観を今後も考えていきたいと思います。

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    Thu, 15 Jun 2023 13:26:07 GMT
    ep26-1 「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」(北川亘太さん /比嘉夏子さん/渡辺隆史さん)

    26冊目に扱うのは、「地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみた現場 」です。人類学者や経済学者など専門が異なる3名の方によって書かれた本書。著者の一人である人類学者の比嘉 夏子さんに対してアワノさんが関心を持ったことから、本書を選びました。

    この作品は、UCI Lab.という対話にこだわるコンサルティング会社を通して、イノベーションの現場をエスノグラフィカル(もしくはフィールドワーク的にという言い方がわかりやすいかもしれません)に描かれており、やや難解かもしれません。とは言え、学びの多い内容でした。

    UCI Lab.は、約130年続く広告会社の社内ベンチャー事業から立ち上がり、独立したコンサルティング会社です。ちなみに、UCIは、「User Centered Innovation」の略。伝統ある会社の中でイノベーション的にこの新事業がどのように生まれてきたか、を読み解いていくことが、本書の大きなテーマになります。またアワノさん曰く、各章の最後に掲載されている著者3名による対話が印象的とのこと。

    さてさて、今回のキーワードはこちらになります。

  • イノベーションの時代に求められるコミュニケーションスタイルとは?
  • ようこそおとぎ話の時代へ
  • デザイン思考という落とし穴
  • また今回、これらの興味深いキーワードに加えて、「コーチングの闇出自」についても触れる予定です。コーチングとはかかわりの深い星野も興味津々(戦々恐々??)です。詳しくは次回以降で解説しますね。


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    Thu, 08 Jun 2023 00:59:25 GMT
    ep25-3 「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

    三島由紀夫さんの「不道徳教育講座」を扱ってきましたが、今回は余談話です。

    「不道徳教育講座」は、不真面目な人というよりは真面目な人に対しての不道徳のススメのように思われます。真面目に生きすぎるなよ、他人のつくったルールを気にしすぎるなよ、という三島さんからのメッセージではないかと。

    今回ご紹介したもの以外に、本に取り上げられている不道徳講座の中で粟野さんが取り入れたいと感じられたものはこちら。

    ・けんかを自慢すべし自慢をするときには意味がないことをした方がいい。人に妬まれるような自慢をするのではなく、どうでもいいことで自慢をすべきと。

    ・告白するなかれ自分の弱みをさらけ出すのは無礼者だ。本来の人の姿は醜いものだから、弱みや自分の本当の姿を他人に認めてもらうべきではないし、見せるべきではない。そこを愛せるのは自分だけなのだと。

    実は今回、粟野さんは自分なりの不道徳教育講座をやりたかったものの、道徳的に生きてきた人間なので不道徳話がなく、星野の子ども時代の不道徳の話をすることに。

    星野は子どもの頃からルールを守ることが嫌いで、宿題や持ち物をよく忘れるフリをして期限内に取り組むのを避けてきました。当然学校では先生に立たされ、叱られていましたが、その方が楽だと母親に言い張っていたようです。そこから、嫌なことは逃げ続けててもだいじょうぶ、最終的にはなんとかなるという成功体験を得てしまっていたのかもしれません。

    以上、3回にわたり「不道徳教育講座」をご紹介してきました。今の時代にも通用する内容も多く、三島由紀夫さんの作品の中では軽く読みやすいものですので、ぜひ読んでみてください!ご自身で読まれた方はぜひ感想をお寄せください!


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    Fri, 19 May 2023 05:40:04 GMT
    ep25-2「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

    引き続き、三島由紀夫さん著書の「不道徳教育講座」を扱っていきます。

    今回は、3つのキーワードを元に、過去に読書の時間で扱ってきた作品の内容と関連付けて解説していきます。

    ・人の恩を忘れるべし

    日々生きていると恩を受ける機会がありますが、三島さん曰く「受けた恩を忘れるべきだ」と。恩が原因で、人間関係を固定化させ、縛り付けて不自由にしてしまう可能性がある訳です。言い換えれば、恩が人生の貸借関係をつくってしまう。自分が恩を与える立場に立ったときには、リターンが戻ってくると思わないことが大事です。第6回で扱った伊藤亜紗さんの「利他とは何か」でも、「相手をコントロールしないのが利他の最大のポイント」と書かれていました。特に、親は、子どもに対して育てた恩のリターンを求めてしまうところもあるので、要注意。後輩におごる論もよくある話ですが、自分へのリターンを求めるのではなく、さらに下の世代へと恩を送る流れが生まれるとよさそうですね。ちなみに三島さんは、身勝手ですぐに恩を忘れるという点で、猫がお好きだそう。

    ・キャッチフレーズ娘

    これは、三島さんがとある女性に対して好きな音楽を尋ねた際に、キャッチフレーズ的な言葉で回答されたというエピソードについて書かれた章です。自分で考え、自分の言葉を繰り出すわけではなく、誰でも言えそうなキーワードやキャッチフレーズなど、借り物の言葉ばかりを使っている人々への批判とも言えます。インプットを重視している人はこの状態に陥る可能性が高いので注意が必要ですね。三島さん曰く、時代の影響を受けキーワードやキャッチフレーズを利用するのは仕方ないが、自分の頭で考えて自然な機知(ウィット)に富んだ言葉を使うのが大切だとか。第23回、千葉雅也さんの「勉強の哲学」に書かれていた、「知識を深く掘った後にユーモアで自分なりに思考を横に広げていくことの大切さ」と似ていますね。

    ・言葉の毒について

    それ自体に破壊力が備わっているという点で、「言葉には毒がある」と三島さんは述べられています。噂が回りに回って潰れた最近のアメリカの銀行は、言葉の破壊力を実感する例ですね。特に、対面で言われる自分の批判以上に、陰口や悪口は言い返すなど対応することができないので、腹立たしいものだと三島さんは語られています。また、以下のような文章もありました。「第三者から言われている悪口・陰口がもっとも自分が見たくないもので、それが本当の自分ではないのか」。当時、メディアなどにも叩かれていたであろうにかかわらず、客観的に自身のことを顧みれる三島さんの姿勢が感じられます。

    ただ、この言葉はあまりにも威力が強い。そんな時に、第21回で扱った「自分の中に毒を持て」の岡本太郎さんの考えが救いになります。「人間なんて欠点あって当たり前、そんなのを気にしている場合ではない、日々自分を変えていけ」。

    三島さんのこの3つのエッセイのテーマはどれもインパクトがあり、ついつい余談も盛り上がってしまいました。

    過去扱ってきた書籍と紐づけられると、より理解が深まっていく手応えがありますね。

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    Wed, 10 May 2023 22:24:52 GMT
    ep25-1 「不道徳教育講座」(三島由紀夫さん)

    25冊目に扱うのは、三島由紀夫さんの「不道徳教育講座」です。

    ご存じの方も多いと思いますが、三島由紀夫さんは戦後の日本文学界を代表する小説家の一人です。

    「金閣寺」や「潮騒」といった作品が有名ですね。

    政治思想の点などで、三島さんを敬遠される方もいますが、今回の「不道徳教育講座」は、

    週刊明星という女性向けの雑誌に掲載されていたエッセイなので、ユーモアにあふれており読みやすい作品です。


    今年の3月に大江健三郎さん、坂本龍一さんが亡くなられましたが、

    お二人のインタビュー記事で三島さんのことがよく出てくることもあり、粟野さんは三島さんに関心を持たれたそう。

    坂本龍一さんのお父さんは、出版社の編集者で、当時三島さんの担当だったこともあり、

    三島さんが亡くなった際に、坂本さんは三島さんの遺体と会わせてほしいと警察署に駆け込まれたエピソードがあります。

    また、大江健三郎さんは、著書「あいまいな日本の私」で三島さんに言及されています。


    さてさて、「不道徳教育講座」は69章のエッセイから構成されています。

    (本当は70章だったが、暗殺をテーマにしたエッセイが書籍化された際には除かれたそう)その中から、

    粟野さんが個人的に3つをピックアップしてくれました。


    今回のキーワードとなる各章をご紹介。

    ・人の恩を忘れるべし

    ・キャッチフレーズ娘

    ・言葉の毒について


    今回はこれらのキーワードを、過去に読書の時間で扱ってきた作品の内容と関連付けて粟野さんが解説されます。

    詳しくは次回で説明しますね。

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    Thu, 04 May 2023 06:28:47 GMT
    ep24-3 「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

    三回目の今回は余談回です。

    第二回の最後では、「教養とは、全体の中での自分の立ち位置・方向性を分かっていて、自分の考えを述べることができること」という著者のピエール・バイヤールさんのメッセージを紹介しました。

    このメッセージに対して、星野がとても共感するところがあり、全体の中で自分の立ち位置・方向性をとらえることの大切さを語らせていただきます。

    ・シードプランターシードプランター(種を植える人)は、ネイティブアメリカンの部族のチームビルディングの手法です。シードプランターでは、まずは自分で自分を感じ力を取り戻します。そして自分の好きなこと・得意なことを自覚していきます。自分だけでは見つけられない場合もあるので、他者の意見も聞きます。ただし、これだけだと、チームビルディングにはならないので、最後に自分が何を伸ばしていきたいかをチームの中に共有します。

    この過程が重要だと星野は考えています。昨今キャリアを考えていくときに、自分の一番好きなこと・得意なことを大事にしようとは言われがちです。しかし、それらが周囲に求められていなかったり、それらで稼ぐことができなかったりすることがあります。チーム・組織など全体の中で自分の好きなこと・得意なことをとらえ、伸ばしていく方向を定めるのは大事なのではないかと思います。

    最新の知識・スキルだけが必ずしも正しいというわけではなく、古くからの知の集積もこの現代に必要かもしれません。

    こうした手法は、現代の大人・子どもにとっても大事なソーシャルスキルになってくるのではないかと星野は考えており、シードプランターについて深く勉強していきたいなあと思っています。

    いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!


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    Fri, 28 Apr 2023 14:18:31 GMT
    ep24-2「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

    引き続き「読んでいない本について堂々と語る方法 [ピエール・バイヤール (著), 大浦 康介 (翻訳)]」を扱っています。

    この番組を通して、読書・教養とは何なのかを振り返るいい機会になったように思います。

    ちなみに、粟野さんが考える教養を持つ人とは、体系的にものごとを理解している人。

    星野の考える教養を持つ人とは、会話において相手への気遣いができている人です。


    今回のキーワードはこちらです。

    ・読書・教養はプロレスである

    ・読書・教養は本と距離をとることである

    ・読書・教養はクリエーターになることである



    ・読書・教養はプロレスである

    プロレスの世界では暗黙の了解ですが、ある程度演出が決まっています。

    それでも、エンターテインメントとして多くの人に受け入れられています。

    読書も、プロレスのように、本当は内容を知らないのに知っているように振る舞っていいんです。

    粟野さんの大学院生時代に、教授から言われた一言があります。

    「マルクスを面白いと思うが、どこが面白いかは聞かないで」というもの。

    大学教授でもこう言えるのであれば、読書を神聖・高尚なものとしてではなく、

    より気軽なエンタテイメントとして捉えても良さそうですね。


    ・読書・教養は本と距離をとることである

    ピエール・バイヤールさんは「教養とは、個別の1冊について詳しくなることではない」、

    むしろ「その本について語るなら読んでないほうがいい」と述べています。

    すると、教養とは「物事を詳細に知っていることではなく、俯瞰的にものごと全体を語れること」なのかもしれません。

    とはいえ、俯瞰的にものごと全体を語ることは簡単なことではありません。

    そう考えると、著者は学者や学問を学んでいる若者を対象にこの作品を書かれたのかもしれないですね。


    ・読書・教養はクリエーターになることである

    読書は受動的なイメージがありますが、ピエール・バイヤールさん曰く「作り出すことが教養である」とのこと。

    読書の規範にとらわれないほうが、個人のクリエイティビティが出てくる、と。

    ファンが勝手に生み出し、原作者にも公認された「ガンダムユニコーン」などはこの最適な例の一つかもしれません。

    「教養とは、全体の中での自分の立ち位置・方向性を分かり、自分の考えを述べることができること」と、

    ピエール・バイヤールさんは書かれています。

    このメッセージを受けて、星野がめちゃめちゃ語りたいことがありますので、こちらは次回で紹介させていただきます!

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    Fri, 21 Apr 2023 13:02:30 GMT
    ep24-1 「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤールさん)

    24冊目に扱うのは、ピエール・バイヤールさんの「読んでいない本について堂々と語る方法」です。

    ピエール・バイヤールさんはフランスで大学教授を務められる文学者。

    翻訳は、フランス文学の研究者で京都大学名誉教授の大浦 康介氏がされています。

    前回に引き続き、インパクトのあるタイトルですが、世界的にベストセラーになっており、30か国以上で翻訳されています。

    読書は高尚・神聖なイメージを持たれることがありますが、著者のピエール・バイヤールさんは以下の3つの読書の規範からの方向転換をすすめられています。

    ・読書義務(教養のある人は立派な本を読まなきゃダメだ)

    ・通読義務(最初から最後まで読み切らなきゃダメだ)

    ・本について語る規範(ちゃんと読んでなきゃ語っちゃダメだ)

    この3つの規範なんか気にせず、もっと気軽に自由に読んじゃったらいいよと。

    また、読んでいない本について堂々と語るときの心構えとして、以下の4つをあげられています。

    ・気後れしない

    ・自分の考えを押し付ける・

    ・本をでっちあげる

    ・自分自身について語る

    読んだ本から結論も勝手に変えてしまっていいというのはびっくりです。

    とはいえ、こうした考えは、読書に対していろんな人の背中を押してくれているのではないでしょうか。

    星野も、粟野さんのおかげで、常日頃から読んでいない本について堂々と語らせていただいておりますが、より堂々と語ることができそうです。

    今回のキーワードはこちらです。

    ・読書・教養はプロレスである

    ・読書・教養は本と距離をとることである

    ・読書・教養はクリエーターになることである

    詳しくは次回で説明しますね。

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    Sat, 15 Apr 2023 21:15:36 GMT
    ep23-3 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

    「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」を扱ってきましたが、今回は余談話の回です。

    前回も少し触れましたが、本書の表現は入ってきやすい文体です。

    これはもしかすると、千葉さんが大学で授業を持っているからかもしれません。

    10代・20代の若い人たちを想定して書かれたものだからかもしれませんね。

    さて、今回は第1・2回のキーワードでは触れなかったものの、印象的だった内容を紹介していきます。


    ・読書の技法

    今回扱ったこの本のように読みやすいものがある一方で、古典の哲学書のように難解な本も世の中には存在します。

    千葉さんによれば、そういった難解な本を無理に理解したり納得したりする必要はなく、専門用語一つ一つ気にする必要もないそうです。

    一つの部屋に入ったときに全体をぼんやり眺めるように、難解な本もふんわり読んで、なんとなく全体を把握することからスタートすればよいとのことです。


    ・決断主義と信頼できる人

    混沌とした現代においては「郵政民営化」「アベノミクス」など強いリーダーシップや即決など、決断主義が注目を集める傾向にあります。

    しかしながら、千葉さんはこうした決断主義に警鐘を鳴らしています。

    信頼できる人とは、「決断は仮でするが、その決断にこだわりすぎず、常に他の選択・正解を模索している人」だと述べられています。

    一つのことだけにこだわらず、常に世界を多層的に捉えている人や、さまざまな世界に開かれている・繋がっている人。オープン感が大事な時代ですね。


    ホシノは最近、どうすれば世界がうまくいくか、良くなるかを考えていますが、

    自分がいかに知らない世界に触れ続けて、寛容であるかが大切だと改めて感じる機会になりました。

    今後も、知らない世界に触れ続けて、寛容であることを心がけましょう。


    以上、3回にわたり「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」をご紹介してきました。

    いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!

    今回のシリーズが皆さんにとって有益であり、また新たな読書の楽しみや学びの機会につながることを願っています。

    次回も、引き続き興味深い本や話題についてお届けしますので、お楽しみに!


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    Sat, 08 Apr 2023 23:41:12 GMT
    ep23-2 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

    引き続き「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」の本格的な解説に入っていきます。

    今回のキーワードはこちらです。

    ・来たるべきバカ

    ・言葉にこだわってキモくなる

    ・深い勉強の思考法 ツッコミ/ボケ/こだわり


    ・来たるべきバカ

    自分が自由になるため、自分の可能性を広げるためには環境や自分を変えて「喪失」することが必要になってきます。

    そして、喪失するためには「来たるべきバカ」になる必要があります。

    【バカになるための三段階】第一段階は、周囲のノリに合わせているだけの状態。

    大学のサークルなどでよくあるかもしれません。第二段階は、勉強してノリが悪くなる状態です。

    ここでの「勉強」とは、環境に違和感を持ち自分の興味を追い求めること。

    第三段階は、自分の個性・追い求めるものを理解しながらもこだわることなく、客観的にものごとを見ながら周囲のノリに合わせられる状態になります。

    表面的な行動から第一段階と第三段階を識別することは難しいわけです。

    渋谷のハロウィン騒ぎをしている方の中にも、第三段階にある方がいる可能性もあります。

    千葉さんが伝えたいことは、一つの価値観だけに縛られないことの大切さ、なのかもしれません。

    また第二段階を経ないと第三段階には至れないように、自分の興味に固執して「勉強」しないと「来たるべきバカ」にはなれないようです。


    ・言葉にこだわってキモくなる

    私たちは言葉とともに生きている以上、言葉の持つ一義的な意味や価値観に縛られてしまうことがあります。

    詩人が言葉の組み合わせを操るように、こどもたちが言葉遊びをするように、

    周囲に流通している言葉への個人的な違和感を見逃さないことが大切なのかもしれません。


    ・深い勉強の思考法 ツッコミボケこだわり

    環境から自由になり「来たるべきバカ」になるための「勉強」には、3つのポイントがあります。

    ① ツッコミ=真理を深掘っていく(前提を疑う)

    ② ボケ=ユーモアでずらす(似たような事例を挙げる)

    ③ こだわり=享楽的になっていく(身体の衝動に従って、突き詰める先を定める)

    ついつい正解を求めてしまう現代ですが、自分なりのこだわりを見せていくことが大事になってきているのかもしれません。

    来たるべきバカ同士の語り合いや、お互いの奥底の無意味を響かせ合う勉強の場を、アワノさんとホシノで引き続きつくっていきたいと思うところです。

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    Sun, 02 Apr 2023 03:08:46 GMT
    ep23-1 「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」(千葉雅也さん)

    23冊目に扱うのは、千葉雅也さんの「勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」です。

    千葉雅也さんは立命館大学の教授で、哲学や表象文化論を研究されています。

    2013年には紀伊国屋じんぶん大賞も受賞されましたね。小説家としては芥川賞の候補にも二回なっています。

    哲学者でありながら小説家でもある千葉さんの作品は読者をひきつける文体で書かれており、難解なテーマでも読みやすいものが多いようです。

    タイトルは「勉強の哲学」。

    一見お勉強・学問系のお堅い話かと思われますが、ここで扱われている「勉強」とは、端的に言うと「喪失」のこと。

    自分がより自由になり可能性を広げるために、今自分がいる環境の常識を離れ、自ら変っていくこと。

    お堅い「お勉強」とは一線を画す深い「勉強」についてを語った本です。


    副題にもついている「来たるべきバカ」というキーワードも気になりますね。

    千葉さんが掲げる「バカ」という言葉は、すべての人が秘めている要素のこと。

    特に享楽的な状態・何かにこだわっている状態のことを指すようです。

    例を挙げると、「ドラゴンボール」について皆が雑談として表面的な話題をしているときに、

    突如「負けキャラとしてのヤムチャ」について滔々と語る状態のことと説明しています。

    少し前に流行った「偏愛」という言葉に近いかもしれません。


    この本は、真面目に学問や勉強法など語られるものではなく、

    自分の個性や内面、またそれを形づくる出会いなどについて考える本になりそうです。


    今回のキーワードはこちらです。

    ・来たるべきバカ

    ・言葉にこだわってキモくなる

    ・深い勉強の思考法 ツッコミボケこだわり


    次回その詳細について解説していきます。


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    Fri, 24 Mar 2023 12:00:09 GMT
    ep22-3 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

    これまで「ハッピークラシー」を扱ってきましたが、いよいよ締めの第三回です。
    今回は、前回までを振り返り、気になることをこぼれ話としてお話していきます。

    ◎社会正義とは何か?
    第二回で出てきた「社会正義」という言葉に対して、気になることがあり少し話しました。
    Wikipediaでは、「社会の常識から考えて正しい道理のこと」と書かれています。
    ただし、今や多様性の時代ですし、それこそ正義は人の数だけあるとも言えます。
    そんな中で、社会の正義をどう定めるのかが気になりました。

    おそらく、それぞれが自分にとって、自分を取り巻く様々なコミュニティにとっての正義を考え続けるべき、ということなんでしょうね。
    以前宮台さんの回でも話されていたように、小さい社会から再構築していき、コミュニティとしての合意を積み重ねていくしかないのかもしれません。
    我々も、そうした社会技術を身に付けていかねば、ですね。

    ◎日本の幸福学第一人者、前野隆司さんの本を読んでみた。
    ハッピークラシーの考え方に触れた後、日本の幸福学の第一人者とされる前野雄二さんの本を読んだようです。
    結論、ハッピークラシー的な観点から言うと、読んじゃダメな本。
    前野さんが今の方向性で活動すればするほど、日本のハッピークラシー化は進んでいく可能性が高そうです。
    かと言って、個人が幸福を求めていく姿勢は誰にも否定できません。
    ただ、その結果個人の幸福が実現されるとは限らない訳です。

    自分にばかり目を向けるのではなく、自分を含めたコミュニティを含めた視点で幸せ追求をすることが、ポイントなのではないでしょうか。
    その過程で世界も、価値観も広がっていきます。
    中島岳志さんの「思いがけず利他」でも話していたことと重なります。

    ◎岡本太郎展に行って感じたこと。
    こちらも以前の回で扱った「岡本太郎展に粟野さんが行かれたそうです。
    そもそも岡本太郎さんは、自身を幸福反対論者だと言っています。
    「幸福」ではなく、「歓喜」「享楽」を求めていたようです。
    居心地の良さや自分らしさの実現ではなく、リスクを伴い、限界ギリギリまでいのちを使い切る感覚。
    実際に作品を見ると、そうした感覚が伝わって来たようです。
    こうした視点も大切にしながら生きることで、ハッピークラシーに陥ることを防げるのかもしれません。

    以上、3回にわたり「ハッピークラシー」をご紹介してきました。
    いかがでしたでしょうか。ご自身でも読まれた方はぜひ感想をお寄せください!

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    また、その際今のご自身の状況や興味関心分野について、簡単にご説明ください。
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    Fri, 17 Mar 2023 07:21:56 GMT
    ep22-2 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

    さて、本格的に解説に入る第2回。
    今回3つのキーワードを辿りながら解説を進めていきます。

    ・ポジティブ心理学とグローバル化

    ・ポジティブ心理学と新自由主義

    ・ポジティブ心理学と仕事

    ・ポジティブ心理学とグローバル化

    皆さんはマーティン・セリグマンという方をご存じでしょうか。
    アメリカ心理学会の会長で、「ポジティブ心理学」のポテンシャルに着目し、
    政治やビジネスと手を組みながら25年かけてその考え方を世界に広げていきました。
    これにより、ハッピークラシーが蔓延る社会に変わっていった。
    本著の中では、彼がハッピークラシーをつくり上げた悪の親玉扱いされています。

    これまで測れないとされてきた幸せに、経済学とポジティブ心理学が尺度をつくった。
    幸福度を指標化し、世界保健機関でも採用されるようになり、グローバル基準となった。
    この尺度に沿って様々なビジネスが生まれた。
    ただし、この世界統一の幸福度尺度が生まれたことにより、
    適切な批判精神が国民から失われていった可能性があります。

    ・ポジティブ心理学と新自由主義

    新自由主義とは、何よりも個人主義的な社会哲学だとされています。
    個人が何よりも大事だ、という考え方が根本にあり、ここにポジティブ心理学がハマりました。

    大変な苦境の中でも、自分の心構え次第で幸せにもなれる。
    たとえばつらい環境は、これ以上ない学びの機会として変換できる。
    こんな考え方が広まっていくにつれて、本来は社会が対応するべき問題だったものが、
    個人の問題へと押し込められていきます。

    幼いころから新自由主義・ポジティブ心理学で育てられてしまうと、
    過剰に自己責任的に判断するようになってしまいます。

    たとえば「幸福の方程式(Happiness formula)」というものがあります。

    幸せ(100%)=遺伝子による設定値(50%)+環境(10%)+意図的行動(40%)

    この方程式を少し読み解きたいと思います。
    遺伝子的な動かせない要素を除くと、個人の行動で変えられることが8割。
    環境という個人の努力では変えられないことが残り2割。
    つまり、遺伝的な要素を除けば、幸せになれるかどうかはほぼ個人の行動にかかっている。
    幸せであるかどうかは、ほぼ個人の問題である、と責任を押し付けられている、とも見れます。

    ・ポジティブ心理学と仕事

    こうした考え方は、経営者目線で見ると最高の考え方とも取れます。
    社員たちに対して、自己実現するのは自分たちの責任だよ、と言えるからです。
    有名なマズローの五段階欲求説も、今の時代では逆転して使われていると言います。
    まずは自己実現をしなければ、承認も生存も得られないと、都合よく使われてしまっています。

    Zappos、Goole、IKEAなど社会的評判の高い企業も、
    こうした論理のもとハッピークラシーを形成しているのかもしれません。

    こうした幸せ願望に支配される状況に対する解決策として、下記が挙げられています。

    ・批判的な思考力や分析力を持つこと

    ・知識と社会正義、社会全体のことを考えること

    普段中々気づけない視点に気づかされる本でした。
    我々も個人ばかり顧みずに、たまには社会正義を考え、訴えていきましょうね。

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    Wed, 08 Mar 2023 22:00:58 GMT
    ep22-1 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

    今回扱う「ハッピークラシー」は、フランスで出版されたベストセラーです。
    スペイン人の心理学者エドガー・ガバナスさんと、イスラエルの社会学者エヴァ・ルイーズさんによる共著。

    そもそも耳なじみのないハッピークラシーという言葉は、
    「幸せ(HAPPY)」による「支配(CRASY)」を意味する造語です。
    「誰もが幸せを目指すべき」というメッセージが社会に溢れている現代ですが、
    ここに対する警鐘が本の中であげられています。

    極端に言えば、「ポジティブ心理学の闇を暴く」といった感じです。
    ポジティブ心理学を「白衣の科学者が伝えるポップ心理学」とまで言っていますので、
    極論好きのホシノは、ウズウズと血が騒いできました。

    皆さんもついつい、良かれと思って人にハッピーを押し付けてしまっていることってありませんか。
    我々も思い当たる節だらけ。本の中でも、様々な言葉が危ういとされています。
    「ウェルビーイング」「Happiness」「マインドフルネス」「グリッド」「EQ」「レジリエンス」。
    仕事で言えば、「心理学者」「コーチ」「研修講師」「キャリアコンサルタント」。
    (こう見ると、アワノとホシノは危うさの塊ですね…。)

    ハッピーが数量化・可視化されることによって商品化され、人々を操っていく。
    世界幸福度ランキングなどもその一つの例です。人的資本経営などもそうでしょうね。
    この考え方は、問題の解決を自己の内面に求めさせます。
    教育やビジネス、政治にとっても都合のいい人材を増やす結果にもつながりかねません。


    さて、今回も3つのキーワードを軸に説明していきます。

    ・ポジティブ心理学とグローバル化

    ・ポジティブ心理学と新自由主義

    ・ポジティブ心理学と仕事

    詳しい解説は、2回目で。

    またお聞きくださいね!

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    Wed, 01 Mar 2023 22:02:52 GMT
    21-3「自分の中に毒を持て(岡本太郎さん)」

    三回目の今回は、二人でこぼれ話をしていきます。気楽にお聞きください。
    いくつか、お話のエピソードをまとめておきます。

    ◎資本主義と乗り物

    それぞれの世界を司っているルールや空気感のようなものが存在していて、各ルールに適した専用の乗り物があると生きやすくなります。資本主義という大海を渡るには大企業と言う船に乗るのが快適で、そうでない世界では岡本太郎さん的な考え方が身を守る乗り物になることもある。個人的には、資本主義ではないルールが漂う場所がだんだんと増えてきている感覚はあります。

    ◎芸術は爆発しない、宇宙に向けてひらく

    岡本太郎さんの有名な言葉「芸術は爆発だ」ですが、実は厳密には爆発は意図していないようです。大きな音もしないし、ものも飛び散らない。そうではなく、全身全霊が宇宙にむかって無条件にひらいている様を表していたそうです。その状態を爆発に見立てていたそう。

    ◎コミュニケーションを否定するコミュニケーション

    情報化社会だからこそ、単なる理解を越えた超情報を大切にするべき。目に見えるものや現在の科学で認知できるもの以外にも大切なものがある。多くの人々にわかりやすく伝える(コミュニケーションする)には難しい分野だが、わかりやすいものばかりを扱っていると、大切なことがこぼれてしまう可能性もあります。

    ◎日常の中に不可解なパワーを採り入れたい欲

    星野が「明日の神話」の前に佇んでみたのは、ナポレオンがピラミッドの中で寝たエピソードを忘れられなかったからかもしれません。測りにくいパワーを感じる場所を自分の日常にすることで、何かしらを自分の中に取り入れたい気持ちがあったからではないかと、今では考えています。

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    Thu, 23 Feb 2023 13:35:34 GMT
    21-2「自分の中に毒を持て(岡本太郎さん)」

    2回目の今回は、岡本太郎さんの著作「自分の中に毒を持て」の中身に触れていきます。
    総ページ数は200ページほど。
    少ないボリュームではないのですが、それでも先へ先へと読めてしまう。
    独自の感覚から生まれた独特の表現がちりばめられた本です。

    さて、それでは解説です。
    下記の3つの項目に沿ってお伝えします。

    ・自分らしく生きるのではなく、人間らしく生きろ
    ・芸術の三原則「キレイであってはいけない」「うまくあってはいけない」「心地よくあってはいけない」
    ・アンチMVV

    ・自分らしく生きるのではなく、人間らしく生きろ

    自分らしさという、自分が勝手に決めた枠の中に、自分を押し込めていないでしょうか。
    過去に縛られると今と未来の自分の可能性を限定してしまう。
    岡本太郎さんは、自分を崖から突き落として運命を切り開いていくことの中から、
    自分の生命を懸け生命をひらく感覚を得たようです。
    それが、人間らしく生きる、ということ。

    印象的な一節があります。

    人間なんて、何のために生まれて、
    何のために生きていくのかわからない不合理で混沌なかたまり。
    ならば、何をやってもいい。

    こんな心構えを持ち、生命をひらきながら生きていけと書いています。

    ・芸術の三原則「キレイであってはいけない」「うまくあってはいけない」「心地よくあってはいけない」

    美しさは絶対的で、キレイは相対的。人の数だけ美しさはある。

    時代や社会の型にはめたお行儀のいい表現ではなく、
    一人ひとりの生命を差し出す表現から生まれる美しさを、
    芸術は目指すべきだ、という考え方です。

    …とは言え、それが世の中に求められる仕事になるかどうかは気になるところ。
    そんな疑問に対しては、「平然とやり続けろ」と伝えています。
    社会からの認知が広まるまで自分のスタイルを貫くつよさが芸術には必要だ、ということでしょうか。

    ・アンチMVV

    本の中に、岡本太郎さんの憤りが表現されている箇所があります。

    科学や合理主義は割り切った話だけ扱っており、
    生きることの非合理や猛烈な感情は顧みられない。

    人間は生まれた瞬間から、現代社会の尺度で測られ続けます。
    とは言え、その尺度ではすくい切れない要素もあるはず。
    おそらく、そこを扱うのが芸術という分野です。

    元々無目的で生まれてきているのに、
    社会の中でどんな役割を果たそうかと考えたり、ある分野での成功を誓ったり、
    MVV的なことを感が出してしまうと、社会の仕組みに取り込まれてしまいます。
    すると生命の炎が弱くなる。

    そこに気付き、吹っ切った瞬間に、岡本太郎さんは自由を得たと言います。

    さて、三つの項目に沿ってお伝えしてきましたがいかがでしたか。
    なかなか真似のできない稀有な生き方だと、
    でもだからこそ人を惹きつけるのではないかと感じませんか。

    自分たちも、少しずつでも生命を咲かせる状態へと近づけて参りましょう。

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    Tue, 14 Feb 2023 22:23:41 GMT
    21-1「自分の中に毒を持て(岡本太郎さん)」

    21冊目に扱うのは、20世紀末に書かれた「自分の中に毒を持て」。
    太陽の塔などで知られる芸術家、岡本太郎さんの著書です。
    バブル期の1993年に書かれ、2017年に改訂版が出ました。
    累計50万部と、時代を越えて非常に多くの方に読まれています。

    アワノさんが新卒で最初に勤めた会社は渋谷にオフィスがあり、
    東急渋谷駅の連絡通路に展示されている「明日の神話」の横を何度も通ったことがあるとか。
    今回「自分の中に毒を持て」を読み、改めて岡本太郎さんの存在に出会いました。

    岡本太郎さんの人物像を知るために、いくつか他の本にも目を通しています。
    パートナーである岡本敏子さんと糸井重里さんとの対談や、
    瀬戸内寂聴さんによる回想談などが興味深い内容だったようです。

    特筆すべきエピソードとして、岡本太郎さんが育った家庭環境が挙げられています。
    著名なマンガ家の父親と小説家の母親のもとに生まれましたが、
    家には両親プラス母親の愛人(時には複数人)も同居していたとか。
    岡本太郎さんの悲観的な結婚観、博愛的な人間観、独特な作風は、
    そうした家庭環境から影響を受けているのかもしれません。

    今回は、アワノさんが読みながら気になったことや感じたことを3つ挙げ、
    内容についてお話していきます

    ・自分らしく生きるのではなく、人間らしく生きろ
    ・芸術の三原則「キレイであってはいけない」「うまくあってはいけない」「心地よくあってはいけない」
    ・アンチMVV

    次回、その中身について解説していきます。

    —------

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    Wed, 08 Feb 2023 00:24:18 GMT
    20-3「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える(泉谷閑示さん)」

    3回目の今回は、1、2回目を振り返りながらの余談回です。
    パズルを試行錯誤しながら解く楽しみを与えるためには、待つ姿勢が必要になる。
    自由保育型保育園の卒園者は、不登校率が高くなる。
    小田嶋隆さん曰く「学校とは、見ず知らずの人の中で何とか生き抜く力を経験する場所」。

    …などと、こどもの教育に対するあれこれを挟んだのち、
    今回の余談テーマである「天職」へと入っていきます。


    ◎天職(Calling)という言葉にまつわる誤解

    天職とは、そもそもが神様に仕える職業についての言葉でした。
    ですが、今では個人の特性を活かし、やりがいも感じられる仕事に対しても使われています。
    こうした言葉の拡大解釈は、マルティンルターがきっかけを作ったからではないか。
    と、マックスウェーバーは分析しているようです。

    与えられた自分の仕事に一生懸命取り組むことを天職、という認識をつくったことで、
    労働が尊い、売り上げや利益を上げること、成長させることが正しい、素晴らしいという空気が生まれた。
    それが資本主義を結果的に加速させたのではないか、という説だそうです。

    現代の我々が自分探しをする際、いつの間にか仕事探しにハマってしまうのは、
    そんな過去の出来事にも原因があったのかもしれません。

    ちなみに、泉谷さん的にはこの問題に対して二つのアドバイスを提唱されています。
    一つは、職業という狭い枠で自分のアイデンティティを考える必要はない、ということ。
    そしてもう一つが、自分の内側にある遊びの部分を大事にした方がいい。
    つまり、心と体が反応することを注意深く見ていこう、ということです。

    この辺りで、星野は奄美大島に美術館のある田中一村さんという画家の生き方を思い出しました。
    (田中一村さんについて、詳しくは本編をお聞きください)

    仕事って、意義を感じやすい構造があるんですよね。
    社名の知名度、役職や肩書、年収と、上下が分かりやすかったり、数字で比較ができたり。
    成果、効率、生産性が大切な社会。
    現代に生きていると、無意識のうちにこの枠に引っ張られてしまいがちですが、
    自分の心の反応にも注意を向けて、頭・心・身体の調和を大切に生きていけるといいですね。

    —------

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    Sun, 08 Jan 2023 23:46:14 GMT
    20-2「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える(泉谷閑示さん)」

    引き続き「仕事なんか生きがいにするな」を扱っていきます。
    今回は、3つのキーワードを元に解説を進めていきます。
    ちなみに本の序盤は、精神科医の目から見た社会の変化から始まっているようです。
    患者さんたちの悩みが、温度の高い悩みから、温度の低い悩みへと変わってきている。
    愛情の飢えや劣等感など、人と関わるからこその温度の高い悩み。

    それに対して、生きる意味など、一人で抱える悩みが温度の低い悩み。
    モノの飽和と経済成長を追い続けたハングリーモチベーションの時代とは違い、
    満たされた現代では、より人間らしい悩みが出てくるのは当然だ、とも書いているようです。
    大変興味深い入り方ですね。

    さて、それではキーワード解説を。


    ◎意義と意味の混同

    意義は、役に立ち、頭で計算できる損得勘定的なゴールのこと。
    対して意味は、主観的な感覚であり、心と体で感じること。
    現在の我々が言う「生きる意味」は「生きる意義」になってしまっていないでしょうか。
    意味はプロセスそのものなので、結果を予測も約束も説明もできません。
    それでも今の資本主義社会は、事前説明を求めてきます。
    親も、先生も、時には株主にも説明し、自分の行動の許可を得なければいけません。
    これでは、周りに説明できない衝動的な動機から動き始めることができない。

    レヴィストロースのブリコラージュや、スティーブジョブスのコネクティングドッツ。
    人生を楽しみ、社会のイノベーションへと繋がる可能性の高い、なんとなくから生まれる行動も、
    今の時代では起こしにくいのかもしれません。

    先が見えないことこそ人生の面白さ。
    頭ばかりで計算するのではなく、
    自分の心や体が心の体がいいと感じることを大切に生きられれば、
    人生もゆたかになるかもしれません。

    ◎駱駝と獅子とこども

    ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」からの引用を用いて、
    意義から意味に至る変遷について、「駱駝→獅子→こども」という説明がありました。

    ・駱駝→普通の人・勤労者/常識や誰かの指示に従っている存在
    ・獅子→自我を持ち、ルールを押し付けてくるものに反抗する存在
    ・こども→何者にも囚われない自由さを持っている存在

    この工程を経ることで、意味のある表現ができるようになるそうです。

    実は、「芸術は爆発だ」で有名な芸術家の岡本太郎さんも、同様のことを言っているそう。
    単なるこどもではなく、駱駝や獅子の時代を乗り越えた経験がないと意味のある表現ができない、と。
    自由なこどもになる前に、全身全霊で社会と対決した経験から得られる成熟が必要だそうです。

    また「自分の独立戦争が大切」であるという言葉もありました。
    周囲の環境から与えられるものをすべて受け入れるのではなく、
    「No」を唱え、自分だけの動力源を築いていく経験がないと、社会に出て挫折したときに動けなくなってしまう。
    実際のこどもは「いやだ!」をよく言いますが、あれこそ自我を形成する行動な訳ですね。

    ◎頭と心と体

    人間は頭の中で、言葉を用いて認識しないと納得できません。
    でも、心と体は頭とは別に勝手に何かを感じています。
    目指すべきは、頭と心と体が調和している状態です。
    この3者が調和している状態を、遊びの状態とも呼んでいます。
    頭でも納得しつつ、心と体も喜んでいる瞬間を見つけていくことが大切。

    最近では、「コスパ・タイパ」といった言葉が生まれ始めました。
    効率重視の考え方が様々な世代に浸透してきた感があります。
    この傾向が行き過ぎると、頭と心と体が離れていくことにつながるかもしれません。

    この危機感に対して、泉谷さんは「即興を楽しむこと」「面倒くさいことをすること」を提唱しています。
    人生を楽しむために、あえて予定調和から外れ、手のかかることをする。
    料理を作るのに出汁をとるところから始めたり、文字を書くのに墨をするところから始めたり。
    こうした行為を通して、心と体と頭が調和していくのかもしれません。

    (以下、脱線話です)

    ・即興演劇の魅力
    ・自然教育の予測不可能性
    ・自信をつけるための経験
    ・心のゆらぎはときめきを生む…。

    もはやこの番組の風物詩となった脱線も豊富な今回。
    少々長い回となりましたが、お付き合いください。

    —------

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    Fri, 23 Dec 2022 00:46:24 GMT
    20-1「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える(泉谷閑示さん)」

    風流な音からスタートした20冊目を扱う今回。
    泉谷閑示さんの著書「仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える」のご紹介です。

    精神科医でありながら、パリの音楽系大学院に留学。
    音楽や哲学を用いた治療も実践している泉谷さん。

    今回の本を選んだ理由を粟野さんに聞いてみました。
    最近「読書の時間」で扱う本の中に音楽に関する話題が何度か出てきたことから、
    音楽繋がりから泉谷さんにたどり着いたそうです。

    詠んだ本の要素に興味を持ち、関連する次の本へと移っていく流れはいいですね。
    まっとうな自分自身の興味を追求する姿勢を感じます。
    もはやニューロンを増やせない大人として、お手本となる知識の深め方だとも感じました。

    さて、今回も粟野さんがビビビと来たキーワードを3つピックアップし、
    それを元に解説を聞いていきたいと思います。

    ---------

    【3つのキーワード】

    ・意味と意義の混同

    意味と言いながら意義を求めていないか。
    それが苦しみの原因なのではないか。
    意味は、プロセス自体に生まれる。

    ・「ラクダ・獅子・こども」三段階の精神変化

    ニーチェが唱えた人間の発達の仕方。
    言われた通りに従うラクダ、主体性を持ち活動する獅子を経て、最終的にクリエイティブに遊ぶこどもへとたどり着く。

    ・頭と心・身体

    量の計算をする頭。質を見極める心と体。
    これを調和させることが楽しく生きていくうえで大切。

    ---------

    次回以降は、上記キーワードをベースに説明を進めていきます。

    ちなみに、さらに粟野さんに聞いてみました。
    「読書の時間を通して、自分なりに大切なものが見えてきたか?」
    すると、人生のテーマらしきものは見つかっているそうです。

    「暇と退屈、遊びを持とう」

    確かに、暇と退屈をどう使うのか、には人間性が出そうですね。
    世の中では「タイパ(タイムパフォーマンス)」なんて言葉が使われ始めました。
    時間当たりの意義高さ、といった意味になるでしょうか。
    最初から意義を求めすぎず、答えがすぐには出ないことにも取り組んでみる。
    そんな姿勢が遊びに繋がるのかもしれません。

    では、また第二回でお会いしましょう。


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    Tue, 13 Dec 2022 03:03:57 GMT
    19-3「日本人の身体(安田登さん)」

    「日本人の身体」3回目となる今回は、本を読みながらアワノトモキが個人的に心が動いた話題を二つ、ご紹介していきます。


    ◎自然と情緒

    日本の詩歌には、自然の風景を描写しただけのものが少なくありません。

    それでも、形容詞すらない淡々とした風景描写が、心を動かすことがあります。


    たとえば、朧月夜という曲があります。

    「菜の花畠に入日薄れ…」ではじまる、岡野貞一さん作曲、高野辰之さん作詞による曲です。

    一切の感情表現がないにも関わらず、聞いていると感情が湧き出てこないでしょうか。

    アワノさんはこの曲を聞いて涙が出てしまったそうです。


    また、柿本人麻呂の詠んだ歌に、こんなものがあります。


    ひむがしの野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ

    (東の空に太陽が昇ってきて、その太陽の眩しさに思わず反対側の西側を見たら月が沈んでました)


    この歌は、文武天皇との旅行の際に詠まれたそうです。

    ちょうど文武天皇の父親、草壁皇子がなくなったタイミング。

    これが太陽と月に表されているようです。

    上るものと沈むもの。何やら郷愁を感じる内容です。


    ところが、これは日本人以外には伝わりにくい描写だそうです。

    IもYouもない。感情表現もない。

    いわゆる見立て的な考え方は理解しにくいんだとか。

    自然と情緒が溶け合っている感覚は、日本人ならではなのかもしれません。



    ◎能とチームビルディング

    能は、完全なジャズ、即興ダンスのように、監督もいない、練習もしないものだそうです。

    当日、様々な流派のメンバーが集まって、大きなストーリーを元にその場で成立させていくものだとか。


    そこで求められる大切な力は、それぞれが発するため息を受け取る力だそう。

    今我々は疲れたとき、がっかりしたときに出る息をため息と呼んでいますが、元々は肺の中に長く溜める深い息をため息と呼んだそうです。


    能ではこの深く溜める息をっていうのを「コミ」と呼んでいます。

    このコミを通じて、お互いの意思を確認し合い、流れをつくっていく。

    演者も謡もお囃子も、お互いの呼吸に気を配る。


    そもそも能で使われる音には三つの分類があります。

    太鼓の音、掛け声、もう一つが無音、という考え方です。

    これを、能を見に来ている観客の方々も含めて参加してつくっていく。

    場を共有し、たとえ無音からでもお互いを察し合える。

    一方的に演じ手が観客に何かを伝えるものではなく、皆で呼吸を感じ合うものだったのかもしれません。


    当時、狩猟に行く前には皆で声を出し合って、その声が調和しているときには狩猟も成功する。

    調和しない時には失敗の可能性が高いので狩りに行かない、と判断する習慣もあったようです。

    今の時代で言うと、ミーティングの際におこなうチェックインという行為にも、お互いの声から相手の状況を伺うという側面があります。

    どちらも、いわゆるいわゆるチームビルディングの一環とも言えるかもしれません。


    昔、能を見に行って寝てしまった星野ですが、こうした感覚を認識した上でであれば、能ももう少し楽しめるのかもしれませんね。


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    Wed, 30 Nov 2022 09:30:28 GMT
    19-2「日本人の身体(安田登さん)」

    今回は本の中で粟野さんが気になった3つのテーマについてを聞いていきます。

    【3つのテーマ】

    1.「身体」という言葉が江戸時代まで持っていた意味

    2.「和をもって尊しとなす」という言葉の意味

    3.「あしらう」という言葉の本来の意味

    どのテーマも、言葉の真の意味と誤解された意味についてのお話です。


    1.「身体」という言葉が江戸時代まで持っていた意味

    江戸時代の辞書によると「身体」とは「死体」のことでした。
    元々江戸時代の人々は心と体が一体化したものとして「身」という言葉を使っていました。
    心が離れた後の「身」を区別して「身体」と表現していたのでしょうか。
    ちなみに明治時代になり西欧文化が入ってきたことにより、心と体を分ける考え方が広まっていきます。
    著者の安田さんは夏目漱石などの日本文学も研究されていますが、「吾輩は猫である」の中にはそんな社会の風潮を批判するこんな台詞も出てくるんだとか

    「最近は体を鍛えることを良しとしている。これは西洋病だ」

    「無我夢中」や「火事場のバカ力」と言われるような心と体が一体化した状態が、心と体を分けて考えることによって、出せなくなってきてはいないでしょうか。
    最近になってマインドフルネスが注目されているのも、心と体の繋がりを再度見直そうという動きなのかもしれません。

    ----

    2.「和をもって尊しとなす」という言葉の意味

    聖徳太子の有名な言葉「和をもって尊しとなす」。

    ここで使われる「和」の正しい意味をご存じですか?
    和という字の元々の成り立ちは象形文字。
    「ヤクという楽器をたばねる」という事柄を表していたようです。
    そこから「様々な違いのあるものを調和させ、新しいものを生み出す」という意味に。

    翻って今の時代、我々はディベートにより勝敗をつけたり、全体のコンセンサスを取り一つの結論を出したり、多様性を失ってきてはいないでしょうか。
    意見の相違があってもそれを出し合いながら、新しい解決策やアイデアをつくっていくのが本来の「和」が持つ意味。
    「三人寄れば文殊の知恵」という諺にもあるような、クリエイティブな姿勢を表していたようです。
    日本を中央集権的な体制に変革しようとしたイメージが強かった聖徳太子ですが、実はダイバーシティを重視した体制をつくろうとしていたのかもしれません。

    「和」という言葉の本来の意味から、日本人ならではのリーダーシップ像が見えてくる気がします。

    ----

    3.「あしらう」という言葉の本来の意味

    「あしらう」という言葉を使うとき、人を軽んじるイメージがありますよね。
    ところがこの言葉も、本来は「人と人との深い交流」を意味するものでした。

    ---

    あしらう→あえ+しらう

    「あえ」は「饗=もてなすこと」

    「しらう」は「お互いに」

    ---

    ここから、お互いにおもてなしし合う、というのが本来の意味。

    ところで、誰かと仲良くなりたいと思ったとき、食事に誘いますよね。
    実は食事という行為には、深い意味があります。
    人間は普段、皮膚によって外と中の世界を分けています。
    ですが食事をするときには、口を通して相手に中の世界を見せることになります。
    お互いが普段は隠している中の世界を見せ合うことで、より親密さを深める行為が食事、ということです。
    深い交流、という意味でセックスと同じ、とまで言っていたりします。

    ともかく、「あしらう」とは実は愛のある行為だったわけです。


    3つのテーマとも、言葉の本来の意味を解明するものでした。

    普段何気なく使っている言葉にも、誤解があるかもしれません。

    ですが、その本来の意味を知るだけでも、もののとらえ方が変わり、未来の行動も変わるかもしれません。

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    Thu, 17 Nov 2022 21:42:16 GMT
    19-1「日本人の身体 (安田登さん)」

    本日扱う本の著者である安田登さんは、能楽師の方です。

    すでに20数冊の著書があり、扱うテーマも能だけでなくロルフィングに文学論と多彩。
    「日本人の身体」については、能楽師としての視点だけでなく、
    文学的な視点も交えて日本人ならではの身体感を説明してくれるものです。
    ちなみに、過去この番組で扱ったドミニクチェンさんの能のお師匠さんだったりもします。

    「日本人の身体」のテーマをざっくりお伝えするとこんな感じです。

    「心と体を分けるのはおかしい。もっと曖昧でいいのでは」


    ただ、今回は全体を解説していくのではなく、
    興味深かったトピックスを3つ抜き出してご紹介していきます。

    「身体」という言葉は、日本では元々「死体」という意味だった。

    「和を以て貴しとなす」という言葉も誤解されている。

    「あしらう」という言葉も、実は性交渉という意味だった。

    …などなど、粟野さんが「物知りおじさん」的に紹介してくれます。
    詳しいお話は2回目、3回目で!



    ところで皆さん能って見たことありますか?

    今回の解説を聞き、背景や予備知識をつけた上で見に行かれるときっと面白いと思います。
    今と昔が混ざり合い未来に向かっていく、など独特な考え方のもとにつくられているそうで、
    ポイントを抑えた上で体験に行けると、面白く感じられるのではないでしょうか。

    では、また次回お会いしましょう!

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    Wed, 26 Oct 2022 13:17:16 GMT
    18-3「経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来(宮台真司さん×野田智義さん)」

    18-3「経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来(宮台真司×野田智義)」

    宮台さんと野田さん、お二人の知の結晶を断片的にですが語った前回。
    1時間弱の大作となりましたが、聞かれましたか?

    過去の歴史があり、それに連なる現在がある。
    ある種避けられなかった今のシステム化社会の中で、これから我々はどう生きていきましょう?

    こうした連なりを意識しながら考えられるのはいいですよね。
    ついつい今の自分の意思だけに集中してしまっていた若いころを思い返したりします。

    さて、18冊目最終回の今回は、過去「アワノトモキの読書の時間」で扱った本の中から、この本に関係の深い考え方をご紹介していきたいと思います。

    まずは内田樹さんの「街場の教育論」より。

    個々人が、あの自由で快適な自分らしさを追求する消費社会を進めていった結果、家族の解体が起こっていった。

    今回と同じことを言っていました。
    大きな流れが、見えている人には見えているんだな、と実感しました。
    我々感情が劣化したクソ野郎は、「便利=よくなった!」と喜んでいましたが、高い視野からの意見を知ることは大切ですね。

    ちなみに、今世の中で様々な新ビジネスに取り組むベンチャーの経営者の方々は、今回のような視野を知った後ではどんなビジネスに取り組んでいくんでしょうか。
    少し気になります。

    新しい取り組みに興味はあれど、まずは自分の保身をした上で、と考えてしまう我々。
    新しい世界に向けて飛び込んでいく若者たちを眩しく思いながらも、実はその将来を心配しちゃったりもしています。

    そして二つ目。
    「『あいだ』の思想:セパレーションからリレーションへ」(高橋源一郎さん×辻信一さん)に出てくる、「自由の定義」。

    より安全快適便利に生きることっていうのが自由なのか?

    関係性とか時間とか場所から自由に解き放たれていることが自由だ、と考えてしまいがちですが、そうではない。
    関係性の間に、多様な自分を発見することの重要性を指摘していました。

    今回の話を聞きながら、若者だったらこうした話をどう聞くのかな?と興味が湧いてきました。
    たとえばアワノさんが若い時だったら?ホシノが若い時だったら?などと考えたりもしています。

    最後に三つ目。

    「コンテクストデザイン」のTakram渡邉康太郎さんも、こんなことをラジオで仰っていました。
    これは過去扱った番組の中ではなく、また別のラジオ番組の中での発言ですね。

    「はかどる」とは、効率性だけを指すのではない。
    非効率であることを許容する考え方でもある。
    効率とは、他人と交換可能な物を、共通の物差しの上で楽しんでいるに過ぎない。
    自分にしかわからないことを探ることが面白い。
    非効率な時間の介在が必要ではないか。

    18冊目も、これにて完了です。
    毎回膨大な言葉の海から三つのキーワードを抜き出す「アワノトモキの読書の時間」。
    抜き出した言葉にも、アワノトモキが表れているんでしょうね。

    先日、Work TellerというPodcastまとめサイトをOPENさせました。
    実は今度、そこに参加してくれている十数名のPodcasterと共に、ある番組をはじめます。
    これもミクロな共同体のひとつになるのかもしれませんね。
    また皆さんにも聞いていただければと思います。

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    Wed, 19 Oct 2022 22:53:22 GMT
    18-2「経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来(宮台真司さん×野田智義さん)」

    引き続き「経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来(宮台真司さん×野田智義さん)」を扱っていきます。

    最初に断っておきますが、今回は濃いです。

    ノート片手にお聞きください。

    全体を通して、3つのキーワードをベースにお話していきます。

    こちらを念頭に置いてお聞きいただければ。

    【キーワード】

    ・安全快適便利なのになぜ生きづらいのか

    ・我々意識

    ・ミクロな共同体から社会を再構築する

    -----

    【日本の生きづらさ】

    まずは、ここ60年ほどの日本がどういう状態にあるのかを確認していきます。

    今の日本は、安全で快適で便利な国と言えるでしょう。

    ですが一方で、孤独死や貧富の差、カルト宗教など、問題も多数抱えています。

    この原因は、システムに過度に依存しているからだとしています。

    システムとは、人に任せたりお金を払ったりすることで、面倒くさいものを排除する仕組みのことです。

    要はビジネスやサービスの領域のことですね。

    社会がシステム化し、人々がそれに依存していく流れはもはや逆らいようがありません。

    資本主義が世の中全体に浸透していくのと同じように不可逆的な流れです。

    一度システムの内部に取り込まれると、なかなか抜け出せなくなってしまう。

    極端な話、仕事を辞めて田舎で自給自足を始める、ほどのエネルギーが要ります。

    この60年、日本ではシステム化が進んできましたが、そこには三段階あった様子。

    一つ目が、団地の出現による地域の空洞化。

    二つ目が、コンビニによる家族の空洞化。

    三つ目が、インターネットによる人間関係の空洞化。

    人々はシステム化により便利と快適を得た半面で、感情の劣化を起こし始めている可能性があります。

    他者への思いやりや共感だけでなく、自分自身への尊厳も持ちづらい社会になってきました。

    とは言え、システム化って、ビジネスの中では目指すべき方向性ですよね。

    仕組み化がうまい管理職は高い評価を受けますし、ビジネスを構築するときには脱俗人化は鉄則です。

    たとえばコロナ禍のAmazonは過去最高益を出しましたが、その理由の一つが仕事の仕組み化による採用難度の低下だともいわれています。

    企業にとっては、システム化は至上命題の一つでもあります。

    こんなことを考えると同時に、人々の感情が劣化していく、という警鐘にも納得する面もありますよね。

    代替可能な仕組みの中で働いていると、自分のアイデンティティを声高に訴えたくなる衝動もあります。

    Youtuberたちがこどもたちの人気職業になる理由もそのあたりにあるのでは?

    また、アジアの方に行った後日本に帰ってくると、システム化された社会の快適さを猛烈に意識することがあります。

    人間対人間の信頼構築、値踏み、時には脅しなどにより、受けられる便益が変わる社会の不確実さが存在する社会と、

    システム化されてコミュニケーションを介さなくてもムダに高品質なサービスが受けられる社会と。

    -----

    【我々意識】

    こうした社会が、実は18世紀ごろにはすでに予言されていた、って知っていましたか?

    ルソーやアダムスミス、マックスウェーバー、マルクスたちは、資本主義の行く末を当時からすでに予測していたんです。

    たとえばルソーが掲げた理想の社会像は、こんな感じ

    ・みんなでみんなを統治する

    ・我々意識(感情)を劣化させないために2万人規模を上限とする

    ・直接民主制(多数決は禁止)

    当時からすでに行き過ぎたシステム化による感情劣化については、予測されていたようです。

    ルールが浸透し切った社会では、各個人が感情を使って判断する必要がなくなる、ということですね。

    また、ブローバル化により戦争を起こすリスクが高まる中で、国としての一体感が失われつつある、ということにも触れています。

    少々刺激的な言い方ですが、戦争が起こしづらくなると国家としての我々意識が保てなくなるそう。

    その結果経済格差が生まれ、富裕層は自分たちだけよければ構わない、という判断をするようになる。

    居住地を国外に移して税金対策をする富裕層が出てきたりするわけです。

    こうした問題に対して、ヨーロッパ型とアメリカ型の対応があるようです。

    ヨーロッパ型の対策は、人間であることに期待する手法。

    対してアメリカ型は、徹底したシステム化により対応するようです。

    特に印象的だったのが、システム化により尊厳を保てなくなった労働者に対しての対策です。

    一時的に感動できたり興奮できたりする祝祭体験を、これもシステム化の中に組み込むんだとか。

    ディズニーワールドやイベントなどがそうした役割を果たしているのかもしれません。

    また、カウンセリングが一般化しているのも、その対策の一環だとか。

    いずれ貧困層はコントロールしやすいように、AR・VRの世界の中だけで生かされる時代が来るのかもしれません。

    テクノロジー重視・システム的な考え方を推進する加速主義的な考え方が主流になると、こんな未来も現実味を帯びてくるかも、ですね。

    -----

    【ミクロな共同体から社会を再構築する】

    ここまで少し悲観的な世界の話をしてきましたが、それだけでは終わりません。

    我々はここからどうしていけばいいのか、ということにも触れていきます。

    その方針を一つの文章にまとめると、こんな感じです。

    「食べ物とエネルギーをテーマにしたテクノロジープラットフォームを中核とするシステムに支えられたミクロな共同体が人間関係を再構築していく」

    一人ひとりが自分にとっていい社会をイメージし、そこにいてほしい仲間を定義していくことが大事。

    大きな国をつくれというわけではなく、数十人~数万人単位のお互いを思いやれるミクロなコミュニティをつくっていくこと。

    例を挙げると、

    荒谷大輔さんが提唱されているハートランド。

    イギリスのインクレディブルエディブル。

    デンマークのサムセー島。

    こうしたコミュニティの運営を通して、お互いのことを考えられるようになることが、未来に向けての最初のステップである、としています。

    そうした組織の中では、言い出しっぺ的なリーダーはもちろんのこと、ファシリテーター的なリーダーが大きな役割を果たすことになる。

    そこに求められるのは、能動的でも受動的でもなく、中動的なリーダー。

    「いつの間にか仲間になっちゃった」をつくれるリーダーです。

    きっと、読書の時間を聞いていただけている皆さまなら、このあたりのリーダー像に共感を持つんじゃないでしょうか。

    -----

    少し長くなりました。

    しかも途中で異音が入ってしまっていますが、

    (飛行機かなんかでしょうか)

    今回もお聞きいただきありがとうございます。

    改めてご説明ですが、これは至善館でおこなわれている授業ですからね。

    興味を持たれた方は至善館もチェックしてみるとよさそうです。

    -----

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    Thu, 13 Oct 2022 00:48:12 GMT
    18-1「経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来(宮台真司さん×野田智義さん)」

    18冊目の今回は「経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来(宮台真司×野田智義)」を扱います。


    著者は

    超頭良い且つアウトローな社会学者の宮台さん。

    組織戦略が専門の研究者野田さん。


    気になっている方も多いはずの大学院大学、

    至善館で行われた宮台さんと野田さんの講義をまとめた本です。




    アワノさんによる読み解きキーワードは今回も3つ。


    1.安全快適便利なのに、なぜ生きづらいのか

    2.我々意識/どんな仲間と一緒に生きたいのか

    3.ミクロな共同体から社会を再構築する



    今の社会は、途中参加しにくいものになっているのかもしれません。

    文脈が昔から続き過ぎていて、途中参加者である我々には追い付けない。

    追いつこうとする気力を奪っていく。

    我々ですらそうなので、若者にとってはよりその傾向が顕著なのでは。


    本書では、宮台さんもそこを理解した上で、うまくポイントをつかんで説明してくれています。

    文脈を追っていくのは大変なので、構造を理解することによって、把握しやすくしてくれる、というスタイルでしょうか。



    ところで、社会には所属したほうがいいんでしょうか。

    今や一人でも生きていける時代。

    孤独にさえ耐えられれば、社会に所属するという手間を省くことも理論上可能です。

    そんな疑問をホシノが投げかけたところ、

    本書の内容からアワノさんに答えてもらえました。


    むしろ、格差拡大によって否応なく社会から排除される可能性がある。

    極端な例では、貧困層は仮想現実の中のみで生きることになるかもしれない。

    現実の面倒くさくて、でも豊かさを感じる社会には、富裕層しか生きられなくなる時代が来るかもしれない。


    こうした現実社会の傾向に対して、宮台さん、野田さんが警鐘を鳴らす、

    というのが本書の内容なのでは…?



    詳しくは、二回目以降でお伝えしていきます!


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    Wed, 05 Oct 2022 01:40:03 GMT
    17-3「日本の曖昧(あいまい)力 融合する文化が世界を動かす(呉 善花さん)」

    17冊の第3回目ということで「日本の曖昧力」を「もののけ姫」を通して話していきます。


    そもそも「もののけ姫」とは?

    1997年にスタジオジブリから発表された映画で、自然と人間の関係をテーマとしています。

    前回までお話していたように、縄文時代的なあり方が今の日本の根底にあり、

    それが描かれている作品でもありますで、今回扱うことになりました。



    「もののけ姫」の舞台は室町時代。

    縄文時代的な文化と近代的な文化がぶつかった時代であると、宮崎駿さんはお考えのようです。

    縄文時代的な象徴をアシタカが、エボシ御前が近代的な文化を象徴しているとされています。


    -----

    アワノさんからの解説が始まろうとするや否や、

    いつものごとくホシノによる横やり横道ストーリーが始まります。

    ポイントは映画の締めにアシタカが放つこの言葉。


    「会いに来るよ、ヤックルに乗って」


    ここに今の時代への解を見た感じがした、とホシノ。

    -----


    詳しいところは本編を聞いていただくとして、

    キーになるのはアシタカの存在です。

    映画中、最後まで彼は中途半端な存在として居続けるのです。

    このどっちつかずな態度。

    ここになんとなく日本人らしさを感じたりはしないでしょうか。


    ふと話しながら思い立ち、アシタカの描かれ方にも触れてみました。


    呪いを受け、自分の意思に反して故郷を離れ旅立つことになり、

    サンとエボシ御前たちの諍いに巻き込まれていく。

    なかなかに受動的な描かれ方をしているようにも見えます。

    ただし、それが故に二つの勢力を繋ぐ存在にもなり得る。


    どっちつかずの曖昧な存在こそが、異文化の間に橋を架けられる。

    そんなメッセージも感じてしまいます。



    さて、近年一気に近代化を進めてきた日本ですが、

    その根底には近代化とは対極にある縄文的な精神性を保っているようです。

    自然とのつながりや、神様のような存在とのつながりを感じる精神性です。

    ここに世界の中での特殊性があり、これを曖昧力と呼んでいいのかもしれません。



    ちなみにアワノさんは曖昧力超苦手。

    昔から白黒はっきりつけて、行動してきたそうです。

    対してホシノは超曖昧人生。

    やれと言われたことも極力放置して生きてきています。


    思えば、よくこの二人で番組を続けていられるなぁと思う次第。

    …いや、この二人だから続けていられる、ともいえるのかもですね。


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    Wed, 21 Sep 2022 14:29:48 GMT
    17-2「日本の曖昧(あいまい)力 融合する文化が世界を動かす(呉 善花さん)」

    日本を三つの階層で捉えた呉さん。


    ・欧米化された日本
    ・中国韓国と似た東アジア的な日本
    ・縄文時代的な日本


    前回あがった疑問として、なぜ日本にだけ
    縄文時代的な要素が残ったのか、
    という問いがありました。
    そこには3つほど理由がありそうです。

    ・温暖湿潤気候で狩りのリスクを抑えられたこと
    ・島国で他地域からの侵略を受けなかったこと
    ・山が多い地形で、中央集権的な統治がしづらかったこと


    -----

    <余談>
    ちなみに星野が住んでいた奄美大島の南方、
    加計呂麻島では隣の集落でも方言がちがう、
    という現象があります。
    その理由が、山が険しく、
    隣の集落とは言え、行き来ができなかったから
    だと言われています。

    -----

    さて、さらに縄文時代的な要素が
    どう曖昧力とつながってくるのか、
    については下記のような理由ではないか、
    と考察します。

    ・自然と人間の間をグラデーション的にとらえる認知
    ・自然に対する根源的な受け身思考
    ・居住可能エリアの狭さによる山・海文化のMIX


    -----

    <余談>

    ・奄美の人たちの台風に対する姿勢
    ・中東で持ち上がった超自然人工物 The Line

    -----

    日本の曖昧さが表れているものもいくつか挙げられています。


    ・墨一色の濃淡で表現する水墨画
    ・あえて情報の隙間をつくる生け花表現
    ・意図を越えた偶然を愉しむ焼き物
    ・受け身的表現にみられる責任の曖昧さ
    ・受け身と可能両方を意味する助動詞の存在


    どこかで自然に対する尊敬の気持ちを持つこと。
    こうした日本ならではの特性は、
    分断にあえぐ世界の平和に貢献できるのではないか?

    Noと言える日本人から、まぁまぁと言える日本人へ。


    日本のパスポートが世界最強である理由も、
    もしかしたらこの辺りにも要因があるのでは、
    などと勘ぐってみました。

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    Thu, 15 Sep 2022 01:11:35 GMT
    17-1「日本の曖昧(あいまい)力 融合する文化が世界を動かす(呉 善花さん)」

    17冊目の今回は「日本の曖昧力」を扱います。
    著者は呉 善花さん。

    韓国ご出身で、拓殖大学で日本文化研究をされている呉さん。
    拓殖大学でおこなわれた12回の講義内容を文章に起こし、まとめられたものだそうです。

    実はアワノさん、この本を扱うことに決めた理由には「もののけ姫」が関わっているそうです。
    そこから話が飛んで、ジブリ談義に時間を費やすこと少々…。
    本筋とはあまり関係がないので割愛しますが、
    せっかくなのでそれぞれの推しタイトルだけお伝えしますと、
    アワノさんの推しは「思い出のマーニー」。
    星野の推しは「風の谷のナウシカ」です。


    さて、この本の中身に触れていきます。

    日本を、三つの側面で捉えていきます。

    一つ目が、欧米化された日本。
    二つ目が、中国韓国と似た東アジア的な日本。
    三つ目が、縄文時代的な日本。

    この三つめが最も重要で、ここから曖昧力やわびさびなどの
    日本的な感覚が生まれてきているとしています。

    中国や韓国など、侵略と統治を繰り返した歴史がない分、
    また、中央集権的な管理が行き届かなかった分、
    縄文時代からの感覚が残ったのかもしれません。


    こう聞くだけで、なんとなく日本で過ごしてきた我々が感じている感覚にリンクしませんか?
    こうした説を、海外の方が論じられるまでになるには、どれだけの文献や直接経験を重ねたのでしょう。
    呉さんのインプットに、素直に感動を覚えます。

    二回目以降は、こうした視点が、どう曖昧力につながっていくのかをお話していきますので、お楽しみに!!

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    Tue, 06 Sep 2022 01:27:57 GMT
    ep16-3 小田嶋隆さんについて

    3回にわたってお伝えしてきた小田嶋隆さんについて。

    今回が最後の回です。


    今回は、2つの本(片方は本の中の一部)から、小田嶋隆さんの魅力をご紹介。


    【紹介する本】

    「わが心ICにあらず」

    「13歳のハードワーク」(※「転換期を生きる君たちへ」所蔵)



    処女作となった「わが心ICにあらず」の中で言えば、たとえば「ようこそデニーズへ」というエッセイ。

    デニーズがどのようにできていくかを独自の視点で描写します。


    「アメリカが、セイタカアワダチソウを尖兵として放ち、オオバコやススキを駆逐。次はアメリカザリガニを…」

    と小田嶋隆さんならではの切り口(アメリカによる侵略パロディ?)・文体・リズム・言葉の重ね方が堪能できます。



    また、「13歳のハードワーク」では、村上龍さんの「13歳のハローワーク」を批判。

    作家という存在になれた村上龍さんが、サラリーマンという職業を上から見ているのではないか、という指摘があります。

    また「職業こそが人間に生きがいと存在証明を与える最重要要素だという思想」を植え付けてしまうのではないか、という提言も。


    こうした、我々のような人間が見落としてしまいがちなことに気づき、それを言葉にして世に問うという勇気がある方でした。



    改めて今回、小田嶋隆さんの27歳から57歳までの30年間に思いをはせました。

    どんな変化や意思の力があったのでしょうか。

    独自の視点で見た世界について、憚ることなく言葉にして発してこられた小田嶋隆さんへの感謝を込めて、著作をポチりまくろうと思います。


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    Tue, 23 Aug 2022 23:06:29 GMT
    ep16-2 小田嶋隆さんについて

    2022年6月に亡くなられた小田嶋隆さんについて語るシリーズ第二回。


    今回は、二つのテーマについてお話していきます。


    ・GQ Japanに寄せられた内田樹さんの記事

    ・小田嶋隆さんのセミナー「書き始めるための大いなる助走」



    ◎まずはGQ Japanの記事に関して

    「半ズボン姿で世間に対峙できる人間になろうとした人」

    内田樹さんは小田嶋隆さんをこう評しています。

    たとえると「夏休みを終えてもアロハシャツ、半ズボンゴム草履のままで、受験モードに切り替わった周りから孤立してしまった高校生」が、「こっちに来て自然に生きなよ」と周りの窮屈そうな同級生を説得しているようだと。


    コラムニスト・小田嶋隆が残した功績【追悼企画】──Vol.01:内田樹
    https://www.gqjapan.jp/culture/article/20220627-takashi-odajima-tatsuru-uchida



    ◎粟野さんが参加したセミナーに関して

    脳梗塞で入院された直後のタイミングで、頭に包帯ぐるぐる巻きで登壇され、セミナーの時間2時間をぶっ通しでお話されたそう。

    言葉を尽くし、相手に届けようとする姿が印象的だったと。


    新聞のように署名のない記事ではなく、できる限り自分を掘って見せていくこと。

    情報を運ぶ船になるのではなく、船そのものを見せていくこと。

    コラムとは視点の展開、世界観の逆転と言われていたように、自分ならではの世界のとらえ方を文章にするものである、と。



    内田樹さんが、小田嶋隆さんは村上春樹さんと似ているところがある、と書かれていたようです。

    それは自分を内面へ内面へと掘っていく傾向について言われていたのでは、と思うところです。


    次回の第三回では、小田嶋隆さんの書かれた文章をいくつかご紹介していきます。

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    Thu, 18 Aug 2022 11:00:00 GMT
    ep16-1 小田嶋隆さんについて

    毎日暑いですね。
    部屋にエアコンのない粟野さんの暑さ対策は、氷嚢・定期的なシャワー、だそうです。
    そんな粟野さんの部屋の窓を閉め切らせて収録に臨んでいただいた今回。
    蝉の声を拾ってしまうのが、夏の音声収録の難しいところですね。


    さて、今回はいつもとは趣向が変わります。
    扱うのは一冊の本ではなく、小田嶋隆さんという人について、です。

    2022年6月にお亡くなりになられた小田嶋隆さん。
    これまで何冊もの本を書かれてきました。
    小田嶋隆さんの文章のファンである粟野さんは、
    2000年代の後半、日経ビジネスのコラム「a piece of 警句」で知って以来、ずっと虜だそうです。

    1956年、赤羽生まれ。
    小石川高校を経て、早稲田大学の教育学部へ。
    ちなみに最初に入った企業は半年で辞めています。

    歯に衣着せず、多くの方が言いたいけど言えなかったことを代弁する存在。
    そんな姿に内田樹さんも思わず共著のお誘いをかけてしまうほど。


    小田嶋隆さんの著書「コラム道」からの一節をご紹介します。


    コラムとは、他の文章のように情報を運ぶ船ではない。船そのものなのだ。

    面白くなくても、沈没しようが、進むさまが相手の心に残ればそれでいい。

    生き方を見せるのがコラムである。


    次の回では、粟野さんが小田嶋隆さんのライティング講座に通った2か月間の体験談を話します。

    -----

    皆さん、お気づきになりましたか?

    今回から、番組のカバーアートが変わりました!
    (小田嶋さんの故郷である赤羽で撮影してきました)

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    Thu, 11 Aug 2022 02:00:00 GMT
    ep15-3「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」(酒井隆史さん)

    「ブルシットジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」(酒井隆史さん)を扱う第三回目。


    前回、自分自身のこれまでを振り返って猛烈に反省した星野が、
    では、これからどのように資本主義に抗っていくのか、を宣言する今回。



    そもそも、収集心を持ち、ブルシットアーティストの才能もあると自覚している星野。
    そこは直す難易度は高そうなので、諦める。
    せめて他から拾った知識ではなく、
    自分の体験から生まれた知識で話すようにしていきたいと考えました。



    その際、手掛かりにするのはこの二つ。


    ・職人的な無形知の合理化、細分化への抵抗

    ・労働者コミュニティの分断への抵抗


    資本主義が進めてきた、過去の遺産の解体という流れに逆らいたいと思います。

    つまるところ、ものづくりコミュニティの立ち上げです。

    (チラリと告知しておきますが、コミュニティの名前は「Work Teller」。)


    現代人たちは、コミュニティを失い過ぎました。
    今や、お金を介さないコミュニティは、レアな存在といってもいいほど希少です。。
    なので、小さくてもいいので、コミュニティを生み、運営していく知見を得ていきたい。


    いずれは、基盤的コミュニズムが掲げる

    「各人は能力に応じて、各人には必要に応じて」

    が地で行けるコミュニティを目指していきたい。



    今回も、親バカ話やAmazonのレビュー話などの横道タイム多めでしたが、
    「ブルシットジョブの謎」も今回で区切りとしたいと思います。


    改めて、リクエストいただいた方、ありがとうございました!!



    最後にご協力のお願いです。


    「あなたは、本家ブルシット・ジョブ読みましたか?」

    アンケート(Spotifyのみ)がありますので、可能な方はぜひご投稿ください!


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    Wed, 27 Jul 2022 12:30:00 GMT
    ep15-2「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」(酒井隆史さん)

    「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」(酒井隆史さん)

    今回も、引き続きこの本を扱って進めていきます。


    星野はこの本を読みながらふと、以前読んだ「パパラギ」という本を思い出しました。

    南の島の酋長からみた現代社会について書いた本です。

    振り返ってみると、まさしくブルシットジョブ。そしてこれを不幸な生き方だと言っています。

    見えている人は、40年前から見えていた訳ですね。

    改めて行き過ぎた資本主義に対して、自覚的でありたいと思った次第です。


    今回は、主に星野が本書を読み、感じたことを話しています。


    • ブルシットアーティストとしての才能の自覚
    • 組織の封建化の実体験例
    • 就活相談時の資本主義助長


    思い当たることが多く、的確にわが身をえぐってきて、イタイイタイ…。

    さらに「自分の場合は違うんだ」と正当化しようとまでしました。

    一通り、星野がわが身を切り刻む時間にお付き合いください。

    (23分頃まで続いています)



    その後、山下達郎さんが、サブスク型音楽配信サービスには曲を提供しない

    という話をもとに、この時代にとれる行動へのヒントを少しお話しています。


    いきなりの変化は難しいですよね。

    では、グラデーションをつけた変化とは、どういうものがあるのか。

    そこについても考えてみたので、そこは次回お伝えしていければと思います。

    -----

    ところで、「雇用の創出」と聞くと素晴らしいことだと感じますよね。

    ですがひょっとすると、国や行政のお金を使って、無駄な仕事を生み出してはいないでしょうか。

    世の中全体の4割がブルシットジョブだと言われている現代ですが、

    いっそユニバーサルベーシックインカムが導入されれば、

    社会をよくすることに時間と人生を使いたい。と考える方も多くなるのかもしれません。


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    Wed, 20 Jul 2022 08:45:15 GMT
    ep15-1「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」(酒井隆史さん)

    お待たせしました!

    今回は記念すべき回です。

    一体どんな回なのかと言うと、


    リスナーの方のリクエストによる本を扱う初めての回。


    リクエスト、ありがとうございました!!


    さて、今回リクエストいただいたのがこの本。

    「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか」(酒井隆史さん)


    デイヴィドグレーバーさんが書かれた「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」の解説書という立ち位置の本です。


    今回は、構成をいつもと少し変えてみました。

    普段は粟野さんが構成を考えてくれるのですが、今回は粟野さんと星野でそれぞれテーマを出し合って話していくことに。

    初回は、どんなテーマがあるかを挙げていきます。


    【テーマとキーワード一覧】


    ◎粟野

    キーワードとしては「雇用創出」「イデオロギー」

    「仕事が多い方がいい、という考え方はおかしいのでは?」

    「ネオリベラリズムなどの枠組みを健全に疑い、オルタナティブな生き方をしていくべきでは?」


    ◎星野

    「星野が普段とっている普段の言動が、資本主義を増長させていた件」

    「理想の状態に世界を変えていくために、何から始めていけるのか?」



    本書に関わるお話は実はこれぐらいで、今回は脇道ばかりに時間を使ってしまっています。

    ご容赦ください。

    ちなみに、「推しのTシャツ」や「ラヂオの時間(三谷幸喜監督の映画)」に関する脇道話をしています。

    ご興味がある方は聞いてみてください。


    次回から、本格的に「ブルシット・ジョブの謎」を扱っていきます。


    お楽しみにお待ちください!


    -----

    はじめてのリクエスト回にも関わらず、脱線しすぎて失礼しました。
    嬉しすぎるとつい脱線してしまう、俗にいう「ウレ線」てやつでした。

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    Wed, 13 Jul 2022 14:23:36 GMT
    ep14-3「今日は誰にも愛されたかった(谷川俊太郎さん、岡野大嗣さん、木下龍也さん)」

    「今日は誰にも愛されたかった」を扱う3回目です。

    装丁がかわいいな、と思い調べてみると、装丁デザインは寄藤文平さんでした。
    R25などで有名なアートディレクターさん。
    気になる方はぜひ調べてみてください。
    本当にたくさんの素敵なお仕事を手掛けていらっしゃる方です。


    さて。

    前回少し拡散してしまったので、今回は収束させていく回にできればと思います。
    今回お伝えしたいのは、「詩」と「会話」との共通点について、です。

    普段ぼくたちが何気なく交わしている会話というもの、実は結構なクリエイティブな活動なんじゃないか、と思っています。
    特に目的もなく雑談をしていても、気持ちよく雑談できた後って、晴れ晴れと次に向かえたりすることがあると思うんです。
    そんな時に何が起きているのかを考えると「程よく受ける」という行為があるのでは?

    例えばビジネスシーンでは、テーマから外れた横道発言が許されづらかったりします。
    でも、そうした横道発言を程よく受けて、相手の問いへの答えだけでなく、自分なりの何かを載せて返事として返せたりしたら、話題は二人だけの創造物になっていく。
    視点だって次々と変わって、会話を通して様々なものの見方ができるようになる。

    本著の連詩でおこなわれていたことと一緒です。

    こうした会話には、スキルや経験、リテラシーが求められると思います。
    全員がすぐにできるものではないと思います。
    でも、この分野のリテラシーを築いていくことに対して、星野はとても興味があります。
    会話を通して、思いもよらない場所にたどり着く。
    それを支えるためのマナーやルール、コツのようなもの。
    これを皆で一つずつ見つけて、共有していけないかと考えています。

    今の世の中、様々な人の意図のもと、様々な物語がつくられていて、そんな時代の中で、大きな物語に巻き込まれずに自分の物語を生きるためには、自分の中にあるポエジーを自覚する必要がある。
    詩や会話は、日常生活の中でもそうしたポエジーを発掘するためのいい手段になるのでは。
    自分が何にビビビと来て、どんな方向に進みたくなっているのかを、詩や会話を通してつかめたりするんじゃないか。

    そんなことを考えた次第であります。


    -----


    なんと、初めてリクエストをいただきました!
    もうマジで本当に超絶ありがとうございます!!!

    そこで次回は、リクエストいただいた「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか (講談社現代新書) 」を扱います。

    また皆さんのご意見もお聞かせください。
    ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、こちらまでDMをお寄せください。
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    Mon, 04 Jul 2022 22:30:30 GMT
    ep14-2「今日は誰にも愛されたかった(谷川俊太郎さん、岡野大嗣さん、木下龍也さん)」

    今回は「今日は誰にも愛されたかった」を扱う二回目です。

    いよいよ中身に入っていきます。



    そもそも連詩とは、複数人で詩を書き連ねていく創作手法。

    前の人が書いた詩からなんらかのテーマを引き継ぎ、展開させていきます。

    一人で単発でおこなう創作は、作者の意図のもとコントロールされた作品が生まれていくわけですが、連詩の場合そこにコントロールできない流れと、偶発性の重なりによって段々と世界観が生まれてくる。

    結果として、作者も意図しなかったゴールへとたどり着く可能性が高まります。


    こうした創作活動を3ヶ月続けた結果出来上がった連詩と、その感想戦がこの本の中身。

    谷川俊太郎さんがいらっしゃるので、郵送などで作品を送り合うのかな、などと勝手に思っていたら、LINEでやりとりしたそうです。

    また、前の人の詩を受け取ってから創作にかけられる日にちは3日と、スピード勝負。

    意外とポンポンと書いていったみたいですね。

    それでも3ヶ月続けているので、相当なクリエイティビティの積み重ねがあったのだと思われます。



    掲載されている連詩を読みながら感じたのが、連詩全体を通して、抽象と具体の行き来や、テーマの設定・展開などを作者それぞれが独自におこなっていく様の面白さ。

    それぞれがつくった詩を読み、そこから拾った何かを引き継ぎ、新たなポエジーや意思とともに次の詩を生み、渡していく。

    この一連の行為が、いわばコミュニケーション代わりとなり、連詩全体に3名だからこその独自の世界観をつくっていく。

    このあたり、以前お話した対話型鑑賞ともつながる部分があるな、とワクワクします。



    タイトルとなっている「今日は誰にも愛されたかった」自体も、連詩の中で生まれてきたもの。

    ひきつけのあるタイトルですよね。

    こういうものが生まれてくるのも、連詩ならでは、と言えるのかもしれません。

    (各創作者個人の技量やこだわりかもしれませんが)




    普段、ぼくたちも会話を通して、連詩と似たような創作活動をしているのではないだろうか、とふと思ったので、第三回ではそのあたりをお話してみようかと思います。


    また皆さんのご意見もお聞かせください。

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    Mon, 27 Jun 2022 21:30:49 GMT
    ep14-1「今日は誰にも愛されたかった(谷川俊太郎さん、岡野大嗣さん、木下龍也さん)」

    本日は、普段と趣向を変えまして、「アワノトモキ」ではなく「ホシノリョウタ」の読書の時間です。

    「人と組織の関係性」ではなく、「人と表現」の関係性について扱っていきたいと思います。


    扱う本は、ナナロク社の「今日は誰にも愛されたかった」。

    谷川俊太郎、岡野大嗣、木下龍也さんのによる連詩の本です。


    詩について、星野はもう少し理解したい、と言う欲望がありました。

    そんな折にこの本に出会い、扱わせていただくことを決めた次第です。

    冒頭の谷川さんの説明である程度の詩のイメージがつくかと思います。

    ポエムとポエジーの関係性と、あえて曖昧な表現を目指す性質と。

    本編で谷川さんの説明を音読していますので、気になる方は聞いてみてください。



    本の構成は前半が連詩をそのまま掲載。

    後半で、それぞれの連詩についての感想戦を載せています。

    星野は、この感想戦に期待を持ったのでした。


    詩的なものを仕事として行っている方々が、どのような気持ちで作品をつくり、他人の詩に対してどんな見方をするのだろうか。

    そこから今後に活きる視点を得たい!!と。



    次回は、いよいよ中身に入っていきたいと思います。

    ただし、星野の主観ががちがちに入りますのでお気をつけください!


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    Wed, 22 Jun 2022 05:48:45 GMT
    ep13-3「人新世の『資本論』」(斎藤幸平さん)

    人新生の「資本論」、3回目の今回は軽く感想戦です。


    考えてみると、40前半の我々は、世代的にも、時代的にも、色々できることの多いタイミングなのかもしれません。
    ここでワーカーズコープ的な挑戦できないか、と真剣に考えています。

    同世代だったり、周囲の人々もそうした方向に興味を持っているのを感じる機会も少なくない。
    どこかでいい実績がつくれれば、この社会の中に、新しい生き方への道が、一気にできるんじゃないでしょうか。

    盛り上がってしまった星野が、個人的な焦りの話と、妻の話を長々としてしまっていますが、今年度中には何か新しい動きを起こしたいですね。

    ぜひこの番組を聞いていただいている皆さんともご一緒できればと思います。


    さて。
    次回は少し趣向を変えて、ホシノが一冊ご紹介します。
    ホシノリョウタの読書の時間。
    脱線役はアワノさんが務める予定です。

    お楽しみに。

    また皆さんのご意見もお聞かせください。

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    Mon, 06 Jun 2022 02:50:15 GMT
    ep13-2「人新世の『資本論』」(斎藤幸平さん)

    人新生の「資本論」を引き続き扱っていきます。


    さて、今回は3つのキーワードに沿って中身の解説です。


    1.資本主義は勝者無き終わりなき戦い

    現在の世界では、たった1%の富裕層が世界全体の4割の個人資産を所有していると言います。

    富の偏在と言いますが、一言で言えば、金銭的に豊かになれない人が圧倒的に多いのが資本主義です。

    以前の社会では、森や川など、皆で共有できる資産「コモンズ」が潤沢にあったために希少性が生まれず、あえてお金を出して物を買おうとする状況がありませんでした。

    そこで資本主義は、「コモンズ」を解体し、意図的に希少性を生み出し、お金がないと暮らすこともできない社会をつくりだした訳です。

    すると、お金に換えるものを持たない人々は、都市に出て雇われ、低賃金でお金を稼いで生きていくしかなくなってしまいます。

    生きていくためには、資本家と経営者の指示に従って働くしかなく、この状態をマルクスは絶対的貧困と呼んでいます。

    このままでは、皆で豊かになる未来は決してやってこない。

    そこで考えるべきなのは、脱資本主義、脱成長的な戦略なのではないか、と訴えています。


    2.暇と浪費

    こうした話を受け、粟野さんはあるラジオで放映された國分功一郎さんと斎藤幸平さんの対談番組を思いだしたそうです。

    以前読書の時間でも扱いましたが、國分功一郎さんと言えば「暇と退屈の倫理学」。

    意図的な希少性に踊らされて消費させられるのではなく、みずから暇をつくって、しっかりと価値を味わう消費をしましょう、という内容でした。

    資本主義に対抗する手段としても、通用するものがありそうです。

    また、「リニアモーターカー」や「観光立国」に関する星野リゾートの星野代表の話にも、通ずるものがあったそう。

    行き過ぎた資本主義には、あの名経営者ですらも疑念を持っている、と。

    ただし、「一社だけで脱成長戦略を採ることはできない」という星野代表の言葉にも感じられるように、世界全体で大きな方針転換がない限りは、現状は変わらないように思えます。


    3.ワーカーズコープ・ワーカーズコレクティブ

    ワーカーズコープ・ワーカーズコレクティブと呼ばれる、新しい法人格に関する法律「労働者協同組合法」が今年2022年10月から走り始めます。

    簡単に言えば、資本家、経営者、労働者という三者の区分けが存在しない法人格のことです。

    労働者たち全員が出資をして、経営にも責任を持ちながら働く。

    すでにこの形態をとって活動している方々もいるのですが、法整備によりいよいよ本格的な波が起きるのかもしれません。

    資本主義の中では、資本家や経営者からの指示によってでしかお金を稼げなかった労働者たち。

    この形態を採れば、自分たちで社会に対して仕掛けることがより自然にできるようになるのかもしれません。

    もしかすると、お金のためではなく、仕事それ自体の価値のために働くことができるのかもしれない。

    さらにもしかすると、これにより持続可能な社会に舵を切れるのかもしれません。

    ついついそんな新しい社会への希望を感じてしまう形態です。

    自分たちでも一社立ち上げてみたいところですね。

    -----

    今回も1時間弱という長いお話になりました。
    いつもお聞きいただきありがとうございます。


    改めて思うところなのですが、今回の本では「このまま資本主義での発展は続かない」という論を数々の論文を参照して展開している訳です。

    世界中にこれだけ、資本主義の描く未来を信じていない人たちがいることに衝撃を受けました。

    それでも、ほんの数%の人々の利益のためにこの形態は続いていくのでしょうか。

    また皆さんのご意見もお聞かせください。

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    Wed, 01 Jun 2022 13:00:40 GMT
    ep13-1「人新世の『資本論』」(斎藤幸平さん)

    粟野さんは20年ぶりにマラソン大会に参加されたそうです。

    霞ヶ浦マラソン(https://kasumigaura-marathon.jp/)

    現状ではまだ満足いかず、まだまだ先を見据えていらっしゃる様子。
    日々スクワットと保育園の送り迎えくらいしかしていない星野は、走る方々を本当に尊敬します。


    今回扱うのは、「人新生の資本論」(斎藤幸平さん)。

    皆さんがご存知のようなメジャーな本は扱わない、と宣言しているこの番組ですが、
    大ベストセラーを扱います。
    これまでおよそ50万部売り上げている「人新生の資本論」。

    星野の所感では、様々な文献や論文から参照されて、今現在自分たちが立っている場所の状況を明確に掴める本です。
    粟野さんとしても、構成がしっかりしているのでまとめやすかったそう。
    資本主義に疑問を投げかけるこうした本がこれだけ読まれている、というのも面白い世の中ですよね。


    今回は軽く本の要所に触れた程度ですが、下記のようにまとめておきます。

    水や自然環境など、社会の中で人々に共有されるべき資源のことをコモンと呼びますが、
    これを利活用できていた社会は段々と昔のものになってきました。
    今や都会ではかつてのコモンにはすべて所有者が存在し、何をするにもお金がかかる。
    かつて豊かだったコモンも、あえて希少性を作り出されることで、資本主義に組み込まれていく。

    このままの考え方を続けていれば、みんなが豊かな状態にはたどり着けないかもしれません。


    さて、本書を読み解くキーワードはこちら。

    • 資本主義は勝者無き、終わりのない戦いである
    • 暇、浪費、潤沢さ
    • 働くについて(ワーカーズコープ・ワーカーズコレクティブ)


    次回以降、また詳しい内容に触れていきます。


    -----

    これも星野の個人的な考え方ですが、
    資本主義が見据える効果期間と、宗教や各地域文化が見据える効果期間の違い。
    それぞれが見ている時の長さの違いが、議論がかみ合わなくなる原因だと考えています。
    長年培った知恵の集積が、今の資本主義にはまだ備えられていないのでは?

    また、皆さんのお考えも聞かせてください。

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    Wed, 25 May 2022 23:00:49 GMT
    ep12-3「街場の教育論」(内田樹さん)

    今回は「街場の教育論(内田樹さん)」最終回として、少し教育に関するこぼれ話を。


    義務教育の「義務」って、みなさんどう捉えていらっしゃいますか?
    粟野さんは、以前はこどもに対する義務だと考えていたそう。

    ところが実際には、こどもに対する義務、ではなく、親に対する義務、だったんですね。
    ある程度の年齢になったら、こどもを家庭以外の場所に所属させる。
    親のコントロール下から一時的に引き離す。

    たとえば産業革命の頃のヨーロッパでは、こどもは労働力として扱われていた。
    「小さな大人」なんて言葉も世界史や倫理で習ったこともあるのでは。
    そんな社会の中では、親がこどもの人生を決めてしまっていた。
    そうした状況からこどもを守るために、義務教育が生まれた、という流れもあるようです。

    そう考えてみると、義務教育とは、親からこどもたちを守るための制度、とも考えられる訳ですね。


    余談ですが、「集団への所属欲求」と言うものが、少年期~青年期には存在するらしいです。
    コロナの時代になり、通学できずに宅習をつづけるこどもたちは、その欲求が満たされずに人知れぬストレスを抱えているかものかもしれません。

    -------

    今回の読書を通じて、義務教育の担う目的の一つに気付けました。
    いっそ、義務教育という名前も変えてしまったらいいのにね。
    皆さんなら、どんな名前を付けますか?

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    Wed, 11 May 2022 22:30:34 GMT
    ep12-2「街場の教育論」(内田樹さん)

    今回も引き続き、「街場の教育論」(内田樹さん)を見ていきます。

    今回のキーワードは3つ。


    ・教養教育と専門教育

    ・学びとは

    ・自分らしさが引き起こす家族の解体と働くことのモジュール化


    まずは一つ目の「教養教育と専門教育」について。

    東洋にもリベラルアーツがあった。

    六芸(りくげい)というものを孔子が定めた。


    「礼・楽・射・御・書・数」


    礼とは、この世のものではない者とのコミュニケーション。

    楽は音楽。特に、時の流れを感じさせるものとして。

    射は弓矢。つまり武の鍛錬。そして御は馬術のこと。

    射は、精神統一、自分の体とのコミュニケーションが大切になる。

    御では、人間以外とのコミュニケーションが求められる。


    ココまで見てくると、孔子が言いたいことが見えてくる。

    今の自分がいる環境の言葉や価値観だけでは通じない者とのコミュニケーションを訓練することが大切。

    そしてそれを学び訓練することが教養教育だ、と伝えている。


    ------

    孔子の英語の読み方が「Confucius」であることについて、「confusion(混乱)」との関連性を言及しましたが、どうやら考えすぎだった様です。

    孔子ではなく、孔夫子の中国語読みに対しての英語なりの当て字、と言うのが正解の様でした。

    ------


    それに対して、専門教育とは、「内輪のパーティ」だと。

    その中では根本的な質問はしてはいけない。

    前提となる知識や定義については、改めて取沙汰しないもの。

    ただし、専門家になりたければ他の領域の人と対話できる必要がある。

    そこで、自分以外の他者とのコミュニケーションを訓練する教養教育が求められることになる。



    二つ目の「学びとは」について。

    学びとは「上に離脱すること、つまり離陸すること」だと内田さんは定義する。

    必要なスタンスとしては「自分以外の世界にある叡智を認めること」。

    すると、世界に対して自分の知識の不足を焦ることになる。

    これが学びのスタート。

    メンターがいて、自分が想像もしていなかった世界に引き上げられる、巻き込まれることが必要。

    村上春樹さんの「ダンスダンスダンス」の中で羊男と僕の関係は、まさしくメンターと学習者の姿なのではないか。



    そして三つ目「自分らしさが引き起こす家族の解体と働くことのモジュール化」について。

    家族の解体について、消費活動の視点から解説していく。

    1980年代以降、自分らしさは消費活動でしか表現できなくなった。

    それ以前は、消費は家族単位で決めることで、消費には家族の合意形成が必要だった。

    すると経済が急激には伸びていかない。

    そこで「自分らしく生きるキャンペーン」が生まれた。

    家族を解体し、好きなところに一人で住み、家族での合意形成を必要とせず、一人単位で物を買ってジャンジャン消費してください、と。

    家族でいることの安定よりも、消費に対して自由な個人でいることを選ばされた結果として、貧困な個人が生まれてきてしまったのが今なのではないか。


    同じように、仕事に関しても自分らしさを過度に発揮しようとした結果、働くことがモジュール化されてきた。

    全体の中での歯車としての役割を過度に回避し、クリエイティブでパーソナルな仕事をして、自分のタグをつけたくなってきている。

    結果として、他者と協働することなく自分の殻の中に閉じていってしまう。

    これが、自分らしさキャンペーンの影響によるものなのではないか。


    ここに関連する話として、第5回目に扱った「あいだの思想」がある。

    そこで話されていた誤解として「3つからの自由」が挙げられていた。

    「時間からの自由」、「場所からの自由」、「関係性からの自由」を求めてしまっていないか。

    まさしく今回語られている「自分らしさ」は、この3つからの自由と重なる部分が多い。

    高橋源一郎さんは「いろんな関係性の間に、多様な自分を発見することが重要」だと言っていたが、その視点が欠けているのかもしれない。



    最後、余談として苫野一徳さんの「こどものころから哲学者」の内容について少し触れています。

    その中で竹田青嗣さんの話が出てきますが、この方も苫野さんにとってのメンターだったのだろうな、と思った次第。


    <補足のお知らせ>

    実は先日、星野も共著でkindle出版してみました。
    「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
    よろしければ、読んでみてください!

    そうそう。
    話の流れで、粟野さんも本を書くことになりました。
    皆様も、楽しみにお待ちいただければと思います。

    ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、こちらまでDMをお寄せください。
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    Thu, 05 May 2022 22:28:23 GMT
    ep12-1「街場の教育論」(内田樹さん)

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    <最近のアワノNEWS>
    山口周さんが本を紹介する番組が始まったそうです。
    図書館の館長さんと司書(長濱ねるさん)の設定で、本の紹介をしていく内容。
    BIBLIOTHECA-The Weekend Library- J-WAVEにて土曜日15:00~15:54

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    今回扱う本はコチラ。

    「街場の教育論」(内田樹さん)ミシマ社出版

    内田樹さんが教育に関して大学院の授業で語られた内容を、本にまとめた形。
    全体を通して街場、つまり内田さんならではの雰囲気で語られています。

    星野の好きな村上春樹さんの作品にも触れられているという。
    たとえば「ダンス・ダンス・ダンス」の中で、
    学びを踊りのメタファーで説明していることに触れていたりするそうです。
    これは読んでみたくなりますね。

    また、登場人物である「僕」と「羊男」の関係が、
    学びにおける弟子とメンターの関係になっているとうお話もあると。
    知識と知識を配電盤のように結びつける人。それがメンターであり、
    メンターの役割を担っている羊男自身も、なぜそれをしているのかもわからない。

    軽く内容に触れてもらいましたが、こんな内容を次回から解説してもらいます。


    今回の本を読み解くキーワードは3つ

    • ・教養教育と専門教育
    • ・学びとは
    • ・自分らしさが引き起こす家族の解体と、働くことのモジュール化


    ちなみに、粟野さんが年間で購入している本の数は120~130冊程。
    今は月に10~15冊程のペース。
    本にメモを書きながら読むので、本の形で購入しているとのこと。


    <補足のお知らせ>

    実は先日、星野も共著でkindle出版してみました。
    「コロナ時代に、オンラインでコーチングをはじめてみた。」
    よろしければ、読んでみてください!


    そうそう。
    話の流れで、粟野さんも本を書くことになりました。
    皆様も、楽しみにお待ちいただければと思います。

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    Wed, 27 Apr 2022 02:00:26 GMT
    ep11-3「教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ」(本田由紀さん)

    本田由紀さんの「教育の職業的意義-若者、学校、社会をつなぐ」を扱う最終回。

    ただし今回は、本著にインスピレーションを得ての少し別のお話。


    粟野さんの好きなラジオ番組「J-wave Jam the Planet」で聞いたある会社のこと。


    社名は、パプアニューギニア海産
    石巻から震災後、大阪へ移られたエビ工場さんです。

    気になったポイントは、パートさんのはたらき方の自由さ。
    はたらく人の気持ちや特性をとても理解している制度があるようなのです。
    詳しくは本編でお話しています。


    さらに詳しくは、こちらの本にも。
    生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方(武藤北斗さん)

    ティール組織で有名になった、オランダの企業ビュートゾルフ社がNo管理No評価を成り立たせたように、今後社会の中には、仕事への向き合い方が変わる企業も増えてくるかも。

    こうした会社を見つけると、ついつい応援してしまいますね。


    ラスト、シリーズ11の内容にとってもそそられた星野が鼻の穴を拡げながら話しています。

    --------

    仕事って、人と人が関わるところに生まれる。
    誰かがしないことや、苦手なことを得意な人がしてあげるのが理想な状態。
    その点で自己分析は役に立つ。

    関わる人の数が増えれば増えるほど仕事のチャンスは増える。
    また、属するコミュニティによって、自分に寄せられる期待は変わる。
    自分の価値は相対化されるもの。

    そのため、常に自分と環境との関係を探ることが必要。
    それをサボると、会社に属することになる。
    自分の価値と環境との接点の省エネ化ができる。


    『自分はなぜ働くのか?』


    ふと迷った時には、スタート地点に立ち戻れるといいよね。


    まずは走り出してみよう。
    意外と気に食わない環境で、その後を生き抜く武器が身につく「かもしれません」。


    そんな想いもあり、今後の教育には期待したいところですし、自分たちでもつくっていきたいところです!


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    Thu, 14 Apr 2022 14:00:00 GMT
    ep11-2「教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ」(本田由紀さん)

    前回に引き続き本田由紀さんの「教育の職業的意義-若者、学校、社会をつなぐ」を扱っていきます。

    今回は50分弱のノンストップトーク。
    少しお時間に余裕のある際にお聞きください。
    前回挙げたキーワードを元に、様々なお話に寄り道しながら、本書の内容を追っていきます。

    -----

    ●キャリア教育について

    一般的には、キャリア教育はいいことだと思われているのではないでしょうか。
    ですが、これは悪ではないか、という考え方です。

    粟野さん自身もキャリア教育に携わっていた経験を振り返り、また過去勤めていた企業が提供しているキャリア教育プログラムについても触れながら説明していきます。

    キャリア教育の中では、いい面やきれいごとを言い過ぎてしまう、という側面があるように思います。
    たとえば、ある企業のキャリア教育プログラムの目的に、こんな内容が掲げられています。

    ・若いうちから働くことの本質に向き合うこと。

    ・自分だけのパーパスを形づくっていくこと。

    もちろん大事なことです。
    ですが、こうしたプログラムを受講するのは小中高生。
    彼らが今触れている世界との乖離があるように思います。
    言わば、現在のキャリア教育には、日常からの地続きの仕事体験が欠けているのでは。

    知識偏重のキャリア教育は、夢追い型タイプを生み出す傾向があり、社会的自己実現意識をつよめ過ぎてしまう。
    こうしたことが、調査としても確認されているようです。


    ●自分らしさについて

    自分らしさを見つけなければいけないという空気、ありますよね。
    特に就活シーンでは多く見られると思います。

    そこに対して、少し疑問があります。
    唯一無二の自分らしさには、そこまでこだわらなくてもいいのでは?
    自分が自分の価値を決めることは、中々に難しいことなのでは?

    養老孟子さんはこんな言い方をしているようです。
    仏教的な感覚がつよくある日本社会に、西欧的なアイデンティティの考え方が入ってきてしまったことで、衝突が起きているのではないか、と。

    また、本田由紀さんが自己分析について社会学的に分析した内容が興味深い。
    リクルート社の就職ジャーナルの誌面で、「自己分析」がどう扱われているのかの年度比較ですが、社会の状況の変化に合わせて、自己分析の重さが変化していくのも興味深いところです。

    唯一無二の自分探し、意外と大変で苦しいものです。
    自己分析という言葉が出始めた頃のように、いっそ、就活用と割り切った自己分析をするのも手かもしれませんね。
    また、こういうことを気軽に話せる大人が就活で苦しむ若者の周りにいると、救いになると思います。


    ●職人について

    仕事自体へのコミットメントを大切にすると、憧れに翻弄されずに済むのでは?
    という考え方から、職人(クラフツマン)的な価値観についても触れていきます。

    参考に、2名の社会学者の考え方を紹介。

    リチャード・セネット

    貧困家庭で育つものの、チェロの才能を伸ばしプロの音楽家への道を目指す。
    しかし、ケガにより社会学者への道を目指すことになる。
    人生をかけて音楽家を目指した経験が、社会学者としてのベースにもなっていることから、職人のように一つのことに集中することにより、他のことにも活かせる能力が育まれるのではないか。

    ジグムント・バウマン

    リキッドモダニティを提唱した著者。
    仕事に値札をつけることは、人間の品位を汚すことにつながる。
    人間は本来、創造的であり、お金という観点を外すだけで創造性が高まるはず。


    -----

    2人とも興味のある分野を扱った今回、普段の3倍くらいの時間話してしまいました。
    特にジグムントバウマンの考えについては、我々も収録を通して実感中です。
    おススメ。

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    Tue, 05 Apr 2022 06:00:00 GMT
    ep11-1「教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ」(本田由紀さん)

    J-waveのナビゲーターをマネして、安心感のある話し方を心掛けてみた冒頭。
    意外な粟野さんの引き出しを開けてしまいました。

    せっかくなので、皆様にも共有しておきます。

    <粟野さんのおススメラジオ番組>
    野村訓一さんの『TRAVELLING WTIHOUT MOVING』
    https://www.j-wave.co.jp/original/travelling/


    さて。
    11冊目は「教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ」(本田 由紀さん)を扱います。

    学校教育と職業とのつながりについて、過去の振り返りや他国との比較から深めていく内容。
    「このままでは教育も仕事も壮大な詐欺でしかない」というキーワードが表紙に書かれているように、中々刺激的な内容になりそうです。


    今回設定したキーワードは下記の3つ。

    • キャリア教育→粟野さん自身の過去の経験を含めて自戒的な意味も。
    • 自分らしさ→平野敬一郎さんの「分人」、中島岳志さんの「思いがけず利他」とも関連。
    • 職人→目の前の仕事をやる。それが次の新しい展開を生む土台になるのではないか。


    今回は、テーマ的に粟野さん、星野ともに熱のこもるシリーズ。
    ちなみに次回は熱が入りすぎて、史上初の超長編になる予定です。

    心してお待ちください。

    -----------------------------
    冒頭の茶番のおかげで、粟野さんの意外な趣味が知れました。
    やっぱり会話っておもしろいですね。
    毎回打ち合わせなしで臨む収録にヒヤヒヤさせることも多いかと思いますが、寄り道したからこその拾い物があることを実感しました。
    今後も広い心でお付き合いくださいませ。

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    Tue, 29 Mar 2022 06:00:00 GMT
    ep10-3「思いがけず利他」(中島岳志さん)

    記念すべき10冊目となる本書も、いよいよ締め、です。

    まとめのキ-ワード三つはコチラ。

    • 明るい諦め
    • 自分なりの解釈
    • 未来にオープンになる

    物事は大体が巡りあわせによるもので、一歩間違えば今の自分は他の誰かだった可能性がある。
    決して自分の実力だけで今の自分を作り上げられた訳ではない、それを認識しておくことが大切。

    この本を読み、落ち込んだ際に様々な人に助けてもらったことを思い出しました。
    そういう感覚でいれば、間違っても「お前が努力しないから貧乏なんだ」という意味のことは言えなくなるはず。

    著者の中島さんも、こういう気持ちを持つことが利他を生み出す土台になるんじゃないかとおっしゃっています。

    元々日本人が持っていた自然観と調和した人生観。
    とは言え、理想に向けて微調整を続けていく姿勢。
    意図しない出会いに助けられて生きている認識。

    こうしたものを、改めて大切にしようと話し合いました。
    特に、予測不可能な出会いは、なんて自分の人生をゆたかにしてくれたんだろう、と思います。

    -----------------------------
    予測不可能な出会いは、なんて自分の人生をゆたかにしてくれたんだろう、と思います。

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    Fri, 18 Mar 2022 13:00:00 GMT
    ep10-2「思いがけず利他」(中島岳志さん)

    前回、この本全体を理解するためのキーワードを提示した上で、今回はいよいよ本編に入ります。

    大きく一言で言えば、「受け手が決めるのが利他」です。

    楽しく生きるためにはどうすればいいのか。

    今回の会話の中で、そんな結論に至ることが目的ですが、さてさてどうなることやらです。


    本の中では、噺家の立川談志さんの本を扱っています。
    (何冊も出版されているんですね!知りませんでした!)

    落語とは、人間の業の肯定を前提とする一人芸である。

    そんな言葉も有名だそう。
    ポイントとしては「業の肯定」ですね。

    「忠臣蔵」を例に挙げると、主君の敵を討ちに討ち入りした人たちのストーリーを語るのではなく、怖かったり家族のことを考えたりして逃げてしまった人のことを扱うのが落語。

    そんな考え方に加えて、さらに下記キーワードを踏まえた上で、ある噺を題材に利他の解説が始まります。

    題材となるのは明治時代につくられた人情噺「文七元結(ぶんしちもっとい)」。

    今回のキーワードは、

    • 業(ごう)
    • 無我(むが)
    • 縁起(えんぎ)
    • 悪人正機(あくにんしょうき)
    • crimeとsin

    さてさて、こうしたキーワードを元に、どんな解説が展開されるんでしょうか。
    お楽しみに。

    -----------------------------

    「落語と利他をつなげて考える」。
    他にはない自由でオリジナルな発想ですよね。
    こうしたテーマ設定に惹かれてしまう方は、きっと仲良くなれる気がします。

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    Wed, 09 Mar 2022 12:00:00 GMT
    ep10-1「思いがけず利他」(中島岳志さん)

    以前村上春樹さんの本を読んでからというもの、月間150キロ程走っている粟野さん。
    読書が直接人の習慣を変える力を目の当たりにし、感慨深いホシノです。


    さて、今回は記念すべき10冊目。
    扱う本は、以前も扱った本の共著者でもある中島岳志さんの著書「思いがけず利他」。

    「小説っぽいタイトルだね」と言う話から、この本の出版社についても少し触れています。

    ミシマ社という出版社によるもの。

    https://mishimasha.com/

    「原点回帰の出版社」をテーマに掲げて本づくりをされている出版社です。
    他の本もタイトル、表紙デザインともにそそるものが揃っていますね。
    大変興味深い出版社さんです。

    今回の本の内容を一言で粟野さんがまとめると、

    「人がどう生きるか」を書いた本である、とのこと。

    いい意味で自分に対して明るい諦めを持つこと。


    キーワードは次の3つ。

    • 立川談志落語論
    • 仏教の縁起
    • 受け手が決める利他


    次回から、内容に入っていきますのでお楽しみに。


    ちなみに普段気になっていたことを少し聞いています。
    それは、粟野さんの読書法について。

    どうやら、各章ごとに手書きでノートにまとめ、
    その後ピンといたところだけを抽出する第二弾のまとめをつくる。
    最後にキーワードを抜き出していく、という流れだそうです。

    合計10枚以上の手書きまとめができあがるようです。


    前回扱った平野敬一郎さんの本「私とは何か個人から分人へ」を読んだ星野が、超ざっくりとまとめるパートもおまけ的に入っています。

    興味がある方はそこまで聞いてみてください。


    -----------------------------

    読書経験が積み重なっていくと、次から次へと知識のリンクが生まれてきますね。
    皆さんの頭の中に生まれたリンクも、ぜひお知らせくださいね。

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    Wed, 02 Mar 2022 11:00:00 GMT
    ep9-3「本の読み方 スロー・リーディングの実践」(平野 啓一郎さん)

    「本の読み方 スロー・リーディングの実践」(平野 啓一郎さん)も3回目。
    (今回はちゃんと冒頭で二人とも名乗りました!)


    夏目漱石のこころを題材に、平野さんだったらどう読むのか、というご紹介をしていきます。
    本の後半部分の解説ですね。

    ちなみに、構成としては上中下の三部作。

    上が「先生と私」。中が「両親と私」。下が「先生と遺書」。

    カンタンなあらすじ紹介の上で、時代背景や作者の意図などに思考を飛ばしながら読んでいきます。


    背景としてあるのは、明治から大正に変わる人々の価値観が激動していくとき。

    この作品の中での「先生」という言葉には、何かを学ぶ対象としての敬称ではなく、
    先の時代を生きた人、この作品の場合は明治時代を生きた人、という意味が込められている。
    つまるところ、明治時代の文化や思想を象徴する存在として使われている。

    たとえば、主人公の父親や兄は先生を評して曰く

    「能力があるのに、それにふさわしい仕事についていない無能な奴だ」by 父親

    「エゴイストだ」by 兄

    この辺りも、主人公の父親や兄に、新しい時代の価値観を代表させてしゃべらせているらしい。

    「こころ」という作品には、常識が大きく変わっていく時代を生きる人の悩みや考え方が、本に投影されている。と言っている平野さん。


    作者の意図などを意識しながら読むとはどういうことか、を粟野さんが解説しています。


    ところで。

    明確なメッセージ性や意図が何なのかがつかみにくい作品にも惹かれますよね。
    たとえば粟野さんは「進撃の巨人」がすごいと言います。
    ホシノは「ちひろさん」がすごいと思っています。

    どちらもメッセージ性を明確にして書いている訳ではなく、作者は描かされている、という感覚なのかもしれない。
    その域にまで行けている人の作品にも、大きな魅力を感じます。


    思えば、お金を稼ぐ仕事でもそういう性格のものって多いですよね。
    あらかじめ目的や得られる利益、メリットを表明した上でサービスを提供していく。就職していく。

    それにはそれで意味を感じつつも、たまに抵抗したくなったり守りたくなったりする何かを感じたりもする。

    きっと世の中にはそうした逡巡や違和感を抱えながらはたらいている人たちも多いはずでは。
    この番組がそんな皆さんの癒しになれればと、あらためて思いました。


    曖昧さにも価値を見出していた時代の象徴として、粟野「先生」にはこれからも本の解説を続けていただきたいものです。


    -----------------------------

    ちなみに今回の収録後には、「進撃の巨人」を読まねば、と思いました。
    次々と増えていきますね…。消費に追われてきたかもしれないと思うホシノでした。

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    Sun, 27 Feb 2022 12:00:00 GMT
    ep9-2「本の読み方 スロー・リーディングの実践」(平野 啓一郎さん)

    皆さんは一年に大体何冊の本が新しく生まれているかご存知でしょうか。
    2019年の記録では、年間7万1903冊の新刊が生まれたそうです。
    1日にすると、200冊(※雑誌は含まず)。
    それだけの情報量を追いかけ続ける行為はさすがにナンセンスでしょう。

    だからこそ、スローリーディングが推奨される、というお話です。

    今回は、粟野さんがキーワードを3つ設定して解説を進めてくれています。


    ・アンチ速読

    ・書き手の視点で読む

    ・意図的な誤読を

    それぞれ、詳しい内容は本編をお聞きください。

    個人的に気に入ったフレーズは、

    「明日のための読書ではなく、5年後10年後のための読書をしてみては?」

    というもの。すぐに役に立たない行為って、なんだか憧れますよね。
    昔から自分のそんな志向がお気に入りです。


    さて、今回のホシノによる横道世之介タイムでは、

    ・対話型鑑賞的な、作者とではなく作品とのコミュニケーションのススメ

    ・論の途中からガイドを外して自分で自由に歩いてみることのススメ

    などを話しています。


    今回の収録を通して、元サッカー日本代表の城彰二さんのYoutubeを見たくなりました。


    次回は、いくつかの例文をもとにしたスローリーディングの実践部分を解説してもらう予定です。

    そこでで扱う夏目漱石が書いた「こころ」は、これまで700万部刷られ、日本で一番読まれた文庫本だそうですよ。


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    Sun, 20 Feb 2022 13:00:00 GMT
    ep9-1「本の読み方 スロー・リーディングの実践」(平野 啓一郎さん)

    9冊目になる今回扱う本は「本の読み方 スロー・リーディングの実践」(平野 啓一郎さん)。

    いつもとは少し趣向を変えて、今回の本の作者は芥川賞作家の平野敬一郎さん。
    毎回扱う本を決めるのに苦労している粟野さんは、BRUTASの「本特集」に手を出しました。

    そこで紹介される本の中には、結局ピンとくるものがなかったのですが、たまたま平野敬一郎さんマイルスデイビスの自叙伝を紹介していたのを見ました。

    「そう言えば平野敬一郎さんの本って、読んだことないな」

    と色々と調べていったところ…、

    75年生まれ、京都大学在学中に「日蝕」で芥川賞受賞。
    ※奇しくも今回の収録日は芥川賞の発表日!
    「マチネの終わりに」「とある男」は映画化。

    興味をもって今回選んだのが表題の本でした。


    ----
    さて、内容についてですが、一言でいうとこんな感じです。

    速読は明日のための読書であり、
    スローリーディングは5年後10年後のための読書である。

    速読で身につくのはただの脂肪。大食い競争と一緒。
    2022年を生きる我々は情報にまみれているが、
    夏目漱石や森鴎外、カントやヘーゲルと比べると、
    どっちが知的な生活を送っているのでしょうか。


    こんな話を聞いたところ、話したくなってしまった星野がまたも横道展開をしてしまいます。

    「人の知識を混ぜ混ぜしたカクテルなんか作るんじゃない。知識は自分で醸造させてこそ!ですよね」


    平野さんも、本書の中で「読書は奥へ奥へと進めることが大事だ」と書かれているそう。


    他にも、

    書かれた時代は?

    著者は誰から影響を受けたんだろう?

    思想の変遷は?

    この作家の特徴的な助詞や助動詞の使い方は?

    …などを考えながら読むことが、スローリーディングの手法だとか。


    ※ちなみに、この収録後に星野は「私とは何か――「個人」から「分人」へ」を読み、いたく共感しました。

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    Mon, 14 Feb 2022 12:00:00 GMT
    ep08-3「はじめての哲学的思考」(苫野一徳さん)

    苫野一徳さんの書かれた「はじめての哲学的思考」をご紹介した前回のこぼれ話的な第3回目。

    まずは本書の中で触れられていたtips的なお話が2つ。

    「一般化の罠に気を付けましょう」

    一個人の経験則が、他の人にも当てはまるとは限らない。
    他の人の経験則も踏まえて話し合って正解らしきものを見つけていこう。


    「偽問題に気を付けましょう」

    たとえば教育分野でなされるこんな質問には要注意。

    「教育はこどものためのものか、国家の存続のためのものか」

    2項対立では共通理解はつくられない。

    「どちらにも意味がある。それを一緒に考えませんか?」という質問で進めていこう。


    そんなtipsに触れた後、前回おとなしかったホシノがようやく話し始めます。

    「場のルールと、個人同士の意志の問題」

    日本では、個人の意思を確認し合う前に、場のルールを優先してしまうことが多くないですか?
    たとえば校則や、電車に乗る際の公共マナーなど。
    それって本当は誰のためのモノでしたっけ?
    というものに囲まれて育ってきていると、自分と相手の欲望を出し合うこと、その上ですり合わせて共有了解をつくる経験が不足していくかも。

    そんな話を受けて、二人で次のような結論に至りました。

    社会が複雑になってきているから、より哲学的思考が必要になってくる。
    これを身につけている人が多くなってくれば、多様性社会を楽しみながらつくっていくことができるかもしれない。


    自分たち自身、欲望を知ることすらままならない現状ですが、みんなで一歩ずつ慣れていけるといいですね。
    そのためにも、日々自分以外の視点を、読書の時間を通して取り入れていきましょう。

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    Sat, 05 Feb 2022 22:00:00 GMT
    ep08-2「はじめての哲学的思考」(苫野一徳さん)

    引き続き苫野一徳さんの「はじめての哲学的思考」についての内容をご紹介。

    実際には様々な事例を出しながら説明がされている本書ですが、この場ではとてもシンプルに説明していきます。

    はじめに「欲望」ありき。 それぞれが自覚、認識できる最終ラインにあるこの感覚。 この先になると、自分で認識することは難しく、想像や思考をすることになる。 その後、人それぞれ、「すべての人の自由を認め」た上で、話し合い、その場毎の「共通了解」をつくっていく。

    このプロセスが、哲学的な思考のプロセスである、と。

    人の命を奪うことがなぜダメなのか?

    そんなテーマにも、上記プロセスから答えが導ける。

    また、苫野さんが学生たちと取り組んだ「恋とは何か?」というワークショップの答えについても少し触れています。

    我々2名のコイバナが始まる予感もしましたが、どうやら次回以降のことになりそうです。

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    Tue, 01 Feb 2022 00:42:41 GMT
    ep08-1「はじめての哲学的思考」(苫野一徳さん)

    珍しく、星野のリクエストに応えて読んでくれました。
    過去何度かおススメしたときには「何となくピンとこない」と選ばれることはありませんでした。
    なので非常にハッピーなホシノが聞ける回です。


    冒頭の余談(結構長め)の後、著者である苫野さんの師匠竹田青嗣の著書「現代思想の冒険」について少し触れる。

    話は飛んで、軽井沢の風越学園理事長である本庄真之介さんのお話に。
    アワノはなんと20年以上前にセミナーを聞きに行ったことがあるそうな。
    さらに、今まで引きずるような印象深い想い出があったそうな…。


    さて、そんなこんなを経て本編である本の解説に入っていきます。

    「欲望」

    「自由」

    「共通了解」

    これがこの本のキーワード三つ。
    詳しくは次回説明します。

    良い思考はシンプルだ。と苫野さんは何回も繰り返している。
    哲学はむずかしいものをわかりやすくするための思考法です、と。
    ちなみに苫野さんの哲学の定義は「多種多様な人がいる中で、共通の了解を導くための、本質をとらえる考え方のコツ」。
    哲学はあくまでも方法論。絶対的な正しいものを作り出すものではない。


    …と、ここで星野がいつものごとく口をはさむ。
    その手法は一人だけが身につけても意味がないのでは?
    集団が哲学的思考手法を身につけている理想像として、古代ローマの時代の話を挙げ、みんなが同じ認識をもって議論ができれば、とても建設的な場になるのになぁ、と嘆く星野。

    社会技術を身につけられる世の中にするには、どうすればいいのでしょうか?

    少し脱線の多い回ですが、ぜひお聞きください。
    苫野さん、星野もおススメですよー!

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    Fri, 21 Jan 2022 10:00:00 GMT
    ep07-3「走ることについて語るときに僕の語ること」(村上春樹さん)

    「走ることについて語るときに僕の語ること」(村上春樹さん)も今回でラストです。

    「ハルキムラカミに負けられない。ただのおっさんがあれだけ走っているのに、元陸上選手だった自分が走らないわけにはいかない」と、月間200キロ走り始めた粟野。

    自己啓発本でもビジネス書でもなく、粟野がエッセイを読んでそうした変化を生じさせている要因はなんなのか。気になった星野は仮説を二つ立てる。
    読者の心の扉を開ける村上春樹さんの秘技と、本の向こうの著者を同じ次元で捉えられる粟野の感受性と。

    「走ることは、空白を得る行為だ」という一節に、元ランナーだった粟野が共感。
    そこに乗っかって星野が胡散臭い論をぶち始めたり、村上春樹愛を垂れ流しすぎて偉そうに長々と話し続けています。
    星野のことを嫌いになる前に、どうぞスキップしてくださいませ。

    本年度も、お聞きいただきありがとうございました。
    来年もいい読書をともに積み重ねていきましょう。

    それでは、よいお年をお迎えください。

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    Fri, 31 Dec 2021 12:00:00 GMT
    ep07-2「走ることについて語るときに僕の語ること」(村上春樹さん)

    「走ることについて語るときに僕の語ること」(村上春樹さん)を引き続き扱います。

    今回粟野が設定したキーワードはこの3つ。

    「フィジカル・職業小説家・ネイチャー」

    どんな話になるのか、少しだけチラ見せすると…。

    • 翻訳も、走ることも、小説も、地道に繰り返すことで習慣にしていった。
    • 僕らにとって大切なのは、目に見えないしかし心で感じられる何かなのだ
    • 村上春樹さんへの先入観のイメージが崩されたからか、非常に自分の人生の参考にしたいと思えた。
    • 自負と言うか、プロフェッショナルとしての矜持と言うかそんなものを感じる。
    • 40年走り続けて来れたのは、走ることが性に合っていたからだ
    • あなたはあなたでしかないから、そのままでやり切るしかなくね?
    • 水脈がなくなったら新しい穴を掘っていくのが当たり前。

    編集しながら、星野は感心しておりました。
    この本を読む前は「チャラいおっさん」と思っていた人の本に、粟野さんがこれほどまでに心を動かされるとは…。
    書くものは、その人自身の生き方を移す鏡なのかもしれないな、などと感じておりました。

    本を読むというよりも人を読む、今回はそんな読書の時間をお過ごしください。

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    Fri, 24 Dec 2021 12:00:00 GMT
    ep07-1「走ることについて語るときに僕の語ること」(村上春樹さん)

    いよいよニッチな作家ではなく、メジャーな作家の作品の登場です。

    「走ることについて語るときに僕の語ること」(村上春樹さん)を扱います。
    村上春樹さん大好きなホシノは狂喜乱舞。
    ただ、今回扱うのは小説ではなくエッセイ。
    しかも元陸上競技選手だったアワノが、アスリート視点から扱うという異色レビュー。

    内容に入る前に軽い感想から始まりますが、
    「語り口がサバけたおっさんなので気に入った」という。
    本編がどうなるのか、とても楽しみな第一回です。

    いつもに増して本題前の雑談も盛り上がっておりますが、
    今回も読書の時間をご一緒しましょう。

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    Thu, 16 Dec 2021 23:00:00 GMT
    ep06-3「『利他』とは何か」(伊藤 亜紗、中島 岳志、若松 英輔、國分 功一郎、磯崎 憲一郎 ※敬称略)

    「『利他』とは何か」を扱う3回目。
    今回はアワノ、ホシノが思ったことを中心にお話します。
    少しとがり目のお話が多い回となりました。


    「役割の枠を超えた先の可能性について」by ホシノ

    ついつい役割を求めてしまう性格の星野は、役割に甘んじる考え方を壊したい。
    役割対役割、ではなく、人対人、であることを忘れない様に。
    そこを超えた自分たちの可能性に自信を持てるようになれ。
    という、より世界を面白くするための戒めについて。


    「品川駅に掲出された企業広告について」 by アワノ

    合理的利他主義、効果的利他主義の権化と感じてしまっていたサービス。
    そのサービスが価値としているものが社会に有用であることは認めつつ、
    とは言えサービス設計自体に、伊藤亜紗さんの言う
    「合理的利他主義」「効率的利他主義」を感じてしまう。


    「『利他』とは何か」については、今回で一旦完結です。
    また次回も、読書の時間をご一緒しましょう。


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    Thu, 09 Dec 2021 23:00:00 GMT
    ep06-2「『利他』とは何か」(伊藤 亜紗、中島 岳志、若松 英輔、國分 功一郎、磯崎 憲一郎 ※敬称略)

    前回に引き続き「『利他』とは何か」の中から、
    伊東亜紗さんのお話をご紹介していきます。

    利他の本当の敵は、他者をコントロールしようとすることじゃないか。

    ブルシットジョブとは、意味がないどころか有害な仕事。
    でもあたかも意味があるかの様に振舞わなければいけない仕事のこと。

    こうした仕事が増えてきている原因は、数値化し管理したいという気持ち。
    弊害として、数値の向こう側にいる人そのもののことを見なくなってしまう傾向がある。

    伊東亜紗さんの著作「記憶するからだ」の中から、全盲の女性のエピソード。
    「毎日はとバスツアーに参加している気分だ」

    信頼と安心の違いについて。
    安心=のか行動が自分のコントロール下にあること。
    信頼=不確実性にひらかれている。
    たとえ相手が失敗したとしてもその結果を受け止める覚悟があること。

    伊東亜紗さんは、利他に関して大原則は信頼であり、最終的に「利他とはケアである」と言う。


    ついつい自己流に捉えてしまい理解の遅いホシノのせいで、最後の方は少し混乱しており恐縮です…。

    今回も、読書の時間をご一緒しましょう。


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    Thu, 02 Dec 2021 23:00:00 GMT
    ep06-1「『利他』とは何か」(伊藤 亜紗、中島 岳志、若松 英輔、國分 功一郎、磯崎 憲一郎 ※敬称略)

    「『利他』とは何か」
    (伊藤 亜紗、中島 岳志、若松 英輔、國分 功一郎、磯崎 憲一郎 ※敬称略)

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    いよいよ6冊目に入りました。
    本を選んで読んで理解して、説明する。
    時間とエネルギーのいる作業です。

    とはいえ、今回も紹介したい本が出てきました。
    東京工業大学「未来の人類研究センター」の共同研究の一環で出版された様です。

    今回はサントリー学芸賞受賞者、美学者の伊藤亜紗さんの論を取り上げていきます。


    利他にもいろんな種類があり、例が二つ挙げられる。

    ・合理的利他主義:利他とは、合理的な利己主義だ(ジャックアタリ)

    ・効果的利他主義:一番たくさんのいいことをしなきゃいけない(ピーター・シンガー)

    だが、こうした考え方は伊藤亜紗さんの考える利他ではない、と言う。

    では、伊藤アサさんが考える利他とは何ぞや。

    非常に気になるところで切られてしまい、次回が待ち遠しい状況です。


    今回も、ご一緒に読書の時間を過ごしましょう。


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    Thu, 25 Nov 2021 23:00:00 GMT
    ep05-3「『あいだ』の思想:セパレーションからリレーションへ」(高橋源一郎さん×辻信一さん)

    高橋源一郎さん・辻信一さんの書かれた「『あいだ』の思想:セパレーションからリレーションへ」も今回でラスト。

    アワノもホシノも、それぞれの人生を振り返りながら反省しまくります。
    人生100年時代を生き抜くために、それぞれの時代で起きてくる価値観の変化に敏感でい続けること。
    なんとなく今後の時代に向けての姿勢を語り合う、少々緩めの回です。


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    Thu, 18 Nov 2021 23:00:00 GMT
    ep05-2「『あいだ』の思想:セパレーションからリレーションへ」(高橋源一郎さん×辻信一さん)

    今回も高橋源一郎さん・辻信一さんの書かれた「『あいだ』の思想:セパレーションからリレーションへ」を読み解いていきます。

    前回の「アイデンティティとは何か」に続き「自由とは何か」について、話題は展開していきます。
    「時間」「場所」「関係」に存在する「あいだ」を意識することによって、真の自由に気づける。

    そこから話は展開して、ドイツの成人式の話、NHKの「ファミリーヒストリー」、会社の同僚や地域のご近所さん等との関係性の話へ。

    今回も余談たっぷりでお送りします。
    読書の時間、どうぞご一緒に。


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    Thu, 11 Nov 2021 23:00:00 GMT
    ep05-1「『あいだ』の思想:セパレーションからリレーションへ」(高橋源一郎さん×辻信一さん)

    今回扱う本は、高橋源一郎さんの書かれた「『あいだ』の思想:セパレーションからリレーションへ」。

    新型コロナが私たちに意識させた人との距離、そして境界線。
    他者とのあいだ、国と国のあいだ、生と死のあいだ…広がる連想と対話を通じて、危機の時代を生きぬくための立地点をさぐる。
    「弱さ」「雑」と重ねた対話集の完結編。

    様々な分野における「間」を語る本ですが、
    今回は特に、「アイデンティティとは何か」「自由は何か」についてをお話ししていきます。

    アワノとホシノが、就活に対する恨みをぶつけるあたり、感情のほとばしりを感じられるかと思います。

    本日も、読書の時間をご一緒しましょう。


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    Thu, 04 Nov 2021 23:00:00 GMT
    Ep04-3「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」 (小熊英二さん)

    小熊英二さん「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」も今回で最終回。
    これまでの解説を聞きながら、話したくて仕方なくなってしまった星野が
    あれこれと聞きかじった知識をぶちまけています。

    様々な制度やルールが私たちの身近に存在していますが、
    すべては70年前から企業・行政・雇用者たちのせめぎ合いの末の合意で成り立っています。

    今後も、関係者同士の意志に沿って時代に沿った形に変化をつづけていくのでしょう。

    長編だった今回も一区切り。次回はまた新しい本に着手します。
    本日も、読書の時間をご一緒しましょう。



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    Thu, 28 Oct 2021 23:00:00 GMT
    Ep04-2「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」 (小熊英二さん)

    引き続き、「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」について解説しています。

    特に今回は、

    「現代の日本でジョブ型雇用が広がらない理由とは?」

    「明治期の軍隊の制度が今の人事や採用の文化につながっている?」

    「新卒一括採用が生まれた理由は、帝国大学卒業者が全国に50人弱しかいなかったから?」

    …と、まさかと思うようなお話が多数。


    明治大正昭和平成、とずっと同じ仕組みが存在し続けている日本。
    官公庁と大手企業の便宜のために生まれた仕組みとは。


    いよいよ読書の本番シーズンの到来です。

    本日も、読書の時間をご一緒しましょう。


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    Thu, 21 Oct 2021 23:00:00 GMT
    Ep04-1「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」 (小熊英二さん)

    今回は、小熊英二さんの「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」について、取り上げます。

    はたらく私たちの身近に存在している様々なルールや仕組みが、どんな経緯で成り立っているのか。

    歴史を紐解き、海外と照らし合わせて、その正体を読み解いていきます。


    たとえば、

    「終身雇用制度や年功序列制度は、どのように成立していったのか?」

    「国、企業、そして労働者たちはどのような話し合いをしてきたのか?」


    アワノトモキ視点で、ポイントを解説していきます。


    歴史の流れを知ることは、希望につながる。


    読書の時間をぜひご一緒に過ごしましょう。


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    Fri, 15 Oct 2021 03:09:36 GMT
    ep03-4/「暇と退屈の倫理学」(國分 功一郎さん)

    國分 功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」について、余談として最近アワノが起こした変化について話しました。

    長年積み重ねてきた判断のクセは中々変えづらいものですが、少しずつでも理想に近づけていけるように。

    歳を重ねると、話したかった話もすぐに忘れてしまうものですが、そんなことにもめげずにこの「読書の時間」、続けていきたいと思います。


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    Sat, 09 Oct 2021 15:00:00 GMT
    ep03-3/「暇と退屈の倫理学」(國分 功一郎さん)

    國分 功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」の紹介を経て、自分たちとの接点について話をしています。


    現代に生きるビジネスパーソンは(ひょっとするとそれ以外の方々も)、ついつい予定を詰め詰めにしてしまうことが多いですよね。

    実際にアワノトモキも、自分で仕事と時間のコントロール権を求めてフリーランスになったものの、実際になってみると他のことに追われてしまう時間が増えてしまいました。

    後半では、クリエイティビティと環境変化の関係性についてなど、相変わらずよもやま話に花が咲いた回です。


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    Sun, 03 Oct 2021 15:00:00 GMT
    ep03-2/「暇と退屈の倫理学」(國分 功一郎さん)

    引き続き、國分 功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」の紹介(後半編)をしていきます。

    第5章哲学パート。
    ハイデッガーさんが語る「退屈と気晴らしが絶妙に混ざり合う状態こそ、理想の状態ではないか?」というところから、話を始めています。

    消費と浪費、環世界…。様々な考え方をめぐりながら、現代に生きる人々が自分の時間を取り戻すヒントを伝えていきます。


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    Mon, 27 Sep 2021 13:59:03 GMT
    ep03-1/「暇と退屈の倫理学」(國分 功一郎さん)

    今回ご紹介するのは、國分 功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」。

    現代に生きる私たちに課せられた「With暇・退屈」という宿命。

    ここを原理論・系譜学・経済史・疎外論・哲学・人間学・倫理学と、7分野からの視点で理解していきます。

    背景でセミが鳴いている暑い日の収録でしたが、ついつい話もヒートアップしてしまいました。

    そのため、普段は1エピソードで終える解説パートを2エピソードに分けてお送りしています。


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    Tue, 14 Sep 2021 14:45:25 GMT
    ep02-3/「未来をつくる言葉」(ドミニク・チェンさん)

    今回で「未来をつくる言葉」も3回目。

    ちょっとしたこぼれ話をお話しています。

    この本を読みながら、ふと思い出した自分にとっての共存感覚の対象。

    本との対話は、自分を見つめなおす機会になることが多いですよね。


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    Sun, 25 Jul 2021 02:00:24 GMT
    ep02-2/「未来をつくる言葉」(ドミニク・チェンさん)

    引き続き、ドミニク・チェンさんの「未来をつくる言葉」について。

    企業のビジョン研修で体験した、企業と従業員の分かり合えなさについて話しました。

    2人ともついつい想いが漏れ出ていますが、その辺りも当時の心境をくみ取りながらお聞きいただければ。


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    Sun, 25 Jul 2021 02:00:13 GMT
    ep02-1/「未来をつくる言葉」(ドミニク・チェンさん)

    今回ご紹介するのは、ドミニク・チェンさんの「未来をつくる言葉: わかりあえなさをつなぐために」。

    分かり合えない他者同士の間に、「対話」ではなく「協話」を用い、「共存感覚」を生み出す大切さについて、お話しました。

    話の中に出てくる「Type trace」はコチラから。


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    Sun, 25 Jul 2021 01:59:53 GMT
    ep01-3/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)

    ep01も今回でラスト。そもそもなぜこの本に興味を持ったのか。

    採用支援の仕事の中で感じていた矛盾と弱い文脈の関係性について、「不便益」を例に出してお話しました。


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    Tue, 06 Jul 2021 05:59:37 GMT
    ep01-2/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)

    引き続き、Takram渡邉康太郎さんの「コンテクストデザイン」について。

    はたらく人や組織が、実際にこの考え方をどう活かせるのか、「既知の未知化」や「ストーリーとナラティブ」の違い等について話しています。


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    Tue, 06 Jul 2021 05:59:28 GMT
    ep01-1/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)

    今回ご紹介するのはTakram渡邉康太郎さんの「コンテクストデザイン」。
    具体例を交え、つよいコンテクスト、よわいコンテクストについて説明を加えながら、よりゆたかなユーザ体験を提供するためのデザインを語ります。


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    Tue, 29 Jun 2021 08:53:24 GMT
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