イタリア産の生ハムが買えない?! 静かに広がる“アフリカ豚熱”クライシス 検疫のプロは「ウイルスが近づいてきている」と危機感

2 個月前
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豚やイノシシの伝染病「アフリカ豚熱」がアジアなどで猛威をふるっています。日本での感染例はありませんが、海を挟んだ隣国の韓国・釜山では感染が確認されていて、警戒感が高まっています。


◆生ハム専門店
RKB 若松康志記者
「こちらのショーケースにはスペイン産、フランス産の生ハムが陳列されています。しかし、ある国で作られている生ハムの入荷が止まっているということです。」

福岡県北九州市にある生ハムの専門店「デリカコッタ」。入荷ができなくなっているのは、イタリア産の生ハムです。イタリアで「アフリカ豚熱」の感染が確認されたことによる影響です。

「アフリカ豚熱」は、豚やイノシシが感染する伝染病で、人が感染する恐れはありませんが、ワクチンや明確な治療法が確立されていません。感染力も強く、致死率もほぼ100パーセントとなっています。3月14日時点で日本での感染例は確認されていませんが、アジアやヨーロッパなどで感染が拡大しています。こうした影響で、豚肉と生ハムやソーセージなどの加工品の輸入が停止するケースが相次いでいて、イタリアからの輸入もおととし1月からストップしています。

デリカコッタ オーナーの瀧本博通さん
「大半の商品がイタリアからだったのでそれが入らないとなると、主力商品なので死活問題でした」

この専門店によると、取り扱うイタリア産の生ハムは、「塩味がマイルドで、香りもやさしい。子供から大人までたのしんでもらえる。果物や野菜との相性もいい」。 一番の人気商品で、販売する商品の8割以上を占めていたということです。入荷がなくなったイタリア産に代わり、現在はフランス産やアメリカ産の生ハムを取り扱うことで、店内から商品がなくならないよう対応しています。

デリカコッタ 伊藤美奈さん
「これだけ停止期間が長くなると、お客さんから『イタリア産生ハムが懐かしいよね、まだかね』と言われます」


◆韓国・釜山で感染確認 海をはさんだ福岡の養豚場は
農林水産省は2月、韓国の釜山でアフリカ豚熱が確認されたことなどを受け、全国に最大限の注意喚起を求める通知を出しました。

釜山と距離的に近い福岡県で養豚場を運営する男性は、危機感を感じています。

井上ピッグファーム 井上博幸社長
「怖いとしか言えないですよね。今は、入らないでくれという願いしかないですよね」

この農場では、ブランド豚「糸島豚」を約8000頭飼育しています。イノシシの侵入を防ぐために農場の周りをフェンスで囲っているほか、農場に入る車両について消毒を行うなど、できる限りの防疫対策をしています。それでも不安は募ります。

全国でも有数の豚の飼育頭数を誇る九州。井上さんはアフリカ豚熱の感染拡大は、甚大な被害につながるのではと話します。

井上ピッグファーム 井上博幸社長
「九州から豚がいなくなるんじゃないか。そのくらい感染力が強い。前回、佐賀県唐津市で確認された豚熱とは違って、アフリカ豚熱に関してはワクチンもないし。日本の豚の3分の1は九州にいますから、その豚がいなくなるのはとんでもないことだと思っています。」


◆アフリカ豚熱 ウイルスは靴底に付着し侵入する可能性
農林水産省 動物検疫所 博多出張所
田上勝則所長
「非常にウイルスが近づいてきていると感じています。我々動物検疫所は、危機感を持って検疫の対応をしています」

釜山との就航便もある海の玄関口・博多港の国際線ターミナルでは、通路に消毒薬をしみこませたマットを設置しています。動物検疫所によりますと、アフリカ豚熱のウイルスは、靴底に付着した状態で国内に侵入する可能性があるからです。


◆探知犬も活躍
一方、海外から持ち込まれた肉や食べ残しを介してウイルスが侵入する可能性もあり、動植物検疫探知犬を活用して、国内への肉類の持ち込みを未然に防いでいます。

農林水産省 動物検疫所 博多出張所
田上勝則所長
「ぜひ日本の畜産を守るために、海外からの畜産物は持ってこないよう、よろしくお願いいたします」

私たちの食卓や地域の産業に影響を及ぼすウイルスの脅威。慎重で丁寧な対応が続く中、私たちにもできることがあります。
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