工藤会市民襲撃事件 福岡高裁「1審判決は証拠の評価を誤り不合理な認定をした」 1事件を無罪認定しトップ野村被告に無期懲役 野村被告・田上被告は上告

2 個月前
-
-
(基於 PinQueue 指標)
市民を標的にした4つの襲撃事件に関与したとして1審で死刑判決を受けた特定危険指定暴力団「工藤会」トップ・野村悟被告(77)に対し、福岡高裁は12日、1審判決を破棄し無期懲役の判決を言い渡しました。元漁協組合長射殺事件について、「組織の意思決定のあり方は不明」で「証拠もない」として、野村被告の関与を否定し無罪としています。


◆1998年~2014年におきた4事件
起訴状によりますと、特定危険指定暴力団「工藤会」のトップで総裁の野村悟被告(77)とナンバー2で会長の田上不美夫被告(67)は、元漁協組合長射殺(1998年)、福岡県警元警部銃撃(2012年)、看護師刺傷(2013年)、歯科医師刺傷(2014年)の4事件に関与したとして殺人などの罪に問われています。

◆1審は野村被告に死刑判決
2019年10月に始まった1審の福岡地裁では「配下の組員が勝手にやったこと」として、2人は全面的に無罪を主張。しかし、福岡地裁は4事件すべてについて「野村被告が首謀者、あるいは指示命令があった」と認定し、野村被告に死刑、田上被告に無期懲役の判決を言い渡しました。

◆福岡高裁 1審判決を破棄
一方、12日の控訴審判決で、福岡高裁は、1審判決を破棄し、野村被告に無期懲役の判決を言い渡しました。1審と2審で判断が分かれたのは、4事件のうち、元漁協組合長射殺事件をめぐる野村被告の関与です。
福岡高裁の市川太志裁判長は、「野村被告の共謀を認定した元組合長事件は、論理則経験則に照らして是認することはできず、一審判決の破棄は免れない」として野村被告の関与を否定、無罪を言い渡しました。何が判断を分けたのでしょうか。

◆元漁協組合長射殺事件 1審判決の認定
元漁協組合長射殺事件について、1審判決は、
(1)犯行が工藤連合などによる組織的な犯行である
(2)被害者一族の利権に関心を抱き、利権交際要求を成功させるため犯行を行う大きな動機があった
(3)工藤連合と親密な交際をしていた被害者を殺害するという決断を野村被告の配下の組員が独断で行うことは考えがたい
などとして、「本件犯行に野村被告と田上被告の関与がなかったとは到底考えられず、関与していない旨を述べる両名の供述は信用できない」として野村被告と田上被告の共謀を認定していました。


◆元漁協組合長射殺事件 2審判決の認定
一方、12日の福岡高裁判決は、
(1) について、「組織的に敢行されたという結論は是認できるが、野村被告の共謀を推認させることは限定的」としました。
(2)の動機については、「被害者を殺害してでもその利権に介入しようとの考えをもっていたとは推認しがたい」としました。
(3)について、「認定根拠が示されていない」としています。

その上で、田上被告との共謀を認め野村被告を有罪とした1審判決を「証拠の評価を誤り、論理則、経験則などに照らし不合理な認定をしたものであり、事実誤認がある」と結論付けました。

◆田上被告の控訴は棄却 無期懲役に
福岡高裁は、田上被告の控訴についてて棄却しました。


◆野村被告・田上被告が上告
裁判は、午後2時40分頃閉廷し、紺色のスーツ姿にマスクを着用した野村被告と黒のスーツにマスク姿の田上被告は、一礼して法廷を後にしました。閉廷後、両被告の代理人弁護士は、両被告が2審判決を不服として上告したことを明らかにしました。


◆福岡高検のコメント
福岡高検の小池隆次席検事は、「判決内容を十分に精査し、適切に対処したい」とコメントしています。


◆捜査を指揮した元刑事部長「悔しい、残念だ」
当時、4事件の捜査を指揮した元福岡県警刑事部長の尾上芳信さんは、 「(野村被告を無罪とした)元漁協組合長射殺事件の判決について、厳しい判決と受け止めている。野村被告についても共謀共同正犯として犯人性があるとして逮捕起訴した。田上被告については有罪、なぜ野村被告だけが共謀から外れたのかコメントしようがない。歯科医師刺傷事件では、同じ漁港でみかじめに絡む事件なのに、控訴が棄却され、野村被告の共謀が認められている。悔しい、残念だ。(判決に)驚きもあった。1審が維持されるものと確信していたので全く納得できるようなものではない」と話しました。今後の捜査への影響については、「大きく捜査に影響を与えることはないと思う」としています。
-
-
(基於 PinQueue 指標)
0 則留言