2024年の代表作か!? カラオケ行こ!はエンタメ映画として一級品の面白さ。予告をいい意味で裏切ってきた秀作!

4 個月前
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(基於 PinQueue 指標)
カラオケ行こ

監督/山下 敦弘(やました のぶひろ)
そうか 山下敦弘監督だったのか!!といううことで
この作品が気に入った人は、リンダリンダリンダ(05)という映画を観てほしい
あと劇場版の「天然コケッコー(07)」では夏帆をむちゃくちゃ可愛く主演に迎えた作品を作った人

今年は
水深ゼロメートルから(5月予定)
告白 コンフェッション(24年予定)
など話題作、期待作が待っている

脚本は野木 亜紀子ということで
「罪の声(20)」で知られるが、TVドラマだとガッキーがむちゃくちゃ可愛かった漫画のドラマ化「掟上今日子の備忘録(15)」
や「逃げるは恥だが役に立つ(16)」で知られる
個人的には「空飛ぶ広報室(13)」
がとても良かった


出演
綾野剛
齋藤潤(さいとう じゅん)
芳根京子
橋本じゅん
加藤雅也(友情出演)
北村一輝


和山 やま(わやま やま)原作漫画を映画化
だが、この漫画そのものが実はコミケで販売していた同人誌がもともとだったというから面白い

story公式サイトより
合唱部部長の岡聡実(おか さとみ/齋藤潤(さいとう じゅん))はヤクザの成田狂児(なりたきょうじ/綾野剛)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。
狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が・・・。聡実の運命や如何に?そして狂児は最下位を免れることができるのか?


前情報は予告のみで鑑賞したが、
まずはなんといっても、いい意味で裏切られた面白かった作品
これは予告編の編集の上手さだろう

ヤクザの綾野剛が歌をうまくなるために中学生の合唱部の生徒に指導をお願いするという奇想天外な展開を思わせる予告は情報量がそこそこあるのに、無意識のうちにコメディ路線前回である作品を思い起こさせる
が、
実際に蓋を開けてみると、中学生の岡聡実の成長物語になっている

しかもそれが、絶妙なさじ加減で
中学生の世界と社会のギャップ(大人は汚いなど)
を絡めかたがうまいアクセントになっていて、劇中を飽きることなく最後まで魅入ってしまえるものになっている。


893が歌いたい歌がX JAPANの「紅」というのもとてもポイントで、あのハードすぎる歌をうまくなりたい…という時点で、コメディ路線に華を添えているとも言える
逆に言うと、Toshiの歌唱力の凄さを改めて感じるともいえるが


綾野剛は近年「楽園(19)」の犯罪の容疑者役や「亜人(17)」のヴィランポジション
そして
「ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-(20)」のやさぐれた刑事
「ヤクザと家族 The Family(21)」や「最後まで行く(23)」のヤクザ役が印象的
遡れば「新宿スワン(15-17)」も同じ流れだが、そういったポジションの役が印象的なこともあり、ある意味セルフパロディあり、ユニバース的な役どころなので、観る側としては楽しめると思う

成田(綾野剛)も自身の社会的ポジションを理解しているが、なりふりかまっていられない部分の演技はうまいなど演技力の高さは折り紙付きなので、人のいい雰囲気といざというときのオラオラの切り替えなどに関しては一級品
まさに今後のこの手の役は綾野剛に期待したい監督も多いのではないだろうか?



彼の上手さは岡聡実役の齋藤潤(さいとう じゅん)に影響を与えていると思われるのは確実で、劇中での名コンビっぷりは板についている


そして齋藤潤(さいとう じゅん)の、荒削りだからこそ出てきた、中学生が893に対してオドオドしつつも突っぱりきれない弱さや語尾の強い言葉を出しながらも、どこまでもどこか可愛らしい雰囲気がでてくるのは、この映画のポイントだろう

オドオドしつつも毒舌を吐く…というのは今の時代の人気キャラ設定ではあるが、うまくマッチしていたのは間違いない
また撮影は昨年に行われたようだが、舞台挨拶のニュース記事を観る限りすでに成長を感じる部分もあるので、この映画撮影のタイミングはまさに成長期をリアルタイムで演じたとも言える良さが溢れている

それを見事に感じるのが、クライマックスで彼が歌う「紅」
ボーイソプラノの彼が、紅を歌うことで、成長期の階段を登りきる…という演出に見事に答えている。


芳根京子は映画のオリジナルキャラのようだが、キャラクターのポジションとしては映画全体の「陽」の部分を一手に担っているとも言える。その関西弁キャラクターは下手じゃないけどネイティブでもないけど、やっぱり下手すぎないけど、うますぎないという絶妙な上手さ

舎弟の面々には湘南乃風のRED RICEがいたり、やべきょうすけや吉永秀平(よしなが しゅうへい)、橋本じゅんといった、そっち系の名脇役が勢ぞろい
しかも組長は北村一輝という豪華さも面白い


あと副部長の中川役の八木 美樹(やぎ みき)がなにげに良かった
なにげに…というか、面倒見の良い、ちょっとおませ感のある女の子をうまく演じていたし、彼女も芳根京子演じた先生とは違った、等身大の高校生らしい明るい女の子キャラのお陰で、映画の中が明るくなっていたのは間違いない
実際にあんな生徒がいたら、結構人気が高いだろうねぇ

そして劇中で歌われるカラオケが有名曲ばかりで、つい口ずさめる曲ばかりの選曲も素晴らしい
(原作がそうだったのかもしれないが)

One Night Carnival/氣志團
残酷な天使のテーゼ/高橋洋子
行くぜ!怪盗少女/ももいろクローバーZ
ルビーの指環/寺尾聰
少年時代/井上陽水
など、映画を観たあとにカラオケに行きたくなるような選曲は絶妙と言える


また映画を観る部で上映している映画も絶妙で
「カサブランカ」「自転車泥棒」「白熱」という時代を超えて色褪せない名作ばかり

映画を見に来て懐かしい映画を観て、またその映画を観たくなる…というループに陥りそうだ


劇中で何度も流れるのが、X JAPANの「紅」だが、
世代的にはドはまりした曲ではあるので、とても馴染みがあり嬉しい限り

ぶっちゃけていうと映画としては小粒ではあるが、
面白さ、
映画館でみんなで観ながら、くすくす笑うというエンターテインメントとしての映画でいうと、
傑作ならぬ秀作
でも嫌な気にならない映画でもある

あと、
「愛」を表現するのに、鮭の皮を使った演出は見事w
あの一連の動作は長く連れ添った夫婦ならではの阿吽の流れ
まさに夫婦愛あればこその細かすぎる演出ではあるが、1回きりなのがもったいない


ここからはネタバレ的な部分だが、
エンドロールのあとのラストのラスト1カット

あのカットは色々な解釈ができるものになっていて、深読みすれば深読みするほど怖い部分もある

短絡的に考えると、数年ぶり(3年~4年)連絡を取ることになる 懐かしき再開…なのかもしれない
しかし
狂児(綾野剛)の ターニングポイントと同じ流れになる可能性も秘めているシーンでもある
そう考えると サラッと見ただけだと
良き再開でもあるし、うがってみると、ここから、狂児(綾野剛)との再開によって彼の人生が変化するきっかけになるかもしれない…とも見えるのである

そのあたりを含めて、ぜひ 実際に劇場で見てもらいたい
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