原爆投下からの復興途中にあるヒロシマで、多感な幼少期を過ごしたアメリカ人がいます。
国際政治ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんです。
モーリーさんはサミットの広島開催をどう受け止めているのでしょうか。
モーリー・ロバートソンさん、６０歳。
今月、およそ３年ぶりに広島市を訪れました。
【国際政治ジャーナリスト モーリー・ロバートソンさん】
「今、第２次世界大戦の記憶も全世界でその時代を覚えている人たちの人口が減少しております。そうすると記憶が風化した中で核兵器の使用への心理ハードルが下がっていくんですね。無関心が広がることが一番怖い」
国際政治ジャーナリスト、ＤＪ、ミュージシャンと多彩な顔を持つモーリーさん。
アメリカ人の父と日本人の母の元、１９６３年にアメリカで生まれ、５歳のときに父親の転勤で広島市にやってきました。
Ｑ：原爆投下からそんなに年数としては経ってない？
「年数経ってないのでなんかあると思うじゃないですか。非常にアメリカの子供に対しては温かかった。日本語をちゃんと勉強しようとか漢字の読み書きができるようになりたいとかそういう強い願いをもったのもちゃんと広島に着地してたからではないかと思う」
モーリーさんの父、トーマスさんは医師として、ＡＢＣＣ、現在の放射線影響研究所で被爆者の調査にあたっていました。
モーリーさんが「原爆」を認識したのは７歳の頃だったと言います。
「研究所の中に広島の地図に爆心地って書かれてですね、確か英語でエピセンターっていうんですけど、そこに何か大きな丸の画びょうみたいなやつがポンっとさしてあってそこから円が透明プラスチックで地図の上にあって、まあ半径だと思うんですけれどもそれを父と待ち合わせをしたときにこの丸は何？って聞いて説明されたというか・・・」
当時は仕事のことはほとんど語らなかったという父・トーマスさん。
「私の父は被爆者の間で白血病が急増したというデータを客観性をもって本土のアメリカが納得するように立証したわけです。でもいわゆる不都合な、アメリカでアメリカ人被爆したら同じことになるっていう恐怖心しか起きないような研究結果を非常に悲観的なデータを私情を交えずに厳密にそしておそらく政治の力で封じられないように頑張ったんだと思います。本当にしんどかったと思いますよ」
父を通して、そして、広島という地で知った、原爆の恐ろしさ。
しかし、アメリカの大学に進学すると、その認識の違いに愕然とします。
「アメリカで過ごした大学の１０年間、まだソ連とにらみ合っている最中だったのでアメリカの核は正義の核という考え方が大学生も含めて浸透していた」そのときから３０年。
【オバマ大統領（当時）】
「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてではなく道義的な目覚めの始まりとして知られるだろう」
２０１６年に当時のオバマ大統領が広島で発したメッセージには感動したと言います。
「私はアメリカの一般国民が原爆に向き合わなかった年月を知っているので、核兵器は使用してはならなかったという後悔の念ですね、そしてこれからも使用してはならないという強いメッセージをアメリカの大統領が広島で訴えたということは本当に前進を感じました」
今回、改めて原爆資料館の展示を見て、モーリーさんは現在のウクライナの惨状が重なったと言います。
「シリアとウクライナですよ。むき出しになった鉄骨とか。これは例えばバフムトとかブチャ、ウクライナの街じゃないかみたいな。もしプーチンが核を使ったらこうなるぞ。そういう意味ではすごく生々しい」
ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の核開発など核を取り巻く世界が緊迫する中、Ｇ７サミットが被爆地ヒロシマで開催されることに、市民レベルでの関心の高まりを期待しています。
「首脳たちがもちろん一人一人足を止めて４５分以上は最低でも見学してくれたり被爆者と話し合ったりやってくれると嬉しいです。ただね、思うんだけど、駆け抜けてもいいわ。その首脳が行ったということが報じられればいい。現地のメディアがやっぱりここの取材をするんですよ。それをテレビであるいは報道で見聞きする。現地の世界の言語で。こういうことが起きたという歴史を知ってもらうという話のきっかけになるだけでも価値はあると思いますね」
サミットを機に、ますます重みを増す、被爆地ヒロシマ。
「原爆の歴史や平和の大切さやそこをもっと深堀しようという意思が世界の人たちに発信される、広がるということが大事です。要は人類の成長を促す町、ヒロシマという存在がこれからも非常に大切になっていくと思います」
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国際政治ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんです。
モーリーさんはサミットの広島開催をどう受け止めているのでしょうか。
モーリー・ロバートソンさん、６０歳。
今月、およそ３年ぶりに広島市を訪れました。
【国際政治ジャーナリスト モーリー・ロバートソンさん】
「今、第２次世界大戦の記憶も全世界でその時代を覚えている人たちの人口が減少しております。そうすると記憶が風化した中で核兵器の使用への心理ハードルが下がっていくんですね。無関心が広がることが一番怖い」
国際政治ジャーナリスト、ＤＪ、ミュージシャンと多彩な顔を持つモーリーさん。
アメリカ人の父と日本人の母の元、１９６３年にアメリカで生まれ、５歳のときに父親の転勤で広島市にやってきました。
Ｑ：原爆投下からそんなに年数としては経ってない？
「年数経ってないのでなんかあると思うじゃないですか。非常にアメリカの子供に対しては温かかった。日本語をちゃんと勉強しようとか漢字の読み書きができるようになりたいとかそういう強い願いをもったのもちゃんと広島に着地してたからではないかと思う」
モーリーさんの父、トーマスさんは医師として、ＡＢＣＣ、現在の放射線影響研究所で被爆者の調査にあたっていました。
モーリーさんが「原爆」を認識したのは７歳の頃だったと言います。
「研究所の中に広島の地図に爆心地って書かれてですね、確か英語でエピセンターっていうんですけど、そこに何か大きな丸の画びょうみたいなやつがポンっとさしてあってそこから円が透明プラスチックで地図の上にあって、まあ半径だと思うんですけれどもそれを父と待ち合わせをしたときにこの丸は何？って聞いて説明されたというか・・・」
当時は仕事のことはほとんど語らなかったという父・トーマスさん。
「私の父は被爆者の間で白血病が急増したというデータを客観性をもって本土のアメリカが納得するように立証したわけです。でもいわゆる不都合な、アメリカでアメリカ人被爆したら同じことになるっていう恐怖心しか起きないような研究結果を非常に悲観的なデータを私情を交えずに厳密にそしておそらく政治の力で封じられないように頑張ったんだと思います。本当にしんどかったと思いますよ」
父を通して、そして、広島という地で知った、原爆の恐ろしさ。
しかし、アメリカの大学に進学すると、その認識の違いに愕然とします。
「アメリカで過ごした大学の１０年間、まだソ連とにらみ合っている最中だったのでアメリカの核は正義の核という考え方が大学生も含めて浸透していた」そのときから３０年。
【オバマ大統領（当時）】
「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてではなく道義的な目覚めの始まりとして知られるだろう」
２０１６年に当時のオバマ大統領が広島で発したメッセージには感動したと言います。
「私はアメリカの一般国民が原爆に向き合わなかった年月を知っているので、核兵器は使用してはならなかったという後悔の念ですね、そしてこれからも使用してはならないという強いメッセージをアメリカの大統領が広島で訴えたということは本当に前進を感じました」
今回、改めて原爆資料館の展示を見て、モーリーさんは現在のウクライナの惨状が重なったと言います。
「シリアとウクライナですよ。むき出しになった鉄骨とか。これは例えばバフムトとかブチャ、ウクライナの街じゃないかみたいな。もしプーチンが核を使ったらこうなるぞ。そういう意味ではすごく生々しい」
ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の核開発など核を取り巻く世界が緊迫する中、Ｇ７サミットが被爆地ヒロシマで開催されることに、市民レベルでの関心の高まりを期待しています。
「首脳たちがもちろん一人一人足を止めて４５分以上は最低でも見学してくれたり被爆者と話し合ったりやってくれると嬉しいです。ただね、思うんだけど、駆け抜けてもいいわ。その首脳が行ったということが報じられればいい。現地のメディアがやっぱりここの取材をするんですよ。それをテレビであるいは報道で見聞きする。現地の世界の言語で。こういうことが起きたという歴史を知ってもらうという話のきっかけになるだけでも価値はあると思いますね」
サミットを機に、ますます重みを増す、被爆地ヒロシマ。
「原爆の歴史や平和の大切さやそこをもっと深堀しようという意思が世界の人たちに発信される、広がるということが大事です。要は人類の成長を促す町、ヒロシマという存在がこれからも非常に大切になっていくと思います」
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